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だいこん

食べ物の話は、手が届かないのが残念です。読んでいる間、白米が食べたくて仕方がありませんでした。

光文社 山本一力・著

昔、オズの魔法使いのシリーズを読み漁っていたことがありました。
今もポプラ社のオズシリーズって今もあるのでしょうか?
三巻目、くらいかな?
ドロシーがカンザスに戻ったあとで、おじさんと二人で旅行に行くんですよね。その船が荒らしに巻き込まれて、ドロシーは雌鶏と島に流されちゃうんですよ。
その島には、二本のお弁当のなる木が植えてあって、白いナプキンに包まれたお弁当はサンドイッチが。ブリキのバスケットには豪華なチキンとかの御馳走が詰めてある。
あれが、すっごい食べたかったなー。
ドロシーはサンドイッチを食べて、夕飯にブリキのバスケットを持っていくんですよ~。
そこには、手足が車輪の亜人間たちが住んでいて……。
まあ、それはいいか。あれも子供の頃読み漁ってたんだけどなあ。処分しちゃったしなー。

食べ物の描写と言えば、「剣客商売」のシリーズなんかも有名ですよね?
役所広司が十分番組で、作中の料理を召し上がっていましたし。
小説ではありませんが、辺見庸の「もの食う人びと」も他文化の食生活を垣間見ることが出来ます。
食生活というのは、それこそ文化を現しているのを実感できます。

そういう意味では、この「だいこん」も当時の食生活や文化を知ることが出来ると思います。
もっとも、わかんない言葉も多々出てきますが。わかんなくとも、物語は楽しめます。
肝煎ってなに? 食べ物?
こいうときネットて便利ですよねえ。すぐに調べられるから~。でも、読んでいる間は調べませんけどね。だって、物語がとぎれちゃうもん。

いわゆる、細腕繁盛記。オーソドックスと言えば、オーソドックス。面白いけど。
とはいえ、前置き長いと思いましたが。
それは前置きじゃあなかった。
私は最初っからまた勝手に想像を膨らませて、主人公のつばきが店を構えて繁盛させていく話だと。
だから、最初の第一部で、幼いつばきが料理を覚えるまでを描いていくのは、とっても長くて焦れました。
これは、つばきの半生を描いた物語です。
幼いつばきが店を繁盛させ、新たな門出に立つまでを描いた物語です。

そういう話だとわかったあとは、随分と楽しめました。
それまでのつばきの半生や、料理に出会い、お店を持つようになるまでを順繰りに楽しむことが出来ます。

つばきは、いわゆる強い女性ってやつでしょうか。
読者が感じることは、すべて作中で著者が語ってくれます。
つばきの父親の安治は、江戸の大工。いわゆる江戸っ子ですね。気っ風が良くて威勢が良くて、男だねえ。賭博で失敗して借金を抱えてしまいますが、必死に家族を守っています。
母親のみのぶは、安治一筋で少々子供たちのことがお留守になりがち。けれど、料理は上手いし、いち早くつばきの才能を見抜き、彼女のために貯蓄を始めるのでした。
そして、さくらとかえでの二人の妹。
そんな家庭環境にあって、つばきはしっかりものの、聡い子に育ちます。
飯の炊き方が上手い。どんな飯なのか、食べてみたい。日本人はやっぱり、米だよねえっと思います。

そうして、「だいこん」を開きます。
手作りだいこんの、一膳飯屋。
だいこんは煮物でも漬け物でも、味噌汁の具にも使える。これほど使い勝手のいい野菜は、ほかにない、とか。
だいこんをおろして、もちにつけて食べるのが美味いという。
ああ~、美味そうだ~。もちまで食べたくなってくる。

そんなつばきも恋をするのですが、結婚しての幸せよりも、お店をとってしまうのですよね。
いまテレビで「不機嫌なジーン」が放送していますが、そちらでも仁子さんは、南原教授よりも研究をとってしまいましたねー。

つばきは何事にも物怖じしません。借金取り押しかけられていたためか、度胸が違います(笑)。
曲がったことが大嫌い。相手が目上の人で退きません。しかし、間違ったことをしたとわかれば、ちゃんと自分から謝ることが出来ます。
志が高いと、良い仲間が集まる、というそうです。
つばきは様々な困難にぶつかりますが、幼くして苦労していたこともあって、用心深く、人柄から客に慕われ、人の縁にも恵まれます。
努力する人はやっぱり違う。
彼女はここぞというときに運が強いのですが、それはやはりつばきが自分でいろいろなことを積み重ねてきて、時勢の読みを誤ることがないからなのだと思います。

そんな彼女が店を切り盛りする様子は気分が良く、店で騒動が起これば、客が彼女のために席を立つ。
喝采ものです。
夜の九時から読み始めて、深夜二時まで一気に読んでしまいました。
久しぶりにすっきりさせてもらいました。

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新本格魔法少女りすか 2

2ってことは、1があるわけで、実際最近はせこいと思うのですよねー。
だって、雑誌だけ買ってても、雑誌連載の外伝がすべて文庫化するとは限らないわけですよ。
だとするとね、逃しているエピソードがあるわけで~。
逆に、雑誌掲載以外の書き下ろしが、本になったときには巻末にあったりするわけです。
それって、とっても悔しくないですか?

