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白貌の伝道師

Nitoroplus 虚淵 玄・著

ブレーカーが飛んだので、もう一回。
電子レンジと暖房を一緒に使ってはいけません。わかっていたのに、なにをしているのだ私は。

本当は「オペラ座の怪人」を読んだのでそっちとも思ったのですが、映画の方を見てから併せてにします。
今週中に見たいなー。

こんかいのこちらの作品は、同人誌の部類のようです。同人誌取扱店でしか売ってませんので、入手に手間がかかりました。
まあ、そういう内容ですね。ちょっと、市販では無理な内容でしょう。

見目麗しきエルフ族でありながら、善なる種族にあるまじき暴虐と非道を繰り返し、闇の邪法にすら手を染める。
その名もラゼィル。
……なんて読めばいいの?
ラじル? ラずいル? こまったのー。
そのラゼィルは残虐非道であり、強力な僕と強烈な数々の武器でもって、人間とエルフたちの世界を破壊していくのでした。
闇に犯される光、悪に引き裂かれる善。
はたしてその果てにあるのは、光の勝利ではなく、敗北とゆー至極もっともなお話。
勧善懲悪な話がすかっとして、面白いのは善が勝つことなわけですが、よく考えてみれば善がすべてよろしいというわけではなく、近頃の作品のなかには、至高神のいきすぎたやり方に異を唱えるものも多く見受けられてきました。
実際、今までないのが不思議なくらい。
現実はこういうものなのかもしれない。普通なら、愚かな人間、けれど人間には愛とか友情とか、素晴らしいものがある、と続くことに救いを見いだすのですが、そこにはいかない。

人間はあくまで愚かで、欲望に忠実。せっぱ詰まって、命の危機が迫っているのに、他人のことなど考えてられるか!
実際、自分の身に置き換えてみます。
崖にぶらさがって助けを求める人に手を差し伸べることは出来ても、悪に囲まれた弱者を助けに飛び出すことは出来ないに違いない。
醜い! なんて醜い!! そして、脆弱で弱すぎる!
他人の弱さを指摘できても、それを自ら行えるのか? 目をそらさずにいられるか!? 逃げずにいられるか!?

現実ではなく、ファンタジーくらい正義と光に溢れて欲しいという願望を見事に打ち砕いてくれて、いっそのこと清々しい。
これを期に世間一般にそういう話が溢れかえることはないでしょうけれど、ネット小説を探せばこの手のものはもしかしたら、ごろごろと出てくるのではなかろうか?

第一、ラゼィルは格好いい。自らの信念を貫く強さを持っている。
表紙のたまらん悪党面と比較しても、ヒロインのはずのアルシアは儚いが、可愛く見えない。
こういう構図を見ると(ここでは用意しないので検索してみてください)、歪んだ愛情が芽生えそうなものだが、その辺りの二人の心の交流はない。アルシアの存在が軽すぎる。アルシアは忠誠を誓うわけだけど、ラゼィルのために死ねるほど覚悟できてるとは思えない。
人間側は欲望と策略でエルフを侵略し、高潔なはずのエルフはただ高慢なだけだった。
それを考えると、なんてラゼィルは美しいのでしょう。輝いている。悪のはずが、完全なる悪が、中途半端な人間や光のうちに影を隠していたエルフに比べて、あまりにも美しい。

まあ、続編はないだろうなー。
悪の美酒に酔いたい方にお勧めです。
参考文献に、一つ紹介したい作品があります。
以下のタイトルは思いっきりネタばれなので、書くのは危険なのですが、まーいいや。
書いちゃえ!

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この作品でがーんと衝撃の来た方は、こちらの作品をお薦めいたします。
「ダークエルフ物語」
エンターブレインから全三巻、続編のアイス・ウィンドサーガも刊行中であります。
正直のこの著者の方は、この作品読んでるんじゃないかと思うんですが、後書きには一言も触れられておりませんでした。ただ、それらしい話はちらほら。
ラゼィルのお兄さんは二刀流だったし?
この作品を読むと、「伝道師」の世界観が広がります。
ダークエルフが主人公ですが、こちらのドリッズドはラゼィルとは違って自分の出自に思い悩み苦しんで、光を求めてダークエルフが支配する地下世界から旅立っていくお話。そのダークエルフ社会も大変似ておりますので、思わずにやりとしてしまうこと然り。
ドリッズドとラゼィルはそういう意味では、同じ設定なのに目的と性格がまったく違うという感じで対比が出来ています。
かたや光の世界に憧れ、かたやさらなる闇を求めて光の世界に旅立っていく。
ドリッズドはいいやつです。
そういう意味では、闇の世界で生まれたドリッズドが光明を見いだしていくというお話で、救われるお話です。
アイス・ウィンドサーガは全六巻の予定なので、私はそれまで我慢しています。

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プラネテス

NHKでは、やはりこういうのを流して貰わねば。
金を払っている意味がないじゃんね。
まあ、後番のマ王ですが、あれも原作では、人種差別とか、戦争とか、結構そういうのを軽くのせてあるので、女性向けとはいっても、まるっきりNHKに似合わないってわけじゃないと思う。
さくらは知らないけど。

というわけで、プラネテス。最終回。
しりとりで、「けっこんしよう」「うん」
だなんて、卑怯だーい。

原作コミックは手にしていないのですが、随分と膨らませて放映してきたんだろうと思います。
あれだけ内容が濃いわけだし、駆け足でも、鈍足でもなく、実に丁度良く終わった感じがしていい。
全体的にハッピーエンドで終わったのですし。
中には救われない人もいたのかも知れないけど。
最終回で、あれだけまとめられたんだから、すげーよな。
何が言いたいかって、感動したわけで。

人間ドラマ?
宇宙のゴミ問題が取りざたされていて、最初から最後まであちこちに伏線が張り巡らされていて、あっと驚いたりする。
最初のオープニングのナレーションで、シャトルがデブリに衝突してしまうシーンがあったけれど、あれには登場人物の一人が乗っていたことが、あとでわかって驚いたのなんの。
各々登場人物たちにスポットを当てたエピソードがふんだんに用意されているのもいいですよね。
そういうのが凄く素晴らしい感じ。
海外だとこういうのをドラマでやっちゃうんだろうなーと思うけど、やはりアニメは日本のお家芸なのかな~、と感心しきり。

