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サウスポー・キラー

孤高のヒーロー大奮闘!

宝島社 水原 秀策・著

このミステリーがすごい!大賞受賞作。
例の「果てしなき渇き」と一緒に買ったんだけど、こっちは野球だったのでずっとそのままにしておいたんだよねー。
私は野球もサッカーも見ません。バレーボールはちょっと見てたこともあったかな。とくに好きなスポーツはありません。
だから、野球小説って興味無しだったんで。あさのあつこの「バッテリー」も読んでないのよね。とりあえず、完結編が文庫になったら、揃えて読むつもりではあるのですけれど……。

帯には、「主人公のキャラが好感度高し!」って書いてあるけど、ちょっとビミョー。
これって好感度高いのか?(笑)

旧弊な体質が抜けない人気プロ野球チームの中で孤軍奮闘する、クールな頭脳はピッチャー。彼は奇妙な脅迫事件に巻き込まれていく……。
犯人の狙いはいったい何なのか?

というわけですが、主人公の好感度はともかく、主人公がクールで格好いいのは本当。
ひねくれてる、つーだけの気もしますがそんなことはなく、確かにその生き方は格好いい。
どちらかといえば話の内容よりも、主人公の沢村の行動や言動を追ってしまいます。
彼女候補は24歳の女優・黒坂嬢。しかし、その恋のなんとやらはあんまり進展ないんですけどね。
黒坂さんは、24歳にしては私よりもしっかりした方で、やはり夢を追いかけている人は違うんだなあ。

あまり他人と関わり合わないというか、壁を作ってしまっている投手は、そんな浮いてしまっている自分に気付いているし、まあ別にそれで満足しているようす。
けれど、まわりはそんな彼をやっかむわけです。日本人はそういう傾向があるって、個性をつぶし合う世界観なんですよね~。
クールといえば格好いいけど、わりと熱血しちゃうところもある。主人公じゃなかったら、絶対嫌な奴な脇役で終わっちゃう様な気がする~。

ぶっちゃけ、ドキュメンタリーみたい。八百長疑惑で野球界を追放されそうになる沢村投手。
現実世界でもそうしたことが実際にあって、スポーツ選手のなかにはドーピング疑惑で選手生命を絶たれた人もいます。
マスコミっていったいなんなんでしょう。割と悪く書かれていることが多いですが、パパラッチから逃げて事故を起こす女優さんもいるし、確かにそういう事件が起こることが多いと、マスコミの印象が悪くなっていきます。
しかも、お金貰って偽情報流したり、勝手に記事を書いたりしちゃうんだから、信用問題ですね。
いや、マスコミの話はこの際関係ないのか。
でも、強請屋の設定って面白い。やられたらたまんないし、読んでて胸が痛むけどね。あんな事をしている人は、やっぱり心が痛まないんでしょうけど。自責の念と戦っている人もいるのかなあ?

ともかく、逆境にも負けず不正と戦う沢村投手。格好いい!!
でも、クールに決めようとしてわりと外すことも多い。事件のことなんかよりも、彼の行動を追うことの方が一生懸命になってしまった。
最後の負傷しながらの試合は、まあ、どうでもいい(死)。
その心意気が格好いいので、それだけでいいや。
だって、黒坂嬢とどうなんのかわかんない終わり方だったし~。

ミステリっていうか、小難しいトリックがない割と単純なところが読みやすい小説でした。
主人公かっこよかったし(そればっか)。

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QED 六歌仙の暗号

証明終わり。 ちょっと、息切れしてきました、さすがに。

講談社文庫 高田崇史・著

HONKAKU mistery mastersって、あれって重版しないのね……。
うかつだった。っていうか、そこまでおもわないけど、残念すぎる。
加納朋子の「虹の家のアリス」が面白そうだな~、と思って検索したけど、なんか出てこないのね……。
残念。
螺旋階段のアリスを探そうっと。

というわけで、QEDシリーズ。
「百人一首の呪」を読んだのは、何年前だったか?
現代において、結界を張る云々というのはなんとも違和感があったな~。まあ、信じる人はそう思うんだろうな。
私も割とオカルト好きなんで、陰陽とか密教呪術とかの本も読んでましたが、……真剣にやってたこともあったっけ(苦笑)。