講談社 西尾維新・著

ドストエフスキーの「罪と罰」、上巻を読み終わったところで力尽きました。

日日日の「ちーちゃんは~」を読み始めて、数行で止めました。
なんで最近のライトノベルって、強烈な個性を持ったヒロインに、常識人の主人公ってゆー図が多いのでしょうか?
常識を無視した強烈な個性に押されて、主人公が振り回されるという図。エロゲーか? エロゲーなのか? そういう影響? なんの取り柄もない平均視聴率な主人公が、何故か複数の美少女たちに愛されるという、あれなのか!?
私はシミュレーションゲームは嫌いです。
っていうか、最近のトレンドなの?
私は奥ゆかしい、昔ながらのファンタジー、ジョージ・マクドナルドが好きなので、なんとなくそーゆー構図が好きじゃないです。
なんで、ヒロインがあんなにおばかさんなのか意味不明です。
あ、なんか毒を吐いてる。ちょっと花粉症の症状が酷すぎて、こうでもしないとやってらんないって感じ?

作品自体は評判悪くないようなので、そのうち気が向いたら読むことにしようっと。
いきなり好き嫌いの範疇にはまるなんて、不運な作品。読まず嫌いと言ったらそれまでだけれど、それ以前にこの世の中にはあまりに本が溢れすぎているー。

この方の作品は面白いのですが、戯れ言シリーズは長いので、とりあえず連載がはじまったこちらに飛びつきました。雑誌の「ファウスト」に連載しているので、継続的だし、枚数も安定して続いていくはずですから。

つーか、この作品のヒロインって「破天荒な魔女っ子」で、主人公は「普通の人間」じゃん!?
さっき言ってたのと、おもいっきし矛盾してんじゃん!?

と思われるかも知れませんが、違います。
とりあえず、そんなつっこみはおいておいて。

私はこの方の作品で読んだのは「零崎双識の人間試験」と「クビキリサイクル」の二つです。
「クビキリサイクル」面白かったんだけど、先が長いのでちょっと寄り道中。これはヒロインが破綻気味な天才で、主人公が普通っぽい。著者はこういうパターン多いのかな? そっか、だから敬遠気味なのかー。

「零崎双識の~」は、随分と殺伐としたお話。殺人鬼と暗殺者のお話なんだから、当たり前かー?
正直、R-18指定だと思うんですけど、どうなんでしょうか? 本にはなんでそういう制限ないのかなー? エロい小説とかってあれ、小学生でも買えちゃうじゃんって思うんですけど? そういうの目的で売ってる本もあるけれど、一応そういうのが副次的なものもあるわけで~。
って、そんなことどーでもいいか。
でも、両腕切り落としちゃうなんていうのは、めちゃくちゃ退く。血がどばどばだし、ミンチだし、危ない。でも、面白かった。最期は寂しかったし。

主人公の創貴君は、小学生。登校拒否の魔法少女に振り回されちゃうどころか、手駒として操り、世界制覇しちゃおうなんて考えてるツワモノ。頭の回転も速くて、クールだし、残忍。自己犠牲できるのは、勝算があってであり、決して自暴自棄になってではない。
だけど、やっぱりまだ小学生。時折未熟で詰めが甘かったり、パートナーであるりすかのことでは、彼女を扱いきれずにいるのです。
こんな完璧な小学生いるはずねーじゃんと思いながらも、そういうところが妙に子供らしくて、好感が持てるんですよねー。憎みきれない。
ヒロインのりすかは、魔法少女。自分の時間を操ることができて、その力で大人に変身して敵をやっつける。なんだか妙な日本語を話しますが、文法が間違っていても、ちゃんと通じるしね~。彼女もまたかわっているのは、話し方や魔女としての考え方くらいで、年相応の思春期の少女が描かれていると思います。
その辺り本当に上手いよなー、と思います。

今回は、りすかの天敵ともいえる強力な魔女つなぎが登場。りすかいろんな意味で大ぴんち。
書き下ろしは、創貴の過去の回想が主かな? お父さんも登場。お母さんも出てきます。なんていうか、創貴君の暗い過去を垣間見ることが出来るエピソードで、ますます好感触って感じです。

