« 闇の城、風の魔法 | Main | パートナー・3 »

風神秘抄

新作だー!! と久々に大喜び。

徳間書店 萩原規子・著

「水色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」の勾玉三部作は名作です。
是非、読んでください。
といいつつ、私は「風神秘抄」に繋がる三部作なのに、読んだのが小中高の学生時代だったので全然覚えていませんでした。覚えていると、今回のを読んだときにいろいろと感動するところがあるそうですが、今度読み直したいな~。
ナルニア物語も読み返したいんですよねえ。
なんだか、昔に読んだ物語を今読みたいけれど、そうはいかないんだよなあ……。
なかなか、ね。

でも、これは好きなシリーズだったので、すぐに読みたかったのすぐに。
しかし、無理だった。
日曜の夜からでは、この分厚さはいかん。さすがに寝ないわけにはいかないし、次の日会社だし。
というわけで、二日に分けてしまった……。
学生時代に眠れない夜に、隠れて本を読んで目を悪くしたのはいつの頃だったか……。

一番好きなのは、なんだろうなー。「薄紅天女」かな。表紙は、初版の白鳥異伝の黒地に白い鳥のモチーフが好きだった。
この方の作品で有名なのは、「西の善き魔女」のシリーズがあるんですが、そちらも新書にハードカバーに文庫にと様々な形態で何度も重版されているんですよねえ。それだけ売れてるって事なんでしょうねえ~。
凄いなー。
でも、「西の善き魔女」はそんなに好きじゃあなかったんだよな。
どれも元気な女の子が、影のある男の子を助けるのがパターンだったんだけど、「薄紅天女」はまたちょっと違った感じだった。
最後にヒロインを迎えに来るのが、男の方だったし、それがなんだかとっても鮮烈な印象だった。
それだけは、今も深く覚えている。

今回の「風神秘抄」は、珍しく男が主人公。
平安末期を舞台に展開する物語。
少年の孤独な笛が舞姫の舞に出会うとき、天の門が開き天界の華が降る。
人の命と未来が変わる……

武芸に秀でてはいるものの、無愛想で孤独な少年・草十郎。彼の笛の音は鳥たちを集め、やがてカラスと言葉を交わす様になる。
舞に秀でてその天真爛漫な様子で、あらゆる人々を虜にしてしまう舞姫・糸世。
二人が出会うことで、歴史が大きく変わり始めます。

この方の文章は語彙が多く、豊かな感じがします。
単調な言葉の繰り返しっていうのは、その作家の特徴ではあるわけですが、実際には表現力に欠けることが多々あると思う。
文字が連なり単語になり、その単語にそれぞれ多くの意味合いが含まれている。辞書をひもとけばわかるとおり、単語に込められた意味には、さらに多くの言葉が秘められており、文字はさらに多くの文字から出来ているのだと思えてくる。
その語彙の豊かさは、書き手だけではなく、読み手にも求められるものだから、あまりに差がありすぎると齟齬が生じてしまうのですが……。
その書き上げる能力が醸し出す魅力的な登場人物たちも、脇を固めるおじさん連中が秀逸です。
はじめて草十郎が心を開く義平の登場は少ないのですが、それでもその存在感の大きさはありありと伝わってきて、器の大きさを感じさせます。
行き倒れ(?)の草十郎を助ける盗賊の頭目である正蔵。
糸世のなににも執着せず自由奔放な姿に仕えるようになる、山伏の日満。
上皇に仕えながら糸世の人柄に触れ、そうして糸世が思いを寄せる草十郎に憎まれ口を叩きながらも助けてしまう幸徳。
遊郭の幼い双子の姉妹、あとりとまひわも可愛らしい。
だが、やっぱり一番なのは鳥彦王。

仕えるべき主君を失ってしまい、生きる道に迷う草十郎。
多くの人々と出会い、糸世と出逢い、舞と笛でもって互いの絆を確かなものにしていきながら、不思議な力を得て生まれついてしまった彼らを、世界は放ってはおかず。
せっかく抱きしめた糸世を草十郎は見失ってしまう。
草十郎は笛の音に込められた力も失い、やはり迷い迷いながら糸世を探す旅に出る。
そこでの出逢い、そこで語られる言葉に、たびたび涙しながら、草十郎の苦しい旅についていくと、そこにはいつもカラスがいた。

できれば、草十郎がそうしていた間、糸世がどうしていたのか、読んでみたいなー。
昨日の「闇の城、風の魔法」も、高校生のロマンスがあってカラスが出てきたけれど、そういう意味では海外と日本産のファンタジーを読めて楽しかったなー。

|

« 闇の城、風の魔法 | Main | パートナー・3 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70900/4447367

Listed below are links to weblogs that reference 風神秘抄:

» 風神秘抄 荻原規子 [IN MY BOOK by ゆうき]
風神秘抄荻原 規子 徳間書店 2005-05-21by G-Tools 平安時代末期を舞台にした、恋愛ファンタジー。勾玉三部作とつながりがありますが、単独でも、十分に楽しめます。 源氏と平家の争いの中で、16歳の草十郎は、源氏側についた坂東武者の1人として、平治の乱に参戦します。源氏の御曹司・義平に認められ、義平を将として慕うようになった草十郎ですが、一行は戦に破れます。落ち武者としてさまよう中で、草十郎は、源三郎頼朝の命を救い、一行からはぐれてしまいます。 ここまでの導入部分が、ば... [Read More]

Tracked on December 14, 2005 at 06:06 AM

» 「風神秘抄」荻原規子 [図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜]
「風神秘抄」荻原規子(2005)☆☆☆☆☆ ※[913]、国内、中世(平安時代)、小説、ファンタジー、中世、舞、笛、鳥の王、物語、児童文学 勾玉三部作の番外編とも言える、荻原規子の時代ファンタジー。今回は前三部作での同一テーマ、勾玉は出てないのだけれど、日本の近代以前の時代を舞台にした時代ファンタジーとしては一連の流れと言える。 久々に、とてもよい「物語」に出会えた。600ページ近い厚さは、ちょっと腰が引けた。しかし、読み始めたらあっという間。さすが。 平安末期、鎌倉..... [Read More]

Tracked on December 16, 2005 at 06:27 AM

» 風神秘抄 [真っ赤なメガネの言うことには]
風神秘抄 著者:荻原 規子 出版社:徳間書店 発売日:2005/05/21 価格:¥2,625 平安末期を舞台に、特異な芸能の力を持つ少年と少女の恋を描く、人気作家の最新作。 荻原氏の本は小学生の頃から愛読しています。初めは「水色勾玉」からの勾玉3部作で...... [Read More]

Tracked on February 02, 2006 at 01:16 AM

« 闇の城、風の魔法 | Main | パートナー・3 »