エンディングでは、今までのエピソードで登場してきたサブキャラ、ゲストキャラの登場があり、その姿を垣間見ることが出来たし、今まで長い時間掛けてきたものをそこで確認できて幸せを感じてしまう。
死地をくぐり抜けた二人、その互いの本音があって、最後は結ばれて。
何も諦めずに故郷へ向けてか、あるいは新天地へ向けてか、仲間たちと旅立っていて。
宇宙の広さに、国境など問題などないことを教えられたテロリストがいて。
でもそこが物語の最終地点じゃなくて。
これから、主人公のハチマキが木星まで旅立っていって、そして、それを待ってくれる人がいて。

「You Copy?」
「I Copy!」
DVD欲しいなー。

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13ヶ月と13週と13日と満月の夜

求龍堂 アレックス・シアラー・著

あんまり聞かない出版社ですよね。
他にどんな本があるんだろう?
巻末に本の紹介がついているんだから、いいんだけど。
というか、なんかどうでもいい。

ファンタジーだ!
というか、介護のお話なのかしら?

タイトルからしてなんだか不思議な予感がします。表紙の少女のシルエットと、満月。
綺麗な装丁です。

わたしの名前はカーリー。
いま、わたしにすごいことが起こってる…

一人称で語られる物語ですが、カーリーはおしゃべりな女の子。
ちょっと、おしゃべりが過ぎるきらいはありますが、基本的に元気でちょっと変わってるみたい。ちょっとクラスで孤独な女の子。
そういうのを個性というのでしょうがね。
そのカーリーのクラスにメレディスという美少女が転校してくるのですが、実はこの子は……。
という展開。
ですがメレディスも変わった女の子で、カーリーは同じ匂いのする孤高の美少女に興味を抱くのですが、すげなくされます。しかし、そのメレディスのお婆ちゃんのグレースと仲良くなることになります。
その際、すぐにわかってしまうのですが、グレースは悪い魔女で、メレディスと身体が入れ替わっているのです!
つまり、そーゆーお話。
カーリーは、メレディスの身体を取り戻すために奔走するのでした。

メレディスは、老女の身体に閉じこめられて、酷く辛い思いをします。
著者もあとがきにかいてありますが、年を取ることに対して若い人の認識とか、どうなっていると書かれています。
その辺り、「ハウルの動く城」と似たところがあるかも。
あれはヒロインのソフィーが、老婆に変えられてしまうのですが……。

老いに対する恐怖や不安は誰にでもあるもの。それをどうやって克服するかなど、人それぞれ。
身体を鍛えるのも、食事に気を遣うのも。
私はなにもしない質なので、きっと年を取ってから苦労するのだろうと思います。
学生時代の勉強も、徹夜が当たり前。もっと早くからやる気を出して勉強しておけばいいのに、全然やる気になれません。そうして、真夜中が過ぎてから焦りだして、必死ににやり始めたものです。
……きっとそういうことになるんだろうな……。
ピーターパンシンドロームも、それを恐れているのだろうか。
今はまだ、老いに対する漠然とした恐怖しかないわけですが、あと何十年もするとそんなことになるんでしょうね。
年を取ってからじゃ、どうにもならない。
とりあえず、貯金だけはしています。

溌剌とした少女は、老人の身体に閉じこめられてしまいます。
そして、自らの身体を取り戻そうとするのですが、それも一苦労。
一息で駆けられた距離も、肩で息をして先に進まない。薬を飲まないといけないし、入れ歯を手入れしないといけない。

私はど近眼です。
老眼が入ると、視力が回復するらしいですが、そのころにはもうなにも読めなくなってるのかな?
そんな風に思うと、ちょっとぞっとする。
本を読めなくなるのだから。
視力回復手術とかって、どうなってるんだろう?

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ICO イコ霧の城

ゲームじゃなくて、小説のほうです。
講談社 宮部みゆき・著

私はゲームよりもやっぱり、小説という紙の媒体が好きですね。
カオスレギオンもその一例ですが。
昔は正直、ストーリー性の高いRPGなんかも、別にゲームにしなくてもいいのに、とか思っていたのですが、そういうのじゃないんだなーと。やっぱり、ゲームだと映像とか音楽とか臨場感が湧きますもんね。
でもやっぱり、ノベル系のゲームはだめです。ADVっつーんでしたか、選択肢のみで進めていく系のゲームは全然会いません。
「月姫」も「デモンペイン」も途中で飽きたので、止めました。デモンペインは小説を買って、積んでありますからそっちでいずれ? まあ、ゲームもいずれはやろうとは思っているのですが……。
ドラクエシリーズの小説も、何故かプレイしていないのに買って読んでました。FFシリーズの小説がないのがいつも残念で。ドラクエシリーズもプレイしたのは、読んでからだし、随分遅かったし。
ドラクエシリーズの小説は、攻略のヒントにもなったりしましたね~。

それはともかく、ICO。
宮部先生のゲーム好きはよく知られている事実ですね。
幻想水滸伝のゲームレビューも書いていらっしゃいましたから。
この方はいったいいつ小説書いてんだってくらい、執筆ペースも速いし作品も多いですよね。
私は読んだのは、「レベル7」とか「ブレイブストーリー」くらいなもので、少ない方ではないでしょうか(やはりファンタジーに傾倒気味)。
本当はもっといろいろ読みたいのですが、なかなか時間がなくて。「ドリームバスター」とか、あれなんて2まで出てるでしょ? 時代物を書かれているのでそっちも読みたいのにー。

ちょっくら、ゲームレビューのブログも見てみましたが、ゲームの方はアクション物でほのぼのとした様子。
私はアクションゲームは駄目なので、パスですね、うむ。
しかし、評判の良いゲームですねー。宮部先生もそこが気に入って、三年もかけて構想を練って書かれたんでしょう。その間にも本を出版されてたんだから、やはり恐るべしですよね。
本の内容は、うってかわってホラーでダークで憎しみが渦巻いています。随分と印象が違うようですね。残念ながらゲームの方が評判がよい模様。
ファンタジーしていて黒い霧に包まれた城の恐ろしい印象がぬぐえません。