しかして、1999年の作品だと微妙に文化レベルに奇妙な感じがしますよね~。
この頃はまだみんな携帯電話持ってなかったもんね。今でこそたいていの人は持っているわけですが、この作品の中には、一人しか携帯電話を持っている人が出てこない。
たった数年で作品内の時代は流されていってしまうんですねえ。
同じ時代だと思っていても、数年でこの差はでかいなあと実感するわけで。
あと数年で本当に人類は仮想現実とか、クローン、自立型の二足歩行ロボットなんかを創り出してしまうのかもしれませんね~。

とはいえ、タイトルが六歌仙で、最初に出てくるのが七福神の呪いだとしたら、どうしたって二つは繋がるんだとわかっちゃうわけで~、なにがやりたかったのかしら?
私はもしかして、七福神だとか六歌仙だとかに、毒薬の調合方法が隠されているのかと思ったんですけど、そうじゃなかったですね。だって、暗号だっていうからーん。
わかったのは、弁財天と小野小町だけですけど。もちろん、紅一点だから、なんてことじゃないですよ。
ちゃんと弁財天がなんの神様で、小野小町がどういう人かっていう下りを読んでから気付いたんですけど。
他の所はぶっちゃけ流し読みだったし~。それ以上は共通事項をいちいち覚えてはいられなかった。
まさしく歴史の教科書ですよね~。

うがった考えを持った私は、この手の展開に「こじつけ」臭さを感じずにはいられない性分です(笑)。
その割に、本当かどうか自分じゃ調べないんだけど~。
この手の小説では、すべてが事実である必要はないと考えているのですが、どうなんでしょうか?
この手のモノだと、「これはフィクションです」みたいなことが書かれているっぽいけど、そうなると本の中の六歌仙と七福神の関係は「フィクション」になっちゃうじゃー?
なんて。

それにしても歴史って深いのね。
そこに真実があるかどうかって、実際問題には本当にわからないんだと思うのです。
誰かの日記が歴史上の真実だったかどうかも、それをひもとくことが出来るかどうかの大事な手掛かりになるはずだけど、その日記がその当時の人の「フィクション」じゃないってことを証明するのも難しいと思う。
前作にもある百人一首、六歌仙の和歌や短歌も、あの頃の人たちはすぐにその意味がわかったのだろうけれど、私たちはその解釈をひもとくために、別の文献を確認せねばならないわけで……。
真実って、なにをそう思うんだろう。

この著者も、そういう意味では歴史の一部を照らし出しているわけだけれど、同じ事を考えている歴史家も実際にはどこかにいるのかもしれないんですね~。
だとして、そんな歴史書が先に世に出ていて、その本を読んでいる人がこの作品を読んだら、すぐにトリックがわかっちゃうんだろうな~。

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クラインの壺

メビウスの輪は二次元で、こちらは三次元、いや四次元ってことなのか?

講談社文庫 岡嶋二人・著

岡嶋二人の名前は知っていたけれど、ついぞ読んだことがなかったわけで、これは二人三脚で書いていた最後の作品だそうなのでちょっと読んでみることにしました。
漫画の「リヴァイアサン」でもクラインの壺というネタがあるけれど、もちろんこれは別物。
SFネタなんですよね~。仮想現実の世界。
十七年前なんで、つまり、1988年ですか。そんときはそりゃあすっげえと誰もが驚いたわけなんざましょう。
けれど、二十一世紀にもなりますとそのネタってSFとかでは結構使われているネタなので、あまり驚きはしなかったというか、オチが読めちゃったんですよね~。
とはいえ、なんだかんだ言いつつも、一気に読んじゃったんですが。
近頃じゃ珍しい。いつもはだらだらと読むのに、そこそこの分量で一気に読ませるんだから、機会があったら他の作品も読んでみよう。

仮想現実の世界って言うのは、90年代から結構言われていたんじゃないでしょうか?
主人公の上杉は、ヴァーチャルリアリティ・システム「クライン2」のモニタープレイヤーとして、仮想現実の世界で仮想国家にスパイをプレイすることになるのですが、やがて現実と虚構の区別がつかなくなってしまい、企業の陰謀に巻き込まれていくわけですが……。

高畑京一朗・著「クリス・クロス 混沌の魔王」という作品がメディアワークスから出て、ラジオドラマにもなっているんですが(古い話)、学生時代に読んだ最初の仮想現実モノだったと記憶しています。
この作品は1994年に世に出ていますし、ティーズ向けなのでファンタジーっぽいかも。
両作品とも、仮想現実の世界に入り込むための装置があって、その装置を使って仮想現実の世界に入り込むんですよね。

