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きみに読む物語

驚いた。これはなに? 誰も死なないのにこんなに感動するなんて、信じられない。
いや、誰かが死んで泣くのは、それが悲しいからで、それって本当に感動したからなの? ということなんですが。
「世界の中心で愛を叫ぶ」は、しかも泣かなかった。

アーティストハウス ニコラス・スパークス

新潮文庫ででていたんですね。
まあ、修正入っているようなので、いいか。というか、心に響く一品でしたのでなんでもいいから素晴らしいとしか言えない。
「結婚式」という続編が出ているという話で、是非ともそちらも拝読したいものです。
英語は苦手なので。
原文で読めないというのは、ある意味不幸なことではあるよーです。訳者によっては表現が変わってきてしまうと言いますが、読めないんだからしょうがない。
自分を弁護して、とりあえず日本語になっていれば、感情移入して読めるということですよ。
だいいち、英語が流れるように入り込んでくるなんてことは、相当鍛錬が必要なことでしょう。
第一、直訳がせいぜい。
プロが訳した日本語というのは、もちろん語彙や表現力があるはずで、英語ができたってそうした能力に欠けているならば、原文を読んでなにが楽しいのだろうかと思うのです。
まあ、そんなことはどうでもよろしい。
学生時代に「マディソン郡の橋」「スローワルツの川」「ボーダー・ミュージック」を図書館で借りて読みました。マディソン郡の橋はあまりにも有名ですね。
どの作品の男性も、野性的で精悍だった印象があります。ただ、その頃の私はそこまで感動しなかったと思います。まだ、感じるべき琴線が何もなかったのですね。経験値がたりなさすぎました。今も低い。読書によって、人生の経験値を埋めようと躍起になっている今日この頃(?)。
「スローワルツの川」は、愛し合った女性がある日突然いなくなってしまって、男のほうが彼女を追っていってしまうのでしたか。その女性も複雑な過去を背負っていて、最後どうなったのか覚えていません。
「ボーダー・ミュージック」は、この主人公が格好よかったのですっごく印象に残っています。名前まで覚えてるし。そう、ジャック・カーマイン。ゆきずりの女性と恋に落ちてしまうんですよね。確か女性の母親は反対するんだけど、女性はロマンティックで奔放な彼に惹かれてついていくんです。が、ジャックには戦争を経験したために精神にトラウマを抱えていて、結局上手くいかなかった、という話だったと思います。

危険な男は魅力的だけれど、女を幸せにすることは出来ないわけですね。
昔、友人が手紙に書いてよこした一文を思い出します。
「男は強くなくては生きていけない。優しくなければ生きている資格はない byチャンドラー」
チャンドラーって誰? と、当時は思ったものだが、今わかった。フィリップ・マーロウの、レイモンド・チャンドラーだったのか!! 私は当時、その本を読んでいなかった。以前読んだが、気づきもしなかった。
彼は今どうしているのだろうか? 厳格な父親になっているだろうか?

きみに読む物語は、マディソン郡の橋とは対照的です。年齢が違うし、家を訪れるのは男ではなく女のほうです。
冒頭、十代の頃の初恋の思い出。二人は別れてしまいますが、それでも互いに十四年間ものあいだ忘れずにいた。
そして、十四年目の再会。そこでもう、涙が出た。
あとはもう、引き込まれるだけ引き込まれた。
惹かれあう二人の姿に釘付けで、どうしようもない。
時に「噛み締めるように読んだ」「1ページ、1ページ、大切にめくった」とかいう、書評を見かけるのだけれど、それがどういうことかわからず、ただ格好付けているのではないかと勘繰ったこともあった。そんな感銘をうけたことがないから、ただのひがみだったらしい。
私は自分が今までそんな本に出会ったことがなかっただけだった。
1ページ1ページを大切にめくったし、一文一文を繰り返し読み返すこともしばしば。章の区切りでは、一度本を閉じて内容を反芻することすらも……。

わたしはありふれた男だ。でも、全身全霊を傾けて愛する女性がいる。いつでも、それだけで十分だった。
そんなノアという男は、どう考えてもありふれた男ではない。美形だとか、そういうのではなく、男前というよりも、男らしいというほうが当てはまるのだとおもう。しかも、詩を朗読して女性に聞かせることができるなんて、かっこいいとしか思えない。おまけに相手のことを気遣うことが出来て、情熱を持っていて、時期を見ることが出来る。
こんなかっこいい男が、ありふれているはずがない。
そんな彼を育てた父親は、あまり姿を見ることができないが、やはりかっこいい男なのだ。その強さは、しっかりとノアに受け継がれている。

そんな男に愛されるのが、アリー。こちらは美しい人である。別れ離れになった後、彼女はずっと彼のことを思っていたけれど、家庭環境のためか彼を忘れることを決め、ある男性と婚約する。しかし、結婚を前にしてノアの所在を知り、いてもたってもいられず会いに行く。
行動力があり、芸術家であり、絵の才能がある。だからこそ、ノアの詩の朗読にも感銘を受け、自然の美しさに感動できる美しさの持ち主。
彼女は母親とは折り合いがよくない様子だが、彼女の母親はそれでも娘を愛していたことがわかります。そして、娘のことをきちんと見ている。階級の違うノアを好いてはいても、その違いに線を引く。しかし最後は、アリーに対して無理強いはせず、選択する権利を与えてくれたから。

物語はアリーが、ノアと婚約者ロンのどちらを選ぶかで、答えを据え置いて四十年後に移ってしまいます。
その四十年後に切り替わってしまいます。二人の運命に熱くなり、高鳴っていた私の鼓動は静かに冷めていってしまいます。
けれども、ノアは変わらずアリーを愛している。ノアは病床のアリーにそれが届いているのか不安になるときがあり、老いを感じずにはいられない。死ぬ最後の瞬間まで、アリーを愛し続けようとするその姿、忍耐に感銘を受けずにいられない。
そして、アリーが病に伏せる直前にノアにしたためた手紙。ノアはそれを読むのをずっと先延ばしにしているのですが、それがついに開かれたとき、アリーの愛で私は涙が止まらなくなってしまいました。
ずっと、ノアの六十年間の愛の大きさを見ることができた。けれど、物語の中ではアリーの愛の大きさはいまいち量れないところがあったのです。
その最後の手紙に彼女の愛の大きさが溢れていました。

是非とも、続編の「結婚」にお目にかかりたい。
ノアの父親ぶりと、アリーの芸術家としての姿、そして二人の子供たちのことを。

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Comments

きみに読む物語って聞いた事あるんですけど・・・
読んだ事はありません。
今読んでいるのは、映画にもなった「スウィングガールズ」です。
とっても面白いので是非読んでみて下さい。

面白い本、オススメの本があればまた教えて下さい。
お願いします。

Posted by: カツ子 | February 14, 2005 at 09:16 PM

はじめまして。
「きみよむ」最高!何も情報をインプットしないで、先入観なしで見て欲しい映画です。愛する人と生きていく尊さを考えさせられます。ここ数年の中でダントツに泣ける映画です。

Posted by: あいりーん | March 05, 2005 at 05:26 PM

あいりーんさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。TBさせていただきます。
なにやらgooのblogが重くて書き込めないので、こちらのコメントで失礼させて頂きます。

私の方は映画は未見なのですが、素晴らしいようですね。小説で培った自分の中のイメージが強すぎて、まだみにいっていないのですが、ちょっと検討してみようかと思います。

Posted by: 北風 | March 06, 2005 at 05:21 PM

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