ますます予断を許さない、次回に期待大です。

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ナショナル・トレジャー

ニコラス・ケイジがこういうのに出るとは思っていなかったのですが、時代がそうだからなのでしょーか? って、他の作品なんて全然観ないくせにとか思ったりなんかもしますけれど、そんなことないんだよね。最近見にいかなかっただけに。一時期凄く好きな俳優さんだったんですが。
二枚目じゃないけれど、愛嬌のある顔だと思うんですが。
一番好きなのは、「ザ・ロック」かな? ショーン・コネリーも出てるし。
でも、「コン・エアー」も好きだなー。「60セカンズ」も。
名作と名高い「フェイス/オフ」は実はあまりお気に入りではなかったのですが。
あと、「シティ・オブ・エンジェル」はかなりはらはらさせられた気がします。恋愛映画だったんですけれど、あの歌が印象的で今も耳に残っている。
でも、なんで「マッチスティック・メン」観なかったのかしら?

YAHOOの映画興行成績ランキングを観ると、日本映画が席巻している! ほとんど、ロックマンがワンピースを抜いているのはやっぱり、今が春休みだから? いや、来週辺りからか。春休みったって大学生とか、高校卒業したひとたちとかだよねえ。

ナショナル・トレジャー
世界の宝。
正直出だしからテンポが悪い。
謎解きって映画だと難しいよねー。しかもこっちは知識がないので、実はついていけない。
勢いに乗っていければいいのだけれど、その辺勢いが足りず、こっちは足踏みしているのを苛々して観ていなければならないところがあるのです。
まあ、そのテンポの悪さも、場面が進むと共に鬼ごっこの様を呈して、スパイスが効いてくるのです。
財宝の手がかりを手に入れ、その謎を解いていくベンとその仲間たち。
けれど、その財宝を手に入れようと迫り来る追っ手。そして、警察。

その追っ手に扮するは、LOTRのボロミア、ショーン・ビーン。相変わらず渋いハンサムじゃーん。金髪だし。もとより金髪なのか?
LOTR勢を映画のスクリーンの中で探している昨今。見つけると嬉しい。なにせ、LOTRは雰囲気のためか、割と長髪が多いので、印象ががらっと変わる。カール・アーバンのように全然変わっちゃう場合もあるし。
ショーン・ビーン、名悪役って感じですよね。とはいえ、やはり歳は取っているー。
「007」で、ピアース・ブロスナンと共演したときも裏切り者だったしなー。「RONIN」ではジャン・レノと。でも、情けない役柄でチームを追い出されちゃうんですよねー。「トロイ」では、ブラッド・ピット扮するアキレスの良き理解者的な立場でした。
そういえば、ヴィゴ・モーテンセンは最近見ませんね……。

最初に期待しない方がいいと言われていたので、逆に心構えが出来ていて(笑)、面白かったです。
揺るみがちなところは、ショーン・ビーンがしっかり引っ張り直してくれまっしたしね。
財宝だから、トゥーム・レイダーのような摩訶不思議な財宝を期待していなかったし、あれだったらたぶん「ハムナプトラ」の地下に眠ったピラミッドの財宝の方がもっと凄かったと思う。
でも、それじゃないのよね。
最期まで謎を解いても手掛かりだけ追っていくだけで終わっちゃうのかと心配もしたけれど、一応の決着もついたし、次の地図も出てきたよーなので(?)続編もあるのでしょうか?
現代の「インディ・ジョーンズ」と思わないでもなかった。続編立ち消えちゃったみたいだし?

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呪縛の島の魔法戦士

魔法戦士リウイ ファーラムの剣
富士見ファンタジア文庫 水野 良・著

ライトノベルです。
このシリーズは、ソードワールドTRPGの舞台であるフォーセリア世界のアレクラスト大陸を舞台にしたお話。
以前短編集を取り上げましたが、それのシリーズものの一つです。

竜殺しの王リジャールが興した、オーファン王国、その私生児であるリウイ王子のお話。冒険者仲間の四人はすべて女性という変り種パーティです。
シリーズは「~の国の魔法戦士」と「魔法戦士リウイ1~0(全十巻)」の二構成ですが、前者が本編とすると後者は本編までの外伝とでも申しましょうか。
「魔法戦士リウイ」の方は、女性陣がメイド服を着せられた辺りで溜息が出たので、全十巻一応目を通したので、古本屋へ。
「~の国の魔法戦士」は面白いのでとっておいてあります。
最近は読む本の趣向が違ってきているので、物足りない感はありますが、今回の「呪縛の島の魔法戦士」には著者の代表作である「ロードス島戦記」が深く関わっているので、あの主人公も登場するのです。ロードスファンにはたまらない一作でしょう。
しかし、私は「新ロードス島戦記」は読まなくなっちゃってるんですが……。

