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海辺のカフカ

思ったほど難解ではなく、思っていた以上に予想外な感じでした。

新潮社 村上春樹・著

カフカの「変身」をまだ読んでいません。積んであります。そのまんま。読んどきゃ良かった。
文庫版が出ちゃったので、悔しいので読んだようなものです。やっぱし、ハードカバーは高級感があります(安い価値観だなー)。ドラクエの小説もやっぱし、ハードカバーじゃないとね。ですが、基本的に文庫で十分です。場所を取らないから、絶対文庫本がいい。ハードカバーが多くなってね生活スペースがあっという間に浸食されている。どっかに、書庫を借りなければならない時がくる気がする。
なのに最近はハードカバーばっかり買ってる。なにせ、児童書はハードカバーばかり。文庫化することもあるようですが、ちょっと考えられないし、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」はやっぱしハードカーバーの二色刷じゃないといかんでしょう~。
しかし、ちょっと振り返ると最近は児童書も読まなくなってきた気が……。そのうちまた一周する気もする気がするけど、「ダレン・シャン」を図書館で借りなくちゃならない。あと、「エルフ・ギフト」。
なんだか、ハリー・ポッターでいろいろ出るようになってきたのは嬉しいけれど、それ故に「なんでもかんでも」的な感じがあって困惑気味ですね。出版社が選んでくれていたけれど、今は自分で詠む本を選ばなくちゃならない。

一日一冊で、土、日と上、下巻読んだわけですが、最初に読んだのが「ねじまき鳥クロニクル」だったので、やっぱり随分と印象が違います。
余所様のblogも拝見。
やっぱし、一回読んでみただけじゃわからないんですねー。
「ねじまき鳥」ほどじゃない気もしますが、あれは本当にわけがわからなかった。あっちのほうが、「辺境」の話な気がした。読んだときが若すぎたので、現実と虚構の狭間にある世界を垣間見たようで、全然物語の中に色を観ることが出来なかった。なんだか知らないが、今でも印象が強烈に残っているという意味では、凄まじい気がする。
作風が変わってきたという話は、「アフターダーク」の時も聞いていたけれど、やっぱり変わったんですね。親しみが抱けるようになってきた。「ねじまき鳥」に比べれば、というわけですが。
少年が旅をする、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」のようなものなのかと思っていたら、ファンタジーでミステリな話でした。

読んでいるときにいろいろと感じたり、考えたりすることも最近になってからでしょうか。
以前は本当に、文章が私の中を通り過ぎていくだけで、消化されることがなかったのだと思います。そういう意味では、成長が遅いんだろうか、などと考えたりします。もう手遅れじゃん? と振り返る。
大学ははっきり言って、無意味だったかなと思います。自分にとっては、無意味に時間を消費していました。もちろん、それがまったく無駄だったとは思いませんが、無意味だったなーと。
高校卒業して働きに出ている人たちと話をさせて貰うと、自分がなにをしていたのかと思います。同い年で結婚していて、家を持っていて家族のために働いている彼は、立派だし格好良かった。
けれど、自分は今もふらふらしています。
それに加えて、学生時代に無駄にすごしたために、社会に出てから出来ないことの多さに愕然とさせられました。
救いは今一人暮らしをしていることか? これだけは社会に出なければすることもなかっただろうと思います。私はそういう奴です。
「いつでも出来る」と本当に思っていた。でも、今となっては何も出来ない。
授業をさぼったことはないし、家出したこともない。長期旅行もしたこともない。
会社をさぼると、首になります。でも、授業を少しさぼったくらいでは、退学にはなんないよね。
ああ、からっぽの学生時代。せめて、もっと本を読んでおけば良かった。
学生の皆さん、社会に出てからではなにもかも遅いことがあります。遊びすぎている人はともかく、真面目すぎる人は少しだけ遊んだ方がいいです。
私は会社を辞めて、それをすることも考えたけれど、出来そうにありません。その後、再就職する自信がありません。手に職がない証拠ですね。

主人公の田村カフカは、十五才で自分を鍛える忍耐力を持っている。
やっぱし、家出を経験しておくことは、必要だったか? それでやばいことになっちゃ不味いから、せめて小旅行でもしておけばよかった。彼は鍛えていて、ずっとそれを続けていくことが出来る。

物語は、田村カフカが四国の市立図書館に辿り着き、そこで自分のルーツと自らの闇と向き合うことになります。そして、ネコと話が出来るナカタおじいさんと、偶然ナカタさんを乗せることになったトラック野郎のホシノ青年の二人旅が語られていくことになります。
なんとなく「ブギーポップは笑わない」を思い出しました。あれはもっと登場人物たちが多いし、互いに何も知らずに一つの事件に関わっているという。
田村カフカも、ナカタさんもホシノ青年も出会うことはないのですが、互いの行動が互いに影響を与えて話は進んでいきます。

