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だいこん

食べ物の話は、手が届かないのが残念です。読んでいる間、白米が食べたくて仕方がありませんでした。

光文社 山本一力・著

昔、オズの魔法使いのシリーズを読み漁っていたことがありました。
今もポプラ社のオズシリーズって今もあるのでしょうか?
三巻目、くらいかな?
ドロシーがカンザスに戻ったあとで、おじさんと二人で旅行に行くんですよね。その船が荒らしに巻き込まれて、ドロシーは雌鶏と島に流されちゃうんですよ。
その島には、二本のお弁当のなる木が植えてあって、白いナプキンに包まれたお弁当はサンドイッチが。ブリキのバスケットには豪華なチキンとかの御馳走が詰めてある。
あれが、すっごい食べたかったなー。
ドロシーはサンドイッチを食べて、夕飯にブリキのバスケットを持っていくんですよ~。
そこには、手足が車輪の亜人間たちが住んでいて……。
まあ、それはいいか。あれも子供の頃読み漁ってたんだけどなあ。処分しちゃったしなー。

食べ物の描写と言えば、「剣客商売」のシリーズなんかも有名ですよね?
役所広司が十分番組で、作中の料理を召し上がっていましたし。
小説ではありませんが、辺見庸の「もの食う人びと」も他文化の食生活を垣間見ることが出来ます。
食生活というのは、それこそ文化を現しているのを実感できます。

そういう意味では、この「だいこん」も当時の食生活や文化を知ることが出来ると思います。
もっとも、わかんない言葉も多々出てきますが。わかんなくとも、物語は楽しめます。
肝煎ってなに? 食べ物?
こいうときネットて便利ですよねえ。すぐに調べられるから~。でも、読んでいる間は調べませんけどね。だって、物語がとぎれちゃうもん。

いわゆる、細腕繁盛記。オーソドックスと言えば、オーソドックス。面白いけど。
とはいえ、前置き長いと思いましたが。
それは前置きじゃあなかった。
私は最初っからまた勝手に想像を膨らませて、主人公のつばきが店を構えて繁盛させていく話だと。
だから、最初の第一部で、幼いつばきが料理を覚えるまでを描いていくのは、とっても長くて焦れました。
これは、つばきの半生を描いた物語です。
幼いつばきが店を繁盛させ、新たな門出に立つまでを描いた物語です。

そういう話だとわかったあとは、随分と楽しめました。
それまでのつばきの半生や、料理に出会い、お店を持つようになるまでを順繰りに楽しむことが出来ます。

つばきは、いわゆる強い女性ってやつでしょうか。
読者が感じることは、すべて作中で著者が語ってくれます。
つばきの父親の安治は、江戸の大工。いわゆる江戸っ子ですね。気っ風が良くて威勢が良くて、男だねえ。賭博で失敗して借金を抱えてしまいますが、必死に家族を守っています。
母親のみのぶは、安治一筋で少々子供たちのことがお留守になりがち。けれど、料理は上手いし、いち早くつばきの才能を見抜き、彼女のために貯蓄を始めるのでした。
そして、さくらとかえでの二人の妹。
そんな家庭環境にあって、つばきはしっかりものの、聡い子に育ちます。
飯の炊き方が上手い。どんな飯なのか、食べてみたい。日本人はやっぱり、米だよねえっと思います。

そうして、「だいこん」を開きます。
手作りだいこんの、一膳飯屋。
だいこんは煮物でも漬け物でも、味噌汁の具にも使える。これほど使い勝手のいい野菜は、ほかにない、とか。
だいこんをおろして、もちにつけて食べるのが美味いという。
ああ~、美味そうだ~。もちまで食べたくなってくる。

そんなつばきも恋をするのですが、結婚しての幸せよりも、お店をとってしまうのですよね。
いまテレビで「不機嫌なジーン」が放送していますが、そちらでも仁子さんは、南原教授よりも研究をとってしまいましたねー。

つばきは何事にも物怖じしません。借金取り押しかけられていたためか、度胸が違います(笑)。
曲がったことが大嫌い。相手が目上の人で退きません。しかし、間違ったことをしたとわかれば、ちゃんと自分から謝ることが出来ます。
志が高いと、良い仲間が集まる、というそうです。
つばきは様々な困難にぶつかりますが、幼くして苦労していたこともあって、用心深く、人柄から客に慕われ、人の縁にも恵まれます。
努力する人はやっぱり違う。
彼女はここぞというときに運が強いのですが、それはやはりつばきが自分でいろいろなことを積み重ねてきて、時勢の読みを誤ることがないからなのだと思います。

そんな彼女が店を切り盛りする様子は気分が良く、店で騒動が起これば、客が彼女のために席を立つ。
喝采ものです。
夜の九時から読み始めて、深夜二時まで一気に読んでしまいました。
久しぶりにすっきりさせてもらいました。

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Comments

北風さん、こんばんは。
私も今『だいこん』読んでいるところなのですよ(笑)。でもまだ、さくらが産まれて安治が借金してのP34です(汗)。北風さんの記事を読んで、期待が膨らんでいます。嬉しくてコメントしちゃいました♪

Posted by: bamse | March 28, 2005 at 11:28 PM

こんばんわ。
コメントありがとうございます。
そういえば、bamseさんは、「梅咲きぬ」をお読みでしたよね~。
なにか他の作品とかも、同じ世界観で時代設定が同じようですね。
今度機会があったら、またこの方の作品を読んでみようと思いました~。

Posted by: 北風 | March 29, 2005 at 09:29 PM

こんばんは、初めてお邪魔します。
一力さんの作品は、かなり読んでますけど、どの作品にも「家族と人情」という一貫した思いがあるなぁって思うんです。
実際に深川に住んでらっしゃることもあって、土地に対する愛情ってものを感じます。
「あかね空」「大川わたり」なども是非読んでくださいね。

Posted by: Roko | May 15, 2005 at 11:29 PM

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