ただ、仮想現実で遊ぶ舞台が違う。
「クラインの壺」のほうは、ほとんど現実の世界を再現しているのに対して、「クリス・クロス」はファンタジーなダンジョンを舞台にしているんですよね。
「クラインの壺」の上杉は、だからゲームの世界と現実の世界の区別がつかなくなってしまうんですが、「それはちょっと無理があるんじゃ」、と思っちゃったんですよね~。実際、そういうのがいろいろなメディアでも、また他の小説のネタとして扱われるのを見ているので、その当時の限界を感じちゃったんですよね~。

仮想現実と現実の区別がつかなくなったといっても、空腹とか排泄とかはどうなってるのかしら? そういうのも仮想現実はまかなえるものなんでしょうか……? 空腹を我慢したら飢え死にしちゃうし(点滴してれば別なのかな?)、排泄しないと身体をこわす(点滴してれば排泄もないのか)。時間の感覚が失われれば、そういうのもありなのかなあ~? すくなくとも「クライン2」にはそんな機能はないと思う。いや、あのスポンジベッドのスポンジから栄養素などの分泌液がでているのかも。
ついでに、渋谷の街を再現するのは無理があると思う。そこに存在する人、人、人をリアルに見せるのはわけないかもしれないけど、絶対パターン化しちゃうと思うんだよね~。それともそこまで科学が発達すれば可能なんでしょうか? オンラインゲームのように、何千人もの参加者がいれば話は別だけど。
それこそ、映画「マトリックス」の世界だ~。あれはだけど、あらゆる人が同じ仮想現実を共有しているから出来ることなのだと思うのよ~。

とりあえず、今回のミステリにそんな信憑性を求めるのは間違っているってわかっているんですけど(苦笑)。

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天国の本屋

はい、駆け足ー! 駆け足ー!!

新潮文庫 松久淳+田中渉・著

なんか、浅野温子をドラマで見るなんて久しい気がします。
そんなのはどうでもいいんだけど。
読み終わった本が多いのが嬉しい。
だから、駆け足。

なんのためにblogやってるんだっけ……?

天国の本屋、これってシリーズものなんですね。映画になった恋火はまた別のお話なんだ~。
ファンタジーだな~。
天国の本屋、その世界観の設定は面白いけれど、そのへんはちょっと底が浅い気がしますね……。
魅せるのはそこじゃないんだし。
主人公のさとしが、突如として天国の本屋でアルバイトすることになり、そこで朗読を聞かせる物語。
本屋って設定は好きだな~。朗読を聞かせる本屋か~。
こういう設定は凄く好き。
だけど、朗読って……私自身は好きなんだろうか?
以前「朗読者」という本を読んだけれど。
字の読めない女性が、年下の恋人に本を読んで貰うお話でしたが、そういうのが必要な人はいるのだろうけれど、自分が朗読して貰うことを考えたら、困惑するかも知れないなあ。そういうアルバイトもあるらしいし?
先を急く癖があるし、短気なところがあるから、他人の朗読はまどろっこしく感じるかも知れない。
それを考えると、朗読してあげることにも向いてないかも知れないな。
演技力はあるとおもうんだけど(笑)。

特筆すべきは、「ナルニア物語」の描写があることでしょうか(笑)。

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チョコレート工場の秘密

チョコレート戦争という本があった。あれは国産の児童書だったし、面白かったな。

評論社 ロアルド・ダール・著

チョコレートという響きはとっても、不思議。甘い気もするけれど、実際には苦いときもあるし、色がまろやかな茶色の時もあれば、黒いときもあるわけで、飲むチョコレートってすっごく気になるんだけど、試したけど上手くいったことはないんだよね。

ジョニー・デップ主演で映画が公開されるのでいつものように予習ってことで読みました。
なんか、ちょおっと納得いかない様な気がしないでもないですが……、ううん、でも面白いんだろうか、これは?
私がすっかり頭の硬い大人になってしまったから何でしょうか?