十三歳の少年が、年上の少女を守って、城に眠る霧と戦うお話。
城に眠る霧の封印を守るために、角を持って生まれてきた子供が生け贄として捧げられるしきたり。
そうして生まれてきてしまった、イコ。
霧のもたらす災いを防ぐため城へと赴くイコは、そこでとらわれの白い少女ヨルダと出会い、少年は少女を連れて魔の城より脱出を試みる。

十三歳の少年って、……あんなだっけか?
などと思うこのごろ。自分がどうだったのかわからないー。最近の子供はませすぎなんだよっ! だから、きっとこっちが年相応なんだよね、きっと。
子供向け冒険小説だと、このくらいの年の子が探偵だったり、戦士だったりして活躍するんですよね。
しかしして、同年代の少年少女たちが活躍する物語に、親身になってのめり込んでしまうのですね。
だが、年を経るに従って、その英雄像に求める対象の年齢も上昇していき、正直十三歳の少年が主人公だと物足りないこともあったりして。
「ありえない」少年像に、自分を重ね合わせることが出来なくなってくるんですよね……。
大人になることで、頭が硬くなってきただけってことか……。
ここでもやっぱり、ピーターパンシンドローム!
複雑な一読者の心境でした。

ただやっぱし、ゲームはアックションだし、ストーリーよりもパズルを解くのが主なわけですから、小説には不向きじゃないかと思ってはいたんですよね~。
しかし、話題のゲームだったし、宮部みゆきだし? 興味ある作家さんだったのでこの辺で取っつきやすい小説をと思って買ったわけですから、面白くないわけがないんですよ。
だけど、長すぎる。
城をあちこちへ彷徨うイコとヨルダ。その際、いろいろと伏線が張られていて、二人の心境も細かく語られるわけですが、ちょっと飽きる。
一番面白かったのは、何故霧の城が生まれたのかという、回想シーンです。
そこには、角を持った壮年の戦士オグマが出てくるのですが、それがまた格好いい。いぶし銀の渋さで、城に渦巻く陰謀に立ち向かっていくのですが、そっちの方が面白かった(笑)。
前述の通り、私は英雄像を子供ではなく大人に求める傾向があるので、イコよりもオグマの方が気に入ってしまいました。
しかしまあ、オグマは所詮過去の人物。
イコはオグマの意志を継ぎ、城の霧に立ち向かっていくんですよね~。
城の謎やら過去の因縁やら、その辺はミステリ作家の宮部先生のことですから、上手いです。

内容は正直、子供向けだと思います。けど、販売形態やら装丁なんかは大人向けファンタジーを意識しているのかな? 小学校や中学校の図書室に置いてもいいと思うけれど、ともすれば文章が重すぎるので、その辺は改稿が必要かと。
「ブレイブストーリー」では、主人公の少年の両親が離婚するという、問題を抱えていたり、その辺の愛憎があまりにもリアル過ぎるので子供向けとは思いませんでしたが。
ああいう風に、イコが何かを信じて、勇気を起こし、知恵を振り絞る様は、近頃のライトノベルにもないまっすぐで純粋な少年の姿に、現実の少年少女たちに、本来あるべき姿として求めてしまうのは夢見過ぎか?
どうせなら、戦士オグマの小説が読みたいなー。

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紅楼夢の殺人

文藝春秋  岸辺 拓・著

HONKAKU mystery masters
本格ミステリということで、ラインナップされている一作です。
推理小説って言うのは、ミステリと称するものとはまた違う気がするのですがいかがどうでしょうか?
近頃の推理小説はなんだか趣が違いますよね。
ミステリの定義が、正直わからなくなっているこのごろです。
殺人事件があってそのトリックがあるわけですが、最近は事件のあらましとか探偵や刑事たちの推理ではなく、著者の書き方に通常とは変わった手法が取られているようで。
「はさみ男」とか、「葉桜の季節に君を想うということ」とか、「四日間の奇蹟」とか?
犯人がアリバイを証明するために使うトリックを記すのが推理小説で、著者が作品の見せ方で読者をあっと驚かせるのがミステリという感じ。
犯人ではなくて、著者に騙されたことにムカついたりすることもしばしば(笑)。

本格ミステリー・マスターズ。
これってなんだか凄いですよね。
何故か、京極夏彦が装丁をデザインしているとか。ご本人はまだ、執筆はされていないのですよね。いつか書いてくれるのではと、密かに期待しておりますが。
一輪の花が表紙に咲いたその分厚い本の数々を並べると壮観でしょうねえ~。残念ながら、私は三冊しか持っていませんが、場合によっては好きな花の本を買うのも一興かも。もっとも、好きな花なんてないんですが(なんじゃそりゃ?)。

この手の真相がメインのお話は、こういうのを書くのに不向きな話ですよね。ネタばれしていつも書いていますが、やっぱり真相とか犯人とかに触れないで書くのがエチケットなのでしょうから、そこには触れてはいけないわけで……。

とにかく、こうした過去の作品を振り返ってみると。

「はさみ男」などは、その手法に驚き目を見張った最初の作品です。
追う側と、追われる側の視点に切り替わって綴られていく事件。すっかりのめりこんで、最後のどんでん返しの数々に目眩すら。
真相を聞いて「ええっ?」と驚愕し、だがその後その真相が上手く整理できずに「んあ?」と困惑したものでした。

「四日間の奇蹟」などは、今度映画化するそうですが、ぶっちゃけなにがミステリなのかわかりませんでした。
ミステリとうたっているけれど、ミステリの定義がすっかり意味不明になった作品。
内容はファンタジーだすしね。推理小説を想像して読んだので、犯罪事件があるわけでなし、犯人も出てこないので「あら?」と思いました。
ただ、感動することは確か。ミステリではなくて、もっと別の紹介はなかったものか?