ソードワールドはシェアードワールドノベルになるんですが、「へっぽこ冒険者とイオドの宝」の冒険者たちと同じ時間を生きているのが感慨深いです。世界の広がりを感じますよね。
国の大事に奮起して国を救い、新たな使命を帯びてオーファンを旅立っていくリウイ一行。その間、オーファンを襲う事件を解決していくへっぽこ冒険者たち。二つの物語は平行して一つの世界に存在しているんですよね。
それがこの世界の醍醐味でもあるわけですが、こうして上手く決まると一ファンとしては嬉しい限りです。

今回の、ファーラムの剣は、ソードワールドの過去の時代である魔法王国時代の偉大な王の名前。
実は過去にその名前が。TheSneaker誌上で、ファーラムの若かりし日が描かれた小説が一回だけ載ったことがあったのですよねー。
連載を楽しみにしていたのですが、結局は幻の作品になってしまったのでしょう。荒れ一回きりだと思います。
最近はTheSneakerも買ってないしね。

今回、登場したロードスの主人公、パーンとディードリットですが、実は期待半分、不安半分でした。最近は著者も趣向が変わってきたような気がしていたので、やはりそこは心配だったんですよね。
作品が違うということもあるのですが、違和感が大きいとがっかりするのは目に見えていますから。
とはいえ、それも杞憂だったようで。まったく違和感がないというわけではないのですが、ディードリットはそうそうこういう感じだった、という感想を素直に抱けてよかった。パーンがちょっと、主人公から脇役に回り、リウイの視点からのためか人間味が薄れて英雄然としてしまうのがちょっと寂しい。ディードリットも絶世の美女の扱いで、少々苦笑気味。ロードスではそこまでの賛辞はなかったしー。
と、割とつっこみどころ満載ではありましたが、楽しませてもらいました。

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海辺のカフカ

思ったほど難解ではなく、思っていた以上に予想外な感じでした。

新潮社 村上春樹・著

カフカの「変身」をまだ読んでいません。積んであります。そのまんま。読んどきゃ良かった。
文庫版が出ちゃったので、悔しいので読んだようなものです。やっぱし、ハードカバーは高級感があります(安い価値観だなー)。ドラクエの小説もやっぱし、ハードカバーじゃないとね。ですが、基本的に文庫で十分です。場所を取らないから、絶対文庫本がいい。ハードカバーが多くなってね生活スペースがあっという間に浸食されている。どっかに、書庫を借りなければならない時がくる気がする。
なのに最近はハードカバーばっかり買ってる。なにせ、児童書はハードカバーばかり。文庫化することもあるようですが、ちょっと考えられないし、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」はやっぱしハードカーバーの二色刷じゃないといかんでしょう~。
しかし、ちょっと振り返ると最近は児童書も読まなくなってきた気が……。そのうちまた一周する気もする気がするけど、「ダレン・シャン」を図書館で借りなくちゃならない。あと、「エルフ・ギフト」。
なんだか、ハリー・ポッターでいろいろ出るようになってきたのは嬉しいけれど、それ故に「なんでもかんでも」的な感じがあって困惑気味ですね。出版社が選んでくれていたけれど、今は自分で詠む本を選ばなくちゃならない。

一日一冊で、土、日と上、下巻読んだわけですが、最初に読んだのが「ねじまき鳥クロニクル」だったので、やっぱり随分と印象が違います。
余所様のblogも拝見。
やっぱし、一回読んでみただけじゃわからないんですねー。
「ねじまき鳥」ほどじゃない気もしますが、あれは本当にわけがわからなかった。あっちのほうが、「辺境」の話な気がした。読んだときが若すぎたので、現実と虚構の狭間にある世界を垣間見たようで、全然物語の中に色を観ることが出来なかった。なんだか知らないが、今でも印象が強烈に残っているという意味では、凄まじい気がする。
作風が変わってきたという話は、「アフターダーク」の時も聞いていたけれど、やっぱり変わったんですね。親しみが抱けるようになってきた。「ねじまき鳥」に比べれば、というわけですが。
少年が旅をする、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」のようなものなのかと思っていたら、ファンタジーでミステリな話でした。

