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ブルータワー

徳間書店 石田衣良・著

というわけで、読み終わりました。
六時間くらいでしょうかね。カンフーハッスルを観つつも、本も読みました。普段はあんまりしない荒技です。
本当は積んであった推理小説を読むつもりだったのですが、コメントを頂いた方のお勧めということなので乗り換えました(笑)。
近頃では映画の上映時間が伸びるとともに、本もますますぶ厚くなっていく気がするのは、気のせいでしょうが、長いです。今回のブルータワーは普通の分類ですかね。
長いのが悪いことはないのですが、近頃はとぎれとぎれ読んでいくのが嫌なのでなるべくまとまった時間がとれたときに読むようにしています。そうすると、どうしても週末しか読めないんですよね。
日常では短編の文庫を持ち歩いたり、軽く読めるライトノベルを持ち歩いています。しかし、週末だけで読める分量じゃないことも多い。特に、京極(苦笑)。数冊に連続する場合などは、仕方がないので時間をかけて読みますが。

別の所でも書きましたが、持ち歩くと本が傷むので嫌なので。私は本の表紙よりも、硬いビニールの袋に本を入れて持ち歩くようにしています。

石田先生の本は、今までも何冊か読んできましたが、どれも面白いですよね?
最初に読んだのは「4TEEN」ですが、あれも好きです。
あれにも重い病気持ちの少年が出てきましたが、今回は脳腫瘍に苦しむ中年男性が主役でした。

だが、今回はNGワード(?)が。
私は近頃、現実逃避型(異世界転移)が好きじゃなくなってきました。
昔は好きでした。少年が異世界にとばされて、世界を救う話です。現実世界でなんの取り柄もない、あるいは忌避される子供が、異世界では世界を救ってしまうんですよ。
後ろ向きな少年時代を過ごしていた私にとって、こういう話は自分の未来に希望をくれました。しかし、反面いつか超能力に目覚めるんじゃないかとか、魔法が使えるようになるんじゃないかとか、妙な思念に囚われたことも確かです(死)。
いい加減、ピーターパン・シンドローム!
近頃の作品だと、宮部みゆき著の「ブレイブ・ストーリー」ですかね? あれも両親の離婚をどうにかしたくて、異世界に旅立つ少年の話ですね。

彼らはどうしても私が出来なかった、「異世界にいって世界を救う」をして、現実世界に戻ってくると別の人生を歩み出すんですね。
それが羨ましくて仕方がないんです。
人の再生の物語は、素晴らしい。ただ、そこに「異世界に行く」要素が含まれると反感に変わるようです(苦笑)。
愚かしいけれど、結局やっぱし大人になりきれてないだけなんだろうなー、と自分に呆れるだけですね。
自分を変えることは難しいことです。その努力が出来ないくせに、ただ羨むだけ。
そんな自分が嫌いで、こういう話で主人公たちが生まれ変わってもとの世界に戻ってくるのが、嬉しいのも事実。
自分も変われるんじゃないかと思う。
異世界に住み着いちゃうのは、本当に現実を逃避したままになっちゃうので、好きじゃありません。

著者は、ファンタジーははやらないと仰っていますが、どーなんでしょうか?
「ハリー・ポッター」「指輪物語」とか「ハウルの動く城」で結構はやってたんじゃないかと思います。最近では下火になってきましたが、それでも海外のファンタジーが新しく入ってきたり、復刻するのは喜ばしいことです。

鬱憤晴らしはともかく。
主役の周司が、四十代のおじさんというのは意外でした。
今までが若い世代の話が多かったので、若い人の話なのかな? と漠然と思っていましたので。
今回は、脳腫瘍の痛みで気を失うと、二百年後の未来のシューに意識が入り込む形で過去と未来を言ったり来たりします。
身体ごと移動しないのがミソですね。それが今回のトリック。
周司はシューとなって、二千年後の未来にはびこる凶悪な病から人類を救おうと戦うわけですね。

学生時代は、ファンタジーしか読んでない私は、こういう作家さんがファンタジーを書くのに、違和感を感じたりします。
「ブレイブ・ストーリー」もそうでしたが、現実世界の生々しさと、異世界の間に温度差が生じてしまうんですよねえ。
異世界の話を知人にして信じて貰う、というのはかなり現実離れしていることで、やっぱし頭がおかしいと思われても仕方がないことなので……。
ライトノベルだとそんなことないんですよねえ~。記されている社会が、異世界の存在を容認して書かれている気がするのです。現実の世界ではなく、パラレルワールドの現実世界というべきか……?
だから、こういう石田先生や宮部先生が描く現実世界は、時にリアルすぎるので、異世界と相容れないんですよねえ。
まあ、作品の概要には関係ないんですけど~。

そんなことはともかく、この先生はやっぱりいろいろと勉強されているんだろうなあっと感心します。
作中に登場するインフルエンザのこととか? こういうのは、創作って訳にはいかないんしょうから、ある程度根拠があることが書かれているんじゃないかと思います。私なんかは、そんな知識はさっぱりなので照らし合わせることはできないのですが。

現実社会にある、種族間の抗争、戦争、差別などを織り交ぜて語られるのは、ニュースで身近なことばかり。だけど、遠い世界の話。
結局、実際に周司が体験した悔しいこと、悲しいことを感じ取れず、想像するしかないことに歯痒いことしきり。
未来の世界を救う方法に苦心して、それを克服する最終章の「愛のメモリー」では、感動することしきり。
周司は四十歳。
私が四十歳になるにはまだまだ時間がありますが、それでも四十歳の彼が悩んで苦しんで乗り越えて生きていく様は、少し安心だったりします。
人間いくつになっても、そういうことは続いていくんですね。
大人になりたくないと思っても、時間は進んでいきます。結局、年を取ってもなにも変わらない自分に嫌気がさすけれど、いくつになっても人はそうして生きているんですね。

なんだか、前半おかしなことになっていますが、別に作品に対する評価じゃないんですよ?
ただ、異世界で成長して戻ってくる主人公たちに、妙な嫉妬をしているだけなんです。

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Comments

北風さん、こんばんは。

>私は近頃、現実逃避型(異世界転移)が好きじゃなくなってきました

そうでしたか・・・。
学生時代ファンタジーたくさん読まれたのですね。私は逆でサスペンスやミステリーが読書の始まりでした。だから昨年読んだ本best2も異世界転移ものなのだな(笑)。とても納得です。異世界転移もののお薦め、ありましたら教えてくださいね。楽しみにしています。ところで「持ち歩くと本が傷むので嫌」というのは頷いちゃいました。私も硬めのカバーを必ずしてますよ。それでは、また伺わせて頂きます。

Posted by: bamse | January 18, 2005 at 05:11 PM

コメント有り難うございました。
>「タイムライン」、映画と書籍とどっちが面白いですか?
私は書籍の方だと思います。映画って結構削ってあるし、書籍から映画にしたのって何が伝えたいの?って思うこと多いんですよねぇ~。 
「童話物語」「ライオンボーイ」は聞いたことある(見たこともある)んですけど、読んだことなくってー。今度、読んでみます!!
今、私が目をつけている本は「セブンスタワー」「レイチェル」シリーズなんです。小学館から出ているから大人はダメ?なんてこともなく、またちょっと難しそうだから子供じゃダメ?ってこともありません!!まぁー言えば、「老若男女」問わず読める読み物です!!
もし読んでなければどうぞ!!
(ダレン・シャンもよろしく。。)

Posted by: カツ子 | February 09, 2005 at 08:36 PM

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