それにしても、田村君身体鍛えているんですねー。
私は今も年を取るだけで、衰えていく身体をそのまま放置しています。金曜日から顎が痛くて、ものを噛むと頭が痛みます。週末の楽しみとして、するめを食べていますが、今週は断念せざるを得ません。左足の股関節もときおり痛むし。
何かせねばと思うけれど、それに達成感を見いだすことが出来ず、結局やり遂げることが出来ない。忍耐はもちろん、やっぱ短気なのだろうなー。
それを考えたら、田村カフカはタフで私にない強さを確実に持っていて、羨ましく思う。ただ、格好いいとは思わなかった。それはやっぱり、年下の少年だからだろうか? 常に性の問題に悩まされているのも、この年頃の少年を象徴しすぎている気がするからか?
強さに関しては彼は悩むことがありますが、肉体の強さはやはり精神の強さに結びつくと思う。
作中、ネコと話が出来る障害者っぽいナカタさんが、ヒッチハイクで旅をすることになるのですが、あなたははたしてそんなことが出来ますか?
近頃はテレビでも、芸能人が一般人の家に泊まりに来るのがありますが、見ず知らずの人が来たら怖くてそんなこと出来ません。そういう親切から、いろいろな可能性が発生することはわかりますが、普通は怖いでしょう?
しかし、そこに強さがあれば、応じることも出来るのではないでしょうか?
私が軟弱なだけか。

何が残るというわけでもないのが、「ねじまき鳥」だったのですが、今回はちょっとした達成感がある。自分の中である程度は答えを出すことも出来たし。あとで思い返せば、他にもいろいろと思うことがあるかも知れない。
十五才という時間はもう戻ってこない。そして、私は繰り返せない。けれど、本の中の十五才は何度でも繰り返すことが出来る。

それにしても主人公が、夏目漱石の会話をしているときには思わず苦笑。
「この小説はなにを言いたいんだろう。でもなんていうのかな、そういう「なにを言いたいのかわからない」という部分が不思議に心に残るんだ」
それは、村上春樹作品の特徴なのではないかと。
それから、やっぱりこの方は図書館が好きなんだなー。

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Comments

トラックバックしていただいて、ありがとうございます。本当にいろんな本を読んでらっしゃって、すごいですね。

小説をどう解釈するかということについては、それぞれ読む人の感性だと思うし、感じ方はいろいろあって当然だと思います。私の感じる村上春樹は、「メタファー」(自分でもよく使ってますよね)です。日本語だと<隠喩>ということになるのかな。彼の世界というのは「メタファー」であって、それはそれぞれの読者の世界を反映したもので、どう感じるかは読者個人個人でたぶん違うものなのだろう、と思います(「あしか日記」なんて顕著ですね)。ただし、小説である以上その「メタファー」の世界に起承転結がないと、楽しくないというのが、私の要求することなのでした。

社会人はいろいろと窮屈ですが、限られた時間と費用の中でいかに楽しく自らの世界をプロデュースするか、がきっと重要なんだと思います。少なくとも本を読むのに遅すぎるなんてことはないですよ。私はもう50近いですが、がんばっています。

たまには図書館ネタも入ると思いますので、お暇なときにでも見に来てください。では。

Posted by: TAIPA | March 14, 2005 at 03:36 PM

はじめまして。トラックバック有難うございました。
私も本が好きで殆んど毎日読んでいます。個人的には村上春樹さんの作品は好きですよ。少しグロテスクなところもありますが。村上作品以外でも人間の心理描写がしっかり描かれている小説が好きですね。
また面白い小説がありましたら宜しくお願いします。

Posted by: ピンチ | March 14, 2005 at 10:04 PM

こんばんは。何度もコメント書いてすみません。『海辺のカフカ』で新しい記事を書きましたので、宜しければ覗いてみて下さい。意見が分かれるかもしれませんが今回は少し掘り下げた内容にしてみました。

Posted by: ピンチ | March 19, 2005 at 01:14 AM

はじめまして。本をお探しでしたら、ぜひこの『カフワの椅子』にも目を留めてください。

東京の目黒川でコーヒー屋をやっている「僕」が盲目のおばあさんとともに新しい世界を発見していく。やがてカフワの由来と共に語られていく、写真、眼、光、そして言葉と歴史について、ベルリンまで旅をしていく小説です。続きを読む

Posted by: tokyotaro | March 19, 2005 at 01:50 PM

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