そして、最初に読んだミステリー・マスターズ作品は、
「葉桜の季節に君を想うということ」
この「ミステリーがすごい」第一位だとか、一時期話題になっていた作品で、知人も気にしていたので私も読むことにしました。
素人探偵が悪徳商法の会社の悪事を暴く、みたいな内容なのですが、主人公の素人探偵が実に人間くさくて格好いい。正義の味方というのではなくて、正直悪いこともしてるんですが、基本的には悪人ではないですよね。
ちょっとヤクザっぽい感じがするんですが、割と慕われている兄貴分で、調子が良くて頭が切れる。良い意味でも悪い意味でも男っぽい。女にだらしない主人公も、作中では運命の相手と出会うわけで。面白い。
ただ、作品の真相が出てしまって、「うおおい、マジで!?」みたいな驚愕の真実にページをめくる指が止まらない。
ただ、読後は作品に対する印象ががらっと変化。
これがなかったら、何度も読み返してたんだろうけどなー。読み返すと、真相をしってしまっただけにどうしても、作品の印象が違って来ちゃうので……。

それはともかく、本題の「紅楼夢の殺人」。
前述の「葉桜の~」の歌野晶午も、この作品の著者も一度も読んだことがないけれど、表題に惹かれたのは事実。
「葉桜の季節に君を想うといこと」は実に素敵な題名だと、今でも思っています。
「紅楼夢の殺人」はそのまんまなタイトルではありますが、中国の古い時代の殺人事件と聞いては捨て置けない。
近頃では、高度な文明のためか信じられないよーな力業密室トリックなんかがあって、興冷めすることもしばしば。
けれど、そんな古い時代のトリックってどんなのだろう? と興味津々。
修道士カドフェルシリーズなども、古い時代のため科学的根拠云々の小難しかったり、密室の間取りが想像できないようなトリックではなく、実にわかりやすくてシンプル。

「紅楼夢」は中国古典の一つのようで、西遊記や三国志などとは並ばないのも未完の作であるからのようですね。
中国の源氏物語とも呼ばれるようで、そうした作品を下敷きに描かれた様子。
この手の本には珍しく、実はカラーイラストがついています。気付いたのは、半ばも過ぎた頃。実際には見たことを後悔したりして……。絶対、付けないほうがよかったと思う。
それから、漢字が読めないので、名前の読み方を覚えないまま、読み終わってしまった(苦笑)。
そこがちょっと馴染めないのは否めないー。なぜだか、封神演義の時は平気だったんだけどなー。

皇帝の覚えもめでたい、栄華を極める一族。皇帝の妃たる長女の里帰りの折、広大な敷地に人工の楽園「大観園」がつくられ、絶世の貴公子と少女たちがその楽園に住まうことになったことから起こる、連続殺人事件。
その事件の解決のために、国きっての敏腕刑事(?)、頼尚栄が派遣されるのです。
大観園では、貴公子の宝玉が一族の美少女たちと楽しく日々を過ごしているわけですが、それをあざ笑うかのように次々と殺人が起こります。
古い時代の女性の不当な扱いも、その楽園には届かぬものと思われたのですが……。

そうした時代背景もさることながら、文面から伝わってくるのは、花吹雪が舞う緑の庭の美しさ。中国の華麗な建造物がいくつも並び、その広さは想像を絶するわけで、常に花が咲き乱れています。
けれど、その庭園のために払われた犠牲はいったい?
人がつくった貧富の差、身分の差、それらしがらみから逃れるためにつくられた庭園ではありましたが、そこの住まう少女たちはやはり搾取する側の人間でしかなく、それ故に現実から逃れる術はない。
それだけ贅沢な暮らしをしていて、さらに不幸な身の上の少女たちを侍女にして。
人は生まれる家を選べない。
ただそれだけのことだけれど。
ただただ哀しい。

ヒロインの一人である、林黛玉は引っ込み思案で、そのくせ素直になれない影のある美少女。
何故か自分を孤独にしてしまう不器用さに応援したいことしきり。
お気に入りの美少女を見つけることも、この作品の醍醐味かも。
断然、モデルとなった「紅楼夢」に感心が湧いてきました。

あっと驚くトリックこそないものの、その真実と結末にはやりきれなさが募るばかり。
盛者必衰の絵巻物語りです。

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ブルータワー

徳間書店 石田衣良・著

というわけで、読み終わりました。
六時間くらいでしょうかね。カンフーハッスルを観つつも、本も読みました。普段はあんまりしない荒技です。
本当は積んであった推理小説を読むつもりだったのですが、コメントを頂いた方のお勧めということなので乗り換えました(笑)。
近頃では映画の上映時間が伸びるとともに、本もますますぶ厚くなっていく気がするのは、気のせいでしょうが、長いです。今回のブルータワーは普通の分類ですかね。
長いのが悪いことはないのですが、近頃はとぎれとぎれ読んでいくのが嫌なのでなるべくまとまった時間がとれたときに読むようにしています。そうすると、どうしても週末しか読めないんですよね。
日常では短編の文庫を持ち歩いたり、軽く読めるライトノベルを持ち歩いています。しかし、週末だけで読める分量じゃないことも多い。特に、京極(苦笑)。数冊に連続する場合などは、仕方がないので時間をかけて読みますが。

別の所でも書きましたが、持ち歩くと本が傷むので嫌なので。私は本の表紙よりも、硬いビニールの袋に本を入れて持ち歩くようにしています。

石田先生の本は、今までも何冊か読んできましたが、どれも面白いですよね?
最初に読んだのは「4TEEN」ですが、あれも好きです。
あれにも重い病気持ちの少年が出てきましたが、今回は脳腫瘍に苦しむ中年男性が主役でした。

だが、今回はNGワード(?)が。
私は近頃、現実逃避型(異世界転移)が好きじゃなくなってきました。
昔は好きでした。少年が異世界にとばされて、世界を救う話です。現実世界でなんの取り柄もない、あるいは忌避される子供が、異世界では世界を救ってしまうんですよ。
後ろ向きな少年時代を過ごしていた私にとって、こういう話は自分の未来に希望をくれました。しかし、反面いつか超能力に目覚めるんじゃないかとか、魔法が使えるようになるんじゃないかとか、妙な思念に囚われたことも確かです(死)。
いい加減、ピーターパン・シンドローム!
近頃の作品だと、宮部みゆき著の「ブレイブ・ストーリー」ですかね? あれも両親の離婚をどうにかしたくて、異世界に旅立つ少年の話ですね。