工場長にもの申す!
本当にいいんですか?
彼は工場見学の間、なにもしてません。おとなしくついてきていただけです。
他の子供たちの様に、自主的に動いていません。
ただ、おとなしくしていただけなのに、いいんですか!?
映画ではチャーリーがちゃんと活躍しているといいな~、と思う私です。

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聖の青春

ヒカルの碁は面白かったけれど、こういうのも面白い、というか感動しました。

講談社文庫 大崎 善生・著

ヒカルの碁は、囲碁を知らなくても楽しめたけれど、将棋漫画はどうなんでしょうか。
月下の棋士とか、割と将棋の漫画は数多いみたいですよね。どれもルールなんて知らなくても楽しめるのかな?
まあ、一応私も小学生の頃に将棋に親しんだ方ですが、やっぱりやらないと勝てなくなりますよね。
でも、碁よりもわかりやすい。碁は陣取りだけれども、白と黒だけで単純なために逆に複雑になる。
将棋は、駒ごとに役割があって見えやすい。

村山聖の伝記、とでも言うのでしょうか。29歳で夢半ばにして倒れた棋士。
著者は、将棋雑誌の編集者だった方のようですから、本当に村山聖の感じていたことが描かれているかはわかりません。元になったのも、家族や知人・友人のインタビューが元になっていますけれど。
だから、彼が感じたり思ったりしたことはすべてを知ることは出来ないのですが、それでも家族たちが感じた彼の姿や歩んだ道に間違いはないはず。

ネフローゼという病気に冒された幼い彼は、その元気をもてあまし、病院生活のなかで将棋に出逢い、それにのめり込んでいく。
病魔と闘いながらも懸命に生きていく。けれどそれをあざ笑うかの様に、大人たちの理屈が立ちはだかる。
その理不尽さに怒りを募らせ、大人というものに不信感を募らせていく少年時代。
将棋の師匠である、森との出逢いがある。
森は強い棋士ではないようですが、我が儘で引っ込み思案な聖を長い間見守り支えていきます。
それ故に、他の大人たちと違って、彼の心を開いていくんですよね。
森自身、奔放な流浪の生活を送っていたりして、割といろんなことに無頓着。けれど、村山にだけは愛情を注いでいるのでした。病床の村山のために買い出しにでたり、風呂嫌いの村山の頭を洗ってあげたりするんですよね。
正直甘いとしか思えないのですが、それはそれ。師匠としてきちんと村山をさとすこともするのでした。

それにしても、羽生善治は知っていたけれど、同じ時代にこういう人がいたなんて全然知りませんでした。
聖は、羽生棋士のことはライバルであっても尊敬していたようです。
彼自身は、健康であって努力の見えない若い棋士たちが許せない部分があったようです。その反面、羽生棋士は努力の絶えない聖の前をずっと走っている、立派な人物だったんでしょうね。
聖は自分が病気であるというハンデを原動力に、努力を続けています。どこかで、その病が自分の原動力になっていることをわかっていて、それを自分の一部なのだと受け入れつつも、自分のこの境遇を呪ったりしている。
弱きを助けながらも、弱者を淘汰する将棋の世界に身を投じていることに悩んだりする。

その生き方は苛烈で凄烈で、観ているこちらが辛いくらいに痛々しい。

息子の病気は自分たちのせいだと、両親は彼の我が儘をひとつひとつ叶えてやります。
振り回されることに疲れることもありますが、息子の意志の強さ、そんな息子を助けてくれる周囲の姿に励まされます。
我が儘が許されることもあるのですね。

自分の死期が近いことを感じた頃から、彼は故郷に戻り、遺言書をしたためます。その内容はわかりませんが、基金や寄付に積極的だった彼のこと、そうしたものもあったに違いないし、その反面我が儘しか言えず、素直に感謝を示せなかった家族に何かを残したかも知れない。
聖は自分の弱った姿を誰にも見せ無くなくて、師匠の森すらも近づけようとはしなかった。本当は一番に会いたい人だったはずなのに。

聖が亡くなったという、そのページに、私はこみ上げてくるものをおさえることが出来ませんでした。

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折れた魔剣

あの「指輪物語」と同じ年に世に出たという作品。

ハヤカワ文庫 ポール・アンダースン・著

ケルト神話、あるいは北欧神話を下敷きにしたハイ・ファンタジー。
復刊したんですかねえ。なにやら昔と違って大きな文字で復活したとかコメントがありますが。
でも、中の字はそれはそれは小さいです(苦笑)。
とはいえ、文庫旧版の「指輪物語」の字に比べれば全然大きいわけですけれど……。

