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果てしなき渇き

このタイトルで、いろいろなことがわかる気がするのは、やっぱり自分も渇いているからだろうか。

宝島社 深町秋生・著

ああ、あまり深くを語れない話だな。

失踪した娘を捜し求める内に、徐々に闇の奥へと遡航していく父。
娘は一体どんな人間なのか。ひとりの少女をめぐる、男たちの狂気の物語。
その果てには……。

いつもの通り、ネタばれなので一応よろしくってことで。

今の時代の人間って、やっぱし病んでいるんだろうか。
物に溢れていて、けれど満たされなくて、どうしようもなく人間との軋轢に苦しんでいる。
どうして昨今ではこんなに病んだ話が多いのだろうか。
やっぱり、みんなが病んでいるの? そこに救いを求めているからなのか。

けれど、どんな原始的な時代でも人間は互いに助け合って生きてきたわけで、日々の生活が命の営みに直結していただけに、人間同士の諍いだって当然あって、生死のやりとりが多いに違いない。
心がからからに渇いていると思っていても、その渇望は人によって様々にある。
この本の登場人物たちは、私の渇望以上のものを抱いていて、苦しんでいる。
渇ききってしまって、その渇きすらわからなくなっているのもいる。
そんな彼らの渇きももらって、僕は自分の渇きを癒すしかないのかもしれない。
失踪した娘を捜す藤島秋弘の行動、感情に巻き込まれていき、それにゆだねる。嫌悪したり、真実を知らず、登場人物たちの感情を理解することも出来ないくせに、それを貪っていく。
自分の人生がどれだけ安泰なのかを確認して、安堵する。反面、現実にこんなことが起きているのだろうと思う。そして、やはり日々苦しんでいる人がいるのだろうと思って、自己嫌悪に陥る。

失踪した娘、加奈子。
彼女の印象は、あの「BATTLE ROYALE」に登場した相馬光子の感じがする。
やっぱり、彼女と同じだし。また違った趣向を見せるわけだけれど、彼女ふと見せた自分を想う少年への表情も印象深い。

あまりに不快で、深い恐ろしい人間の闇や、狂気を目の当たりにして、自分の気持ちに呆気にとられる。
後味の悪い作品のはずなのに、なにも感じないのは何故なのか。
私の心がまだ渇いているということか。

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Comments

北風さん、こんばんは。
読んだのですね(ニヤリ)。凄かっただすよね。砂漠の如く渇いていて、きりがない感じ。読後は深町氏の文章の読ませる力にポカーンってなってましたが、今考えるとお父さんわがまま!!我慢する能力を育てずに大人になったんだなって思う。娘の性格もお父さんのわがままに影響を受けてしまったし。それでもお父さんは自分の居場所を見つけられたからよいけれど、娘は、というより、居場所も見つけられず渇いていく人は娘だけじゃないよね。北風さんが言うように、日々苦しんでいる人がたくさんいるのだと思う。大なり小なり、私もその一人かな・・・そんな事を考えてしまいました。ではでは~♪

Posted by: bamse | April 10, 2005 at 11:36 PM

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