彼らはどうしても私が出来なかった、「異世界にいって世界を救う」をして、現実世界に戻ってくると別の人生を歩み出すんですね。
それが羨ましくて仕方がないんです。
人の再生の物語は、素晴らしい。ただ、そこに「異世界に行く」要素が含まれると反感に変わるようです(苦笑)。
愚かしいけれど、結局やっぱし大人になりきれてないだけなんだろうなー、と自分に呆れるだけですね。
自分を変えることは難しいことです。その努力が出来ないくせに、ただ羨むだけ。
そんな自分が嫌いで、こういう話で主人公たちが生まれ変わってもとの世界に戻ってくるのが、嬉しいのも事実。
自分も変われるんじゃないかと思う。
異世界に住み着いちゃうのは、本当に現実を逃避したままになっちゃうので、好きじゃありません。

著者は、ファンタジーははやらないと仰っていますが、どーなんでしょうか?
「ハリー・ポッター」「指輪物語」とか「ハウルの動く城」で結構はやってたんじゃないかと思います。最近では下火になってきましたが、それでも海外のファンタジーが新しく入ってきたり、復刻するのは喜ばしいことです。

鬱憤晴らしはともかく。
主役の周司が、四十代のおじさんというのは意外でした。
今までが若い世代の話が多かったので、若い人の話なのかな? と漠然と思っていましたので。
今回は、脳腫瘍の痛みで気を失うと、二百年後の未来のシューに意識が入り込む形で過去と未来を言ったり来たりします。
身体ごと移動しないのがミソですね。それが今回のトリック。
周司はシューとなって、二千年後の未来にはびこる凶悪な病から人類を救おうと戦うわけですね。

学生時代は、ファンタジーしか読んでない私は、こういう作家さんがファンタジーを書くのに、違和感を感じたりします。
「ブレイブ・ストーリー」もそうでしたが、現実世界の生々しさと、異世界の間に温度差が生じてしまうんですよねえ。
異世界の話を知人にして信じて貰う、というのはかなり現実離れしていることで、やっぱし頭がおかしいと思われても仕方がないことなので……。
ライトノベルだとそんなことないんですよねえ~。記されている社会が、異世界の存在を容認して書かれている気がするのです。現実の世界ではなく、パラレルワールドの現実世界というべきか……?
だから、こういう石田先生や宮部先生が描く現実世界は、時にリアルすぎるので、異世界と相容れないんですよねえ。
まあ、作品の概要には関係ないんですけど~。

そんなことはともかく、この先生はやっぱりいろいろと勉強されているんだろうなあっと感心します。
作中に登場するインフルエンザのこととか? こういうのは、創作って訳にはいかないんしょうから、ある程度根拠があることが書かれているんじゃないかと思います。私なんかは、そんな知識はさっぱりなので照らし合わせることはできないのですが。

現実社会にある、種族間の抗争、戦争、差別などを織り交ぜて語られるのは、ニュースで身近なことばかり。だけど、遠い世界の話。
結局、実際に周司が体験した悔しいこと、悲しいことを感じ取れず、想像するしかないことに歯痒いことしきり。
未来の世界を救う方法に苦心して、それを克服する最終章の「愛のメモリー」では、感動することしきり。
周司は四十歳。
私が四十歳になるにはまだまだ時間がありますが、それでも四十歳の彼が悩んで苦しんで乗り越えて生きていく様は、少し安心だったりします。
人間いくつになっても、そういうことは続いていくんですね。
大人になりたくないと思っても、時間は進んでいきます。結局、年を取ってもなにも変わらない自分に嫌気がさすけれど、いくつになっても人はそうして生きているんですね。

なんだか、前半おかしなことになっていますが、別に作品に対する評価じゃないんですよ?
ただ、異世界で成長して戻ってくる主人公たちに、妙な嫉妬をしているだけなんです。

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カンフーハッスル

ハッスルって、日本語なんじゃないかなって思いました。
ずっと観たいと思っていたのですが、近場では字幕がやってなかったので、少し足を伸ばしました。
雪も止んでいましたので、ブーツを履いていってきました。
雪が降っていたら、「ブルータワー」を読むつもりだったので、電車のお供に持参しました。
本当は、本を持ち歩くのって嫌なんですけどね。本が傷むので。近頃は、本の表紙なんかにも気を遣いますよねえ。

それはともかく。

面白かったです。
「少林サッカー」も面白かったですが、私はこっちも気に入りました。DVD買います。
「英雄(ヒーロー)」並のアクションシーンの連続で、まあ芸術的ではなかったのですが、凄まじいアクションの連続に開いた口がふさがらないこともしばしば~。
難しいことを考えずに、純粋に楽しめました。
まあ、ぶっちゃけストーリーも簡単でしたしね。
少林サッカーの時の役者たちも多数登場していました。
ゴールキーパーをしていたブルース・リー似の役者さんは、ひげ面も渋いキレてる斧頭会のボスを演じていました。

ヒーローを志していた少年は、幼い頃に挫折して不良になって、結局ワルにもなりきれなくて、下っ端のちんぴらになりぱっとしないことこの上ない。
そんな最中、豚小屋のようなアパートで恐喝しようとしたのが運の尽き。
そこは実は、武術の達人たちが隠れ住んでいた!
みたいな?
魔物の子供が呼び合うように、武道家たちも魂が呼び合うのでしょーか?
アパートを襲撃してきた斧頭会の下っ端たちを蹴散らしていく、アパートに何故か住んでいた3人の武道家たち。
下働きの足、洋服屋の拳、飯屋の棒術が、下っ端たちを蹴散らしていくのは所詮は前座。
その三人を倒すため、斧頭会は二人の暗殺者を送り込んでくるのです!
二人の楽士。伸ばされた爪は、琴を弾くだけでなく、凶器。琴が鳴るごとに、凶刃が三人が次々に倒れていく!
特に飯屋と楽士の戦いは接戦、見所です。
その三人を倒した楽士は、続いてアパートを守るために立ち上がった、大家夫妻に返り討ちにされるのでした。