エルフ、トロールなど仙境に住まう民たちがまだ地上に住んでいた頃、イングランドの強者オルムに息子が生まれた。
だがその赤ん坊は、ある夜エルフの太守に連れ去られ、華麗な魔法の国で屈強な戦士へと成長していく。
彼スカフロクと、オルムのもとに残された取り換え子ヴァルガルド、この重い宿命を背負った二人の対決は、ノルンの三女神の紡ぎ出す生と死の糸をたどって、栄光と悲劇の一大叙事詩を展開する。

というわけで、取り換え子のお話です。
なんというか、昨日観た「アイランド」が思いだされます。
ヴァルガルドは、エルフの太守によって、奴隷のトロールに魔法で生ませた子供で、スカフロクに似せてあります。
まるで、クローンを誕生させたかのようですね。
すべてはオルムに一族を殺された魔女の復讐による策略ですが、二人は互いに憎み合い、殺し合う運命にありました。
スカフロクはヴァルガルドの出自を知らないので、一方的にヴァルガルドが出自に関して苦悩するのですが、それはまさに自分が偽物故の苦悩です。
「アイランド」のユアン・マクレガーの方は、オリジナルに救いを求めるくらいですが、結局二人も殺し合うことになりましたからね。
本物のほうだって偽物になりかわられるのではないかと恐ろしいし、偽物は本物になりたいと足掻く。
この物語もそれが主軸になるわけですが、それだけでは終わりません。

スカフロクは、エルフの世界で立派な若者に成長します。陽気で機知に富み、エルフの女たちにももてました。エルフの戦士たちの信頼に篤い優秀な戦士、また魔術の腕を持っています。
人間世界に送り込まれ、自らの出自も知らないヴァルガルドは自らの内でくすぶるわけのわからない破壊衝動に突き動かされ、乱暴者になり家族からも疎まれる様になります。
ヴァルガルドは魔女に惑わされその思惑通り、家族殺しの罪を背負います。
スカフロクはついにヴァルガルドとまみえ、オルムの最後に生き残った娘フリーダと出会います。
そうして、二人は一目で恋に落ち、兄妹で禁断の契りを結んでしまうのでした。
その辺は「ニーベルンゲンの指輪」を下敷きにしていますよね。
二人はそのことを知ってしまい、悲劇に陥るのですが、その場面はあまり悲壮感はなかったかも。
全体的に悲惨な世界が広がっていますので、そのうちの一つなんですよね。

酷評しました「君の名残を」でも、怪僧のエピソードに出自も知らず妹と結ばれてしまう、というのがありました。
あちらの方は、妹の方がその事実に耐えきれずに狂い、悲壮な最期を遂げます。それに関しては、「君の名残を」に軍配が上がりますね。
ただ、「折れた魔剣」には神様が存在します。高次元な存在が顕在し、神々の黄昏にむかって運命を紡いでいる世界なのです。
そうした世界観だからこそ、スカフロクとヴァルガルドの二人が弄ばれる運命の悲壮感が際だつんですよね。
「君の名残を」のようにわけのわからない宇宙の意志がふざけた軽い存在ではなく、重々しく世界を支配する存在としてそこにあることに違和感がないのです。
久方ぶりの、血肉湧き踊るハイ・ファンタジーを堪能いたしました。

スカフロクとヴァルガルド。
最後に二人はほとんど相打ちになって、倒れてしまいます。
神々の戦いに際し、ある目的のために運命を弄ばれた二人の死は悲壮であります。
スカフロクとフリーダの悲恋はちょっと物足りなかったかな。なんでしょうか、やっぱり日本人とアメリカ人の思考の違いなのかしら。
日本人は、連れ合いと子供のどちらかを助けなければならないとき、子供を助けるそうです。
でも、アメリカ人は、連れ合いを助けるそうです。

人種の考え方の違いか。
人種間の争いも絶えないというのに、人間は自分の複製を造りだし、自分に似たロボットを創り出す。
そして、そこに夢想するのはやはり、複製、ロボットとの争いなんですね。