読んでいるときにいろいろと感じたり、考えたりすることも最近になってからでしょうか。
以前は本当に、文章が私の中を通り過ぎていくだけで、消化されることがなかったのだと思います。そういう意味では、成長が遅いんだろうか、などと考えたりします。もう手遅れじゃん? と振り返る。
大学ははっきり言って、無意味だったかなと思います。自分にとっては、無意味に時間を消費していました。もちろん、それがまったく無駄だったとは思いませんが、無意味だったなーと。
高校卒業して働きに出ている人たちと話をさせて貰うと、自分がなにをしていたのかと思います。同い年で結婚していて、家を持っていて家族のために働いている彼は、立派だし格好良かった。
けれど、自分は今もふらふらしています。
それに加えて、学生時代に無駄にすごしたために、社会に出てから出来ないことの多さに愕然とさせられました。
救いは今一人暮らしをしていることか? これだけは社会に出なければすることもなかっただろうと思います。私はそういう奴です。
「いつでも出来る」と本当に思っていた。でも、今となっては何も出来ない。
授業をさぼったことはないし、家出したこともない。長期旅行もしたこともない。
会社をさぼると、首になります。でも、授業を少しさぼったくらいでは、退学にはなんないよね。
ああ、からっぽの学生時代。せめて、もっと本を読んでおけば良かった。
学生の皆さん、社会に出てからではなにもかも遅いことがあります。遊びすぎている人はともかく、真面目すぎる人は少しだけ遊んだ方がいいです。
私は会社を辞めて、それをすることも考えたけれど、出来そうにありません。その後、再就職する自信がありません。手に職がない証拠ですね。

主人公の田村カフカは、十五才で自分を鍛える忍耐力を持っている。
やっぱし、家出を経験しておくことは、必要だったか? それでやばいことになっちゃ不味いから、せめて小旅行でもしておけばよかった。彼は鍛えていて、ずっとそれを続けていくことが出来る。

物語は、田村カフカが四国の市立図書館に辿り着き、そこで自分のルーツと自らの闇と向き合うことになります。そして、ネコと話が出来るナカタおじいさんと、偶然ナカタさんを乗せることになったトラック野郎のホシノ青年の二人旅が語られていくことになります。
なんとなく「ブギーポップは笑わない」を思い出しました。あれはもっと登場人物たちが多いし、互いに何も知らずに一つの事件に関わっているという。
田村カフカも、ナカタさんもホシノ青年も出会うことはないのですが、互いの行動が互いに影響を与えて話は進んでいきます。

それにしても、田村君身体鍛えているんですねー。
私は今も年を取るだけで、衰えていく身体をそのまま放置しています。金曜日から顎が痛くて、ものを噛むと頭が痛みます。週末の楽しみとして、するめを食べていますが、今週は断念せざるを得ません。左足の股関節もときおり痛むし。
何かせねばと思うけれど、それに達成感を見いだすことが出来ず、結局やり遂げることが出来ない。忍耐はもちろん、やっぱ短気なのだろうなー。
それを考えたら、田村カフカはタフで私にない強さを確実に持っていて、羨ましく思う。ただ、格好いいとは思わなかった。それはやっぱり、年下の少年だからだろうか? 常に性の問題に悩まされているのも、この年頃の少年を象徴しすぎている気がするからか?
強さに関しては彼は悩むことがありますが、肉体の強さはやはり精神の強さに結びつくと思う。
作中、ネコと話が出来る障害者っぽいナカタさんが、ヒッチハイクで旅をすることになるのですが、あなたははたしてそんなことが出来ますか?
近頃はテレビでも、芸能人が一般人の家に泊まりに来るのがありますが、見ず知らずの人が来たら怖くてそんなこと出来ません。そういう親切から、いろいろな可能性が発生することはわかりますが、普通は怖いでしょう?
しかし、そこに強さがあれば、応じることも出来るのではないでしょうか?
私が軟弱なだけか。

何が残るというわけでもないのが、「ねじまき鳥」だったのですが、今回はちょっとした達成感がある。自分の中である程度は答えを出すことも出来たし。あとで思い返せば、他にもいろいろと思うことがあるかも知れない。
十五才という時間はもう戻ってこない。そして、私は繰り返せない。けれど、本の中の十五才は何度でも繰り返すことが出来る。

それにしても主人公が、夏目漱石の会話をしているときには思わず苦笑。
「この小説はなにを言いたいんだろう。でもなんていうのかな、そういう「なにを言いたいのかわからない」という部分が不思議に心に残るんだ」
それは、村上春樹作品の特徴なのではないかと。
それから、やっぱりこの方は図書館が好きなんだなー。

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ボーン・スプレマシー

ボーン・アイデンティティーの記憶がない。でも大丈夫。
前作はあまりぱっとしなかった印象があるのですが、っていうか、本当にほとんど内容を覚えていないですねえ。
今回の舞台がロシアなためか、ヴァル・キルマーの「セイント」ばかり思い出してしまう~。
今回は、テンポがよくて格闘戦あり、カーチェイスありでスピード感があります。狩られる側が、いつの間にやら狩る側に~な展開。