もう、少年ジャンプのよーな展開。
違うのは、主人公が成長して、ますます強くなってくる敵を蹴散らしていくのとは違うんですよねえ~。
それがちょっと残念つーか。
互いに強いものが交互に出てきて戦い、つぶし合っていく。
主人公は所々にその才能をかいま見せるのですが、覚醒するまでが影薄い気がしました。
その後も、大家夫妻と斧頭会が放つ最凶の中年おやじの戦いで盛り上がりを見せるのですが、主人公は下っ端扱い。
でもって突如力に目覚める主人公は、スーパーヒーローに!
その強さに中年おやじも……。

ま、そういう話です。
今回のヒロインは聾唖の女性なのですが、少林の時のような活躍がないのが残念ですね。少林サッカーのラストの盛り上がりは、本当に感動ものでした。
そういう意味では、すかっとしたけど、感動とかはちょっと期待できない感じですね。ちょこちょこと作中に笑える小ネタはちりばめられてて面白かったけれど。
各々の武道家たちの戦いはすかっと爽快な映画でした。

次回はどうしようかの、「ネバーランド」、はあまり評判がよろしくないようで。
観るのを決めているのは、「オーシャンズ12」「オペラ座の怪人」「ボーン・スプレマシー」とかありますね。
去年年末の映画に、なにかの大作がなかったので。

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ちいさなちいさな王様

講談社 アクセル・ハッケ 作/ミヒャエル・ゾーヴァ 絵

1996年発行だそうです。
表紙が気に入ったので、衝動買い。まだ、他の本もたくさんあるのに、止められな~い。
あれだね、買い物でストレス発散するのと同じで、それが本なだけなんだねえ。

人差し指サイズの小さな王様。王様の世界では大きく生まれて成長するにつれ小さくなって、最後には見えなくなってしまうという。ドイツのベストセラー小説。

ある日、ふらりと僕の部屋にあらわれた、僕の人差し指サイズの気紛れな小さな王様。

こんな王様なら、私も欲しいです。
ポケットから頭出していると王冠が見えて、なんかのインテリアみたい。そう、表紙もコーヒーカップの隣で、新聞紙の端っこに威厳たっぷりに立っているんですよ。こんな置物なら、可愛いのに。
グミベアーが好きな王様。いつも自分と同じ大きさの、クマの形のグミを抱えて食べています。
太りすぎで、真っ赤なマントもはち切れそう。
癇癪起こしてパンを蹴ったり、バターを串刺しにしたり、コーヒーに砂糖をいくつも投げ入れたりするのです。
私ならばつるし上げにしてやるのですが、「僕」はお人好しなようで、結局王様のわがままに付き合ってしまうのです。
けれど、「僕」はなんの変哲もない毎日に、王様の言葉に救われていくのでした。
ただ夜空を見上げるだけで、ただ街を歩くだけで、王様の言葉で「僕」は別の世界を垣間見ることが出来るのでした。
王様はわがままです。
そうして「僕」に考えること、想像力を与えていくのです。
人間は大人になるに従って、想像する力を失っていく。
けれど、王様は違います。生まれたときに大きくて、やがて成長するに従って知識や力を失ってどんどんどんどん小さくなっていくのです。人間と違って子供に戻っていくのです。

この世の中で、王様と出会うことが出来た人は何人いるのでしょうか?
あるいは、星の王子さまかもしれません「星の王子さま」。
それとも、四つ葉のクローバー?「グッド・ラック」
それとも、妖精?「フェアリーテール」

私は物語の中でしか、それらを知らないのです。

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アフターダーク

講談社 村上 春樹・著
実家に帰ったとき親にお年玉として、図書カードを貰ったので買おうと思って保留にしていた、「アフターダーク」と「ブルータワー」を買いました。おまけに「女子大生会計士の事件簿2」もあったのでなんだか得した気分です。
本屋の会計のお兄さんが「僕もこれ読みたいんですよねえ」なんて気さくに声をかけられました。随分と手の荒れた学生さんか? それを考えると、結構年下なんだなあ、っと思いました。でも、お兄さん、本から売上カード抜くの忘れてるよ?
ついでに、君のようなつんつん頭君が村上春樹を読むなんて、活字離れを言われている割に、結構若い人たちも本を読んでいる人って多い気がします。ライトノベルとかじゃなくて。

先に「海辺のカフカ」を読むつもりだったんですが、字も大きいし読みやすそうだったので、読んじゃいました。
他にもいっぱい本が積んであるのに。
本当は「カンフーハッスル」を見にいくつもりだったのですが、近所の映画館では日本語吹き替え版しかないので。
フジテレビアナウンサーが吹き替えしているので、反感かってたりして。
どっかでやってないかな?

午前中に読んでしまいたかったのですが、眠たくなって二時間ほど寝てしまいました。ああ、時間がもったいない。
しかし、二時間で読み終わりましたが。
夕飯をつくるのも面倒だったので、ホカ弁をかってきて食べました。
本の中で、お店の鶏肉は注射とか薬漬けにされて、食べちゃいけないみたいなこと言われているのに、私ってお馬鹿さん。

村上春樹ってあまり得意じゃないんですよね。
前に読んだのは、「ノルウェイの森」「ねじまき鳥クロニクル」か。いきなりの大長編だったのがいけなかったのか?
その後の「風の歌を聴け」はどんなのだったか全然覚えてない。
「キャッチャー・インザ・ライ」もなんだかなー、だったし。
それなのに、村上春樹を読むのを止めないのは何故なのだろう?
大物作家であるっていうことはもちろんあるのだろうけれど、なんでだろう?