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ユアン・マクレガー

ユアン・マクレガーといえば、今期は「スターウォーズEP3」と「アイランド」ですね。
ということで、観てきました。

そういえば、コリン・ファレルが大騒動になっていますね。
昔のガールフレンドが破廉恥なものを大公開しているとか……。
さすがのプレイボーイも、こうなっちゃかたなしですね。
つーか、出演作にいくつか見知ったタイトルがあったので驚きました。
「デアデビル」と「マイノリティ・リポート」。
え?
あ、でも「デアデビル」はすぐに思いだした。ブルズアイだね。スキンヘッドだったよな~。
でも、「マイノリティ・リポート」は全然思いだせないな~。トム・クルーズの隣にいたっけか??
今後の映画はアクションものが目白押しですね。
「ファンタスティック・フォー」「ステルス」。そういえば、「ルパン」もやるんだよね。これは絶対観たいな~。
でもって、「奥様は魔女」も見逃せないですね。
あとなにやら「グリム・ブラザーズ」とかいうのが、映画館の広告に出ていたのですが、あれはなんなのかしら?
年末は「ハリー・ポッター」か。2冊をどう一本にまとめるのかしら? 最初のワールドカップがカットされているんだろうなあ~。

でもって、あれ。あれよ、あれ!
「ブレイブ・ストーリー」がフジテレビで「岩窟王」のGONZOがアニメ映画にするってか!?
驚き~。つか、どんな風になるんだろう? 映画館の予告ではどうやらお父さんじゃなくてお母さんのほうがいなくなる、みたい? 漫画版の新説ブレイブ・ストーリーは好評連載中のようですが……。
とりあえずは、「銀の髪のアギト」か?

「STAR WARS エピソード3」
アナキンがダース・ベーダー化する最終話。
結果がわかっているだけに、その過程がどうなっているのかがすっごく気になるわけで……。
どうでもいいけど、R2-D2が初っぱなから活躍しすぎなんじゃないでしょうか(笑)?
あんなに役に立つロボットだったのか……。しかも、ジャンプするし。
ルークの時代ではクレーンで飛行船に乗せられてたのにね~。C-3POはほとんど出番無しだったし~。
でも、僕はやっぱりR2-D2が好き。可愛いし、お役立ちだしね。

それはともかく、アナキンは、ジェダイたちに不信感を抱き始め、師匠であり兄弟子であるオビ=ワンとも、内緒で結婚したパドメともすれちがいはじめて、フォースのダークサイドに落ちていくのでした。
アナキンの苦悩がせつせつと描かれていきながらも、宇宙での空中戦をはじめ、ライトセイバーでのチャンバラも数々ありまして、ヨーダも強い。

まあ、正直アナキンの苦悩が描ききれていない感じもしました。
EP2で母親を失い、復讐に手を染めてしまうアナキンでしたが、その反発からか、政治的な観点からジェダイが行なう汚い行いが許せない。
それは自分を許せないことでもあるのでしょう。失ってしまった母、その母への愛がパドメへと流れ込んでしまい、結局は失うことになってしまう。
オビ=ワンの、アナキンを斬らねばならない悲壮感も凄まじい。
あまりにも哀しい。
メジャーな話だけれど、だからこそそこに積み重なっていたものがある。


「アイランド」
いわゆるクローンのお話。
内容としてはあまり目新しい題材ではありませんよね。クローンの人権問題、というか道徳とか倫理とか。
ですが、面白かった。
汚染された地球で生き残った人類は、ある施設に隔離されて種を保存していた。しかし、その中でも当選された人間だけは、外に用意された楽園へと赴くことが出来る。
そういう風に教育されているクローンたち。
ユアン演じる、リンカーンはそんな清潔で整然として変化のない毎日に不信感を抱き始めていた。

その後、主人公は仲間のクローンたちがどんな扱いをされて殺されていくのかを目の当たりにする。
有名スポーツ選手のクローン。
代理母として子供を産んだクローン。
……正直観ていてどきどきでした。こんなことが許される世界が未来に実現するのでしょうか。
そこの世界でも、クローンの人格を生み出さない様に植物状態で成長させるとのことらしいのですが……。
精神、魂は存在するのでしょうか? DNA配列が同じでも、私は同じ顔をした彼の存在を許すことが出来るのだろうか?

施設を逃亡する主人公とヒロイン。その逃亡劇のアクションも凄ければ、頭の回転にも驚かされます。
あるいは、生まれて数年という純粋さがそれを生み出すのでしょうか?
二人は一計を案じて、施設に捕らわれているクローンたちを解放しようとします。
そして、ハッピーエンド。
解放されたクローンたちは、自分のオリジナルに会って