スパイものというか、「セイント」のように変装を得意とするといえば、「プリテンダー」。
あれはスパイものではなかったのですが、面白かったですね。加えて言うならば、変装というわけでもなかったのですが。映画じゃなくて、テレビシリーズですし。
プリテンダーは、特殊な才能を植え付けられて育った超天才。あらゆる知識をもっており、あらゆる職業につくことが出来るという。医者もパイロットもお手の物。そんな彼は、幼少より特殊な教育を受けており、母親のことを何一つ知らずに育った。彼は自分のルーツを探るために、組織を抜け出し、母親を捜す旅へ。しかし、組織からは彼を連れ戻そうと追っ手がかかるのでした。
そりゃーそーだ、そんな人間を育てたんだからいったいどれだけの資金を投じたことでしょうか。

記憶喪失の元諜報員。
彼も政府の計画である、暗殺専門の教育を受けたエキスパートでした。
前作では確か海に落ちて拾われて、ヒロインと知り合って、彼女の親戚の家に逃げた(雪国?)……えっと橋の上でなんかあって、最期はラヴラヴで終わった。
スプレマシーは、前作の続編。
テレビCMでもわかるように、前作のヒロインがお亡くなりに……。
新ヒロインの登場かと思いきや、そんなことはなく、どっかのだれかみたいに節操ないわけじゃなかったのねー(笑)。
マット・デイモンも、オーシャンズ12に比べると、キャラが違うので好感触。あっちはとにかくへたれ君キャラなので~、逞しいボーンは格段にかっこいいですね。強いし。おまけに、特殊技能も持っている。
あのカーチェイスはスタントだろうけど、さすがにCGってこたあないか。
しかし、各国の空港やら駅やらのロッカーにパスポートとかなんだとかを隠していたりするんでしょーか?
用意周到というか、期限が来て駅員に処分されちゃうんじゃ? なんていう下世話なことを考えながら見ていたら、なにやら見た顔が?

あら? エオメル(LOTR)じゃーないですか?
「リディック」でも敵役だったけど、今回もそーですかー。
だけど、他の二つと比べると随分とまた印象が違いますね。
エオメルは鎧を着ているためか、長髪だったためか、丸い感じでしたからね。なんか太ってる印象があったんですが。
リディックでは、そもそも驚きのモヒカン。頭のいい美しい妻のいる孤高の戦士で、マッチョな感じ。
今回はなんだか、スマートな印象でした。相変わらず無口で怖いです。ですが、渋くてストイックな感じがマット・デイモンとは対照的で格好良かったです。

やっぱ、長く様々な映画を見ていると、脇役の中にもいろいろと見知った顔が出てきて嬉しいですね。
さて、次回の映画ですが~
「アレクサンダー」はもうないでしょうなあ。「きみに読む物語」は、テレビを待ちます。
「ナショナル・トレジャー」「ロング・エンゲージメント」でしょうか。
「ロング・エンゲージメント」は、「アメリ」の女優さんと監督さんが再びということで、見にいこうかと思っています。あの映画良かったですよねー? 普段からアクションものしか観ないので(レンタルだけど)、新鮮でした。
「アメリ」は映画館も結構小さなところでしか公開してなかったような? 今回はさすがに実績があるので、大きなところでやるみたいですし。
「ローレライ」も気になっているのですが。CGがしょぼいのは、ハリウッド並の費用がないのだから、仕方がないとか。役所広司の艦長はやはり観ておいたほうがいいのかなー。

「シャークテイル」は、ネタ的にもうわかっちゃってるし、「レーシング・ストライプス」は次点でしょーかね。
ゴールデンウィークの映画はなにかなー?

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私の優しくない先輩

なにやら、五冠達成の現役高校生だそうで、ネットで話題になっていました。
本屋で見つけたので、購入してみました。

碧天舎 日日日・著

第4回新風舎文庫大賞:文庫大賞『ちーちゃんは悠久の向こう』(2/5発売)
第1回恋愛小説コンテスト:ラブストーリー大賞『私の優しくない先輩』(2/20発売)
第6回エンターブレインえんため大賞 佳作『狂乱家族日記』
第8回角川学園小説大賞 優秀賞『アンダカの怪造学』
第1回MF文庫J新人賞 佳作『蟲と眼球とテディベア』

