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夜のピクニック

凸凹コンビって、たいてい両極端のパターンだけど、少なくとも僕にはそんなパーフェクトな友達はいなかったな。

新潮社 恩田 陸・著

この方って女性だったんですね。知らなかった……。
本当は「世にも不幸せな物語」を見にいくつもりだったのに、またまた昼日中に寝てしまって、上映時間を逃し、結局本屋で「世にも不幸せな物語」とこれを買ったのでした。
不幸せな物語は、三巻セットのやつを。でも、どうやらこちらは九巻くらいまで続いている様子ですね。
まあ、そっちはまた映画を観たときにでも。

最近の傾向といたしましては、読書が義務みたいになっているのかなー、なんて自問自答してみたり。
blogに書くのが別に義務じゃないんだから、そんなこと考えなくてもいいんだろうけど、妙なことに読み始めたら読み終わらないまで眠れなくて、その前提条件を満たすために、早い時間から読み始めなければならないという強迫観念にかられています。
そんなの無理しなくていいのにさー、なんでだろう? 割り切れない。
結局、どの本を読もうか迷っている内に、昼寝してしまって、夕方になるともう本を読むのを諦めてしまう。
シリーズものは区切りが来るまで読み始めないくせに、その割に時間がかかるから後回しにするという始末。
この脅迫観念はしばらく続きそうです……。

なんで読み始めたかというと、そういう強迫観念を断ち切りたいからで、結局最後まで読んじゃって、blogまで書いている始末。
本屋大賞を受賞したのもわかる気がする。いちばん売りたい本だってことも。
すごく楽しい本でした。去年出たときにも気になってたんだけど、結局他にも本が溜まっていたので、買うのを止めたんですよね。
でも読んで良かった。
昔というか、まだ青春していたころは、本当になにかこう血肉湧き踊る冒険を夢見ていて、いつか自分も魔法を使えるんじゃないかと思っていたわけで、冒険小説やらアルセーヌ・ルパンに夢中になっていたわけですが、社会に出て毎日に慣れてしまった今になると、こういうノスタルジックな物語がすごく沁みいります。

高校生最後の思い出作り。
夜を徹して八十キロを歩き通すという、一大イベント「歩行祭」。
少年少女たちのふれあいを描く、みたいな。
どう考えたって、学生時代の自分だったら読まなかっただろう本だけれど、それが悔やまれる。
また心憎いって言うか、登場人物が「ナルニア国物語」の話を持ち出してくるんですよ~。私もナルニアは大好きです。
いやあ、憎い!! タイミング良すぎ。さっき、映画cmをインターネットで観たばっかだし。
登場人物が、ナルニアは十代前半に読んでおきたかった、なんてことを言うんですよね。私は小学校の図書館で読んだんです、ハードカバーを。だけど、「銀の椅子」だけがなくって、市立図書館で借りたんだな。最初に読んだのが「魔術師のおい」だったのもなんだか知らないけど、ナルニアの歴史に沿っていた。
それはともかく登場人物は、タイミングが大事だってことを説くんですが。
以前のblogにも書いたかも知れないけれど、本を読むタイミングってすっごく不思議ですよねえ。
その時その時で感じ方が違うと思うのですが、一度読んだ本はもう二度目からは違うものだと思うんです。
私は残念ながら、最近はあまり読み返すことをしなくなったのですが、読み返したときに何を感じたかは、最初に読んでから自分がなにを得てきたか、感じてきたか、で違ってくるんですよね。
そして、一度読んで最初に感じた感動は、二度目とはまた違うもので、二度目にも同じように感じられるとは限らない。
人に聞いた話なんかじゃ、本を読んだことにはならない。結局自分が読むしか、その本の良さはわからない。
本を読むタイミングっていうのは、とってもアバウトなもので、運命としかいいようがない。
「偶然なんてない。すべて起こるべくして出会った、必然」
なんてかっこいい台詞がどっかであったと思うけれど、本を選んで読むところに、必然があるとは思えない。

「この本と今出会えて良かった」
そんなことを思わせてくれた、ふかーい一冊。

登場人物の学生たちは、もちろんいろいろなタイプが揃っていて、まあオーソドックスな面々。けれど、そこには結構大きな悩みがあったり、事件があったりするわけで、いろいろと胸を躍らせてくれます。
近頃私は惰性で読み進めることが多いのですが、先の展開を予想したり、台詞を考えてみたり、思わず笑ったりさせてもらいました。
みわりんの「あたしが行くしかないかしら」には、思わず喝采しちゃいました。友達想いの彼女、いいなー。忍君もいいやつだよね。
なかには迷惑なのもいるけれど、登場人物たちはみんないい奴だし、展開も安心させて貰えるのですらすらと読めちゃいました。
深夜の休憩所に生徒たちが到着したときには、一緒に安堵したし、達成感まで感じてしまった。
私がなかなか減らないページ数に苛立っている頃、生徒たちは暑さと疲労にうだっていました。
半分を過ぎてあっという間にページが少なくなってくると、生徒たちは近づいてくるゴールに安堵しつつも、歩行祭の終わりに近づくことを、一緒に残念に思う。
なんとなく、登場人物たちと別のところでシンクロしてしまい、その達成感が気持ちいいー!!

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Comments

北風さま、コメントありがとうございました。
感想を読みながらしみじみと納得している自分に気付いて、思わずTBさせていただきました。

貴子たちは友人に恵まれているラッキーな類だと思うし、実際こう上手く進みはしないとは頭の片隅で思っているのに、物語の流れがどこかとてもリアルで。気付いたら貴子と一緒に…というより高校生に戻って一喜一憂している自分がいました。
忘れていた感覚を思い出させてくれた一冊です。

Posted by: k2 | July 12, 2005 at 07:36 PM

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