これっていわゆるファンタジーじゃないの? と思わず思ってしまう。
村上春樹は、ファンタジー作家じゃないのでしょうけれど、ねじまき鳥クロニクルもそうだったけど、なんらかの力を持っているみたいなところがあったけれど。
一時期はまっていた、スティーブン・キングもそう。現実の世界の話かと思いきや、そこには悪魔が関わっていたり、謎の生物が関わっていたりするんですよね。そこで結構冷めちゃったりすることがあったんで、最近は読まなくなったんですけど。

世界には表があって、裏があることは私も知っています。
けれど、その裏側を見たことはありません。なんだかわからないけれど、そこにはライトノベルのような超能力がないかどうかなんて、わからない。常識ではそうだけど、本当にないものなの? 宇宙人とか?
私はどうしてなのかわからないことがある。

この小説には「私たち」という視点があり、「私たち」がマリやその姉のエリ、他に何人かの、深夜から明け方の様子を観察が語られていきます。
「私たち」のなかには、私、つまり読者も含まれているのでしょうか? あるいは「私たち」とは宇宙人なの?
それに何の意味があるのかはわかりません。どうしてこの話が語らなければならないのか、わかりません。
けれど、登場人物たちが語る言葉、気持ちは私にも痛いほどわかります。

ずっと眠っていたい。なにもかもから逃げて、ずっと眠っていたい。夢にまどろんでいたいと思い悩むことも多々あります。明日が来て欲しくなくて、ずっと起きていようとすることもあるくらいです。
兄弟との確執だって私にもあります。口をきかなくなって、もうどれくらい経ったのだろう? こうなってしまった原因が自分にあるのかもしれない。なにもしてあげられなかったから……。
ずっとずっと人生から逃げたいと思っている。
思い出があるから、人は生きていけるとこれには書かれています。
そうなのだろうか?
私はいつも、昔のことを嫌なことしか思い出せない。そして、頭を振って振り払う。どうしていつもいつもこんな嫌なことを思い出すのだろう?
いい思い出なんてものは、今からつくっていくしかない。それも決して思い出すことはない。
いい思い出をつくっていくことが出来るから、たぶん生きていけるのだと思う。
一人じゃないから、生きていける。
けれど、私はどうしようもなく一人が好きなことがある。
他人との距離が縮まりすぎて困惑することがある。時に人が嫌いになることもある。
子供の頃は何も感じていなかった。孤独であることが辛いことなんてなかった。何故、孤独であることがいけないのかわかりませんでした。孤独がどんなことなのかもわからない。
ずっと大人になんてなりたくなかった。
だけど、今はそれが良くわかる。
時々、孤独が辛い。それなのに、他人との距離が怖いことがある。友人たちは平気なのに、家族や他人とはどうすればいいのか、わからなくなるときがある。
新しい友人が欲しいのに、距離をとってしまうので友達になることもできない。

マリとエリの二人の確執がここには描かれています。
エリはどこか知らないところへ、深い眠りの中に落ちています。
目覚めない姉を見ていられず、マリは深夜の都会で裏の世界を垣間見て、人と出会って、姉との距離を縮める決心をしたのだと思いました。
私は、とうてい縮めることなど出来るとは思えません。

本ってなんだろうと思います。以前はライトノベルばかり読んでいましたが、近頃ではその薄っぺらい世界がわかってきました。もちろん重厚な世界も存在しますが、あまりの薄っぺらさに嫌悪すら抱くときがあります。
昔読んでわからなかった本が、今ではわかるかもしれない。
本は、他人の思考ですよね。
私はその他人を貰っている。読まなくてもいいものだけれど、私は多くの人たちの思いを貰って生きているんですね。
そうして、貰ったものは確実に私の糧となっているのです。

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カオス・レギオン

 富士見ファンタジア文庫 冲方 丁・著
 私の中では、ゲームよりも絶対こっちの小説のほうが面白い。
 ゲームありきのノベライズですが、これはゲームよりも小説の方がヒットしたんじゃないかと思うくらい。
 ゲームの方だと、様々なタイプのモンスターを召喚して敵モンスターを蹴散らしていくアクションゲームだそうです。声の出演に、俳優陣を起用したゲームですね。興味があって買おうとも思ったのですが、小説のイメージを大切にしたかったのでゲームは買っていません。

 上位のキャラに主人公のジーク・ヴァールハイトがおります。その親友であり裏切ったヴィクトール・ドラクロワ。二人を支えた女性、シーラ・リヴィエールがおりますが、彼女は亡くなっているんですねえ。
 愛するシーラを失ってしまったドラクロワは世界に絶望し、理想のために外典イザーク書に手を出し力を手に入れ暗躍をはじめる。
 他にはアーシア・リンスレットというサブキャラがいるようです。小説のオリジナルとして、ノヴィア・エルダーシャがいるようですね。ノヴィアがゲームでいるのかどうかは、ちょっと確認してません。
 ジークとドラクロワの対決がゲーム本編なのですが、その本編よりもさらに長い物語が小説で展開していきます。聖法庁を離脱したドラクロワを追って、ジークはあちこちを旅して彼を追っていくのです。
 本編では、ジークとドラクロワの対峙が主な展開で、二人の決着で幕を下ろすのですが、すでにこちらよりも、おまけではじまったはずの小説の展開の方が比重が高いです。

 巻数表示なしが、ゲーム本編の小説。0が外伝仕様で、ジークのお目付役として従士として仕える、ノヴィアという少女との出会い。01から05までが、ドラクロワを追っていくまでの物語。ノヴィアは修道女として特殊な能力を所有しています。
 この世界の宗教観念はよくわからないのですが、王家だかなんだかの他に聖法庁と修道女たちの<銀の乙女>という組織があるようです。
 ノヴィアが持っている能力は、万里眼と幻視の二つ。視線に関する能力ですね。銀の乙女の中でも複数の力を持っている修道女は珍しいようです。
 万里眼は文字通り、千里眼の能力。遠くにあるなにものも、隠された物もこの視線から逃れることは出来ません。幻視の力は、見えると念じることで具現化する能力です。他者の能力で具現化している現象を、見えないと否定することで解除することもできる強力な代物。
 おまけとして、アリスハートという妖精がノヴィアの親友としてついていきますが、彼女の存在のおかげで暗い話も明るくなります。

 もだえるほどに完璧に格好いいジークが主人公ですが、彼はすでに強すぎるので成長の余地無しです。なので友情の葛藤に悩むのが常。
 逆にまだ未熟なノヴィアが能力を使いこなし、ジークの右腕として成長していく物語です。本編でのノヴィアはかなりのしっかり者で、幼いながらにジークを支えているのですが、二人が出会った頃は無口で影を背負ったジークとの関係に思い悩んでいます。
 やっぱり、見所は彼女が活躍するところですね。幻視の能力を受け継ぐ試練、大勢の民を守るために橋を架けるところなんか圧巻です。
 達観していて大人のジークとの関係に思い悩むところにつけ込まれるも、逆に信じることを学びます。同じ年頃の少女の存在に嫉妬したり、やきもきしたりして、物事を客観的に見ることを学びました。
 本編では、年上のアーシアがやはり達観しているジークの態度に苛立ちますが、ノヴィアが宥めてしまうのですよ。それもこれも、二人の絆がどれだけ強くなったかがわかるというものです。
 ジークはノヴィアの前に、四人もの従士を死なせてしまっている過去がありますが、どうやらノヴィアはジークについて行けそうですね。

 この話が完結してしまって、本当に残念でなりません。著者の新作に期待大です。
 正直この方のデビュー作である「黒の季節」とか「ばいばい、アース」はとっつきにくいのです(読んだけど)が、SF大賞を受賞した「マルドゥック・スクランブル」とか「蒼穹のファフナー」「ピルグリム・イェーガー」なんかは、やっぱり面白いです。正直、アニメ「蒼穹のファフナー」の方は驚きでしたが……。漫画の原作までやられているなんて、すごいです。

 ちなみにこの本の著者が本の帯にコメントしてた、早川書店のグアルディアを購入しましたが、そっちは脱落しました。政治の話が盛りだくさんで難しい。
 逆に面白かったのが、女子大生会計士の事件簿。経理系の資格取得を目指す人たちむけに書かれた、いわゆるテキスト本。会社に勤めているので、いわゆる経理とかはついてまわるのですが、知識が皆無です。そんな人にお勧めな本。推理小説ではありません。会社の経理の仕組みを勉強できて面白いです。いかんせん、おいてある書店は限られるのが難点ですね。

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テイルズ・オブ・リバース

ADSLからようやく、光に進化しました。長かった……。
ダイヤルアップではアクセスしてられないから、もう二週間も何も書いていなかった。

テイルズ・シリーズ最新作。
今までとは違うタイプのヴェイグが主人公。
今までを振り返ると、確かに赤がイメージカラーの元気なタイプが多かったですしね。属性も、火が多いですよね。
声優も、草尾毅 関智一 石田彰 福山潤 小西克幸 檜山修之 と歴代の声優陣ですね。
なんてごーかな。
キャラクターデザインも、藤島康介、いのまたむつみ と二本柱。
このシリーズの目玉として、オープニングがアニメみたーい、なところがあります。
しかし、デスティニー2と同様今回のリバースもちょっとなー。
PS版シンフォニアはすっごくかっこよかったので、期待していたのですが~。
あれでは、アニーとユージーンの話じゃないカー!
つーか、シンフォニアのプレセアとリーガルじゃないかー!
状況が違うから、わかりましが……。まだ、序盤だからしばらく静観ですかね。
現在は、ヴェイグが五人の仲間と共にさ、らわれたクレアを追って王都についたところです。
女王様は、どうやら人間のイケメン隊長にほの字(死語)のご様子……。
もしかして、女王様、騙されてませんか? そういう展開? そうじゃないのか?
女王様の色恋沙汰に、主人公たちは巻き込まれているのか!?

ストーリー的になんだか、嫌な予感が……。

獣人のガジュマと人間のヒューマ。
二種族間の恋愛は禁忌とかいって、これもシンフォニアのハーフエルフねたと被るんでは……?
いままでと違って、ヒロインが非戦闘員であることと、メンバーが六人というのはちょっと今までと違う感じ。
シンフォニアは八人もいましたからねー。戦闘メンバーの交代要員って実際には必要ないんですけどね~。
でも、ヒロインが非戦闘員っていうのは、どうなのか?
過去にスクウェアで、ゼノギアスのエリィはああなったし、FF7のエアリスはあんなことになっちゃったし、非戦闘員であるヒロインの場合、そういうことがかなりの確率で起こることが想定されます。
おそろしい……。

このシリーズの戦闘って苦手なんですが……。
デスティニーは偶然以外で、秘奥義とか出せなかったから、シンフォニアとかはやりやすくって良かった。
今回は二人技なので、配置とか難しくってやっぱり偶然に頼らざるを得ないです……。狙ってできない(苦笑)。
回復方法も、魔法で回復力を上昇させる、というのが主なところなので、大幅に回復させたいときは回復アイテムを使わざるを得ず、料理の頻度が上昇しています。
ばたばた人が死ぬよー。

どうしても、この前にプレイしていたDQ8と比べてしまう。
シンフォニアの後のDQ8は、キャラが喋らないことに違和感ばりばりだったのに、今リバースやってるとキャラたちが喋りすぎて鬱陶しい(笑)。
それに、DQ4は戦闘メンバーに控えがいなかったので、なにも考えないで良かった。
だが、今回は六名。使い勝手も正直難しい。
主人公ヴェイグ。なぜ、村で生活しているかの青年に、剣が使えるのかちょー不思議。誰が教えていたのか? クレアのパパじゃないことは確か。他には考えられないし? ていうか~、クレアと二人で集会所でなにをしていたのかしら? 今後の化け方に期待。
回復役のアニーが、……サークルで囲うだけかよ~。しかし、術技を使って敵を攻撃しながら回復するだけなんて、困難すぎる。
かつてのように、主人公キャラははずせないなんてことはないので、他の五人をローテーションするような感じでしょうかね?
ティトレイが打たれ弱くて困る。そう思うだけなのか? なんだか、特定の技を使おうとしないのは、作戦が不味いのか? 突っ込んで死にやすいし。
マオのガスティーネイルは強い。
魔法使いその2の、ヒルダ。占い師? 正直、美人占い師にあの生い立ちが結びつかないのですが……。
なんで、あの生い立ちで占いなんてやるの~?
だが、とにかくレイラ・ハOルトンの大原さやかだから~? どうとでもなるんですけど?
街のポスターのコメントで「サーカスはないのかしら?」にキョドってしまう私。
だが、それはともかくやっぱし、ユージーン=石塚運昇でしょう。私は、喋るアニマル系が好きなです。
FF7のレッド13とかね。
前作の、立木文彦や大塚明夫に続き、オオキド博士だなんて、あーた、どーします? 冒険王ビィトのあとだとちょっと笑っちゃいますけどね。

ヴェイグとクレアがステップアップしたら、状況が変わるかも知れませんが、今のところはまーまーな感想でしょうか。FF8の時くらい二人の世界になっちゃえば、燃えるんだろうけど~。

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