最近の新人賞って、多いんですね。ここ一年で、五冠ってことですから、相当の量を書いていて、書いたもの書いたものが認められているってことなんですからねー。
ただ、最近はどこも大賞とかなかなか出ないみたいだし、正直無理して受賞者だすことないじゃん、とか思っちゃうわけでー。昔とは路線が違ってきている気がするので、求めるものがでてこないんですよねえ。どっちかっていうと、私が欲しいものが、一般的な文芸書にも浸透してきていることもあるのかな? ジャンル内で勢力図が移動しているというか。「十二国記」とか「デルフィニア戦記」「ジ・ハード」とか、ティーンズ層を狙って出版していたものが、一般書籍なんかに装丁を変更して出てきていますし、「終戦のローレライ」もファンタジーな要素があるようですし。
最近のライトノベル新人賞作品にはあまり興味もないのですが、やっぱりそういう人の作品は期待してしまいますよね。
新人賞総舐めというと、三雲岳斗は三冠だったかな? 電撃文庫とスニーカー文庫と日本SF新人賞の三つだったと思いますが、それに比べるとかなりマイナーな五冠だなー、と(私が知らないだけですが)。三雲岳斗の「ランブルフィッシュ」のような血肉沸き踊る内容じゃないから、比べようがないか~。そういう意味では、本の内容がファンタジーじゃないのに、ライトノベルの感覚なので作品の「軽い」印象が否めないでしょうか。

今回のこの本の内容が、ファンタジーではなく現代の女子高生のお話であることと、別に不思議なことはなんにもない恋愛小説(?)なわけですが、大騒ぎするほどインパクトはなかったかなー。少女漫画によくある三角関係ネタだし、女子高生の話なら綿矢りさの「蹴りたい背中」のほうが感情移入できた。誰も死なないし? 同じ高校生なら「黒冷水」の羽田圭介の方がダークすぎてインパクト強かった。高校生なのにこんなの書いちゃって大丈夫なのか!? くらい心配しちゃうようなドキドキの作品だったし。
ってか、なんで最後の見せ場をわざわざ本の帯に書いておくのさ!? その感覚がぶちこわしじゃんか!! 宣伝ミスだろ!? いや、マジで! って思いました。だから、これから読む人は、本を裏っ返して帯を読まないほうがいいと思います。
西表耶麻子さんの短い一夏の恋、っていうのは嫌いじゃないです。等身大なのはやはり高校生ならではなんだろうな……(遠い目)。
過去を振り返ったって、こんな思い出はない。

ほかにも本が出ているようなので、探してみようと思っています。
どっちかにはまる人が多い様子。もう一つの「ちーちゃんは悠久のむこう」も読んでみなければー。
どう化けるかわかりませんからねー。これからが楽しみというのは、あたっていると思います。なにせ、あーた高校生ですからね! 先は長いし。作品数が多いと言うことは、抽出が多いということでしょう。出版社のHPでも、RPGツクールのシナリオを書いていたらしいので、もちろんファンタジーも書いてくれるだろうし。
抽出が少ないと、先細りの恐れが。分厚い本が次第に薄っぺらくなるのは、読者としてもやるせないかな。作品数が多くても、パターン化する恐れが。人様の云々を言える立場じゃないけれど~。
冲方丁などは初期の作品が独特すぎてわからなかったのですが、近頃はどれも面白いですから。
から、から、から……。

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へっぽこ冒険者とイオドの宝

ソードワールドといえば、グループSNEですね。

富士見ファンタジア文庫 ソードワールド短編集 安田均編 山本弘 清松みゆき・他

グループSNE。ゲームデザイナー集団とでも言うのでしょうか。学生時代は、グループSNEと共にありました……。就職はここしかないと、夢想してみたりしたことも?
なんて、懐かしい。

でもなー、なんとなく路線が変わってきてるんだよなー、と思ったりして。
玄人な人たちが揃い踏みだった感じでしたが、やはり若手を育てていかねばならないのか、最近の短編集は読んでてつらい部分も多い。RPGリプレイ集の流れを汲んできたものが小説化すると、違和感があるのも否めないし。
90年代に出版されたもののほうが、重厚な雰囲気があって好きです。イラストも米田仁士の雰囲気だったし。そういえば、最近見ないかも? それから、草なぎ琢仁の画集「INNOCENCE」は今でも眺めてる。
印象的で、今でも覚えているエピソードは、友野詳の「瞳輝ける夜」。短くて物悲しいけれど名作の一つだと思う。
ソードワールドの中でも、一度限りのメンバーもいれば、シリーズ化しているのもある。「混沌の大地」はどうなったんだろうか? 「羽頭冒険譚」はもうないだろうなー。今回短編ののった「サーラの冒険」はついに復活するらしい。ソードワールドでは、魔法を使ったトリックを駆使したミステリも見逃せません。「赤い鎧」はもとより、ジェイシー&ミシェールも面白い。
どれもこれも、もう二度とお目見えしないと思っていたのに、復活の兆しがあって嬉しいー。
そう考えると、やはり山本弘、清松みゆきの古参メンバーの執筆は面白いですよねー。
「妖魔夜行」、「百鬼夜翔」もしかり。こちらでも、山本弘の著作が好きです。大昔、「コンプRPG」の後釜として立ち上がり、一年で休刊した「ゲームクエスト」で掲載された「ときめきの仮想空間」を何度読んだことか(?)。
にもかかわらず、私はあまり山本弘の他の著作を読んでないんですが……。
とりあえず、一冊「神の指標」というのを積んであるのですが、まだ読んでいない。長丁場は必至ですからねえ。「罪と罰」も一ヶ月でようやく読み終わったし。なんとなく続けて読む気にならず、あっちこっち寄り道してるし~。
昔はメージャーじゃなかった、ライトノベルも読本なんかが出て世に知られ始めたのですが、小説とはまた別のものに変化してきている気がする。
ヤングアダルト小説という呼び名だったのが、ライトノベルとなり、ただ漫画を文章にしただけのよーなー? そういうジャンルが立ち上がったよーな気がします。もちろん、読みやすいし面白いものも多く、深く考えないでいいのが良いのですが。
「ロードス島戦記」や「アルスラーン戦記」が今のライトノベルと同じジャンルのものとは思いたくないだけなんですけど。
そういや、その辺はスニーカー文庫じゃなくて、角川文庫で刊行されてたんだっけ?

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天才ネコモーリスとその仲間たち

ハーメルンの笛吹き、ねこバージョンと思いきや、詐欺師の話です。絶対、彼が一番知恵ものでしょう。

あすなろ書房 テリー・プラチェット・著

ハーメルンの笛吹き。ミヒャエル・エンデ版があることを御存じですか?
「ハーメルンの死の舞踏」
私はそれが結構印象的です。シナリオ、台本というか、そうした感じで話が進んでいきます。
私は、ミヒャエル・エンデのファンですが、全部を読んでいるわけではありませんし、ミヒャエル・エンデ全集を持ってもいません。あの頃、すでに社会人だったらなー。残念ながらあの頃はまだ、そんな金銭もなかったし。
といっても、わかる内容ばかりでもないので、ついていけない話も多いんですよねえ。
読んだことがあるのは、ハーメルンの笛吹きの話。「モモ」と「はてしない物語」、「サーカス物語」。「鏡の中の鏡-迷宮」なのですが、これは途中で断念しました。ジム・ボタンは結局読んでません。

っていうか、「モモ愛蔵版」が欲しい。あれって可愛くていいですよね。正方形の本の形、濃い桃色で大きな時計とカシオペアの表紙もいいです。本を贈り物にするとしたら、一度くらいはあれを送りたいですねー。
一番好きなのは、「はてしない物語」。映画の「ネバーエンディングストーリー」が最初でしたが、小学生ではちょっと高価な本だったので、かなりの出費でしたが、自分のために書かれた本だとずっと思っていました。

エンデのハーメルンの笛吹きは、一言も喋らず、ただ笛を吹くだけで意志を伝えることが出来る成人男子で、天使か聖人かという無垢な存在なのです。
そんな彼を裏切った街の人々は、やはり子供たちを奪われてしまうのです。

テリー・プラチェットは、ディスク・ワールドのシリーズが有名ですよね。
ディスク・ワールドって、あっちこっちの出版社から出てるんですよね(苦笑)。
ああ~、「死神の館」が入手できないー。
まあ、今回のこれは児童書なので、手始めに、というところでしょうか。
知恵を身につけたネズミを率いた天才ネコのモーリスが、平凡な笛吹きの少年を捕まえて、詐欺を働くお話。
とある街にたどり着き、一仕事しようとしたけれど、そこには先客が(?)。
町長の我が儘なお嬢様も加わって、どたばた騒ぎがはじまるのでした。
面白いし、何度も笑わせて貰いました。

知恵をつけたねずみたちが、いままで平気だった暗闇や影を怖がったり、清潔にしたがったりと、人間くさくなる様が面白いです。
そんなネズミたちの中にも、頭がいい白ねずみ(アルビノ?)とか、勇敢な戦士タイプのねずみ、ムードメーカーなのや、ヒロインな女の子ねずみたちがいて、それぞれが意味もわからず、響きだけで自分の名前を決めちゃうセンスが笑えます。
性格悪くて、ひねくれているネコのモーリスもなかなかなもんです。
おとぎ話かぶれの、町長のお嬢マリシアも世間知らずぶりをはっきしてくれます。
しかし、一番のくせものは、モーリスに操られているはずの笛吹きの少年ケイスなんじゃないかと思うのですが。これが身よりもなく、本当にネズミを操れない笛吹き少年の処世術なんでしょーかね。

「死神の館」が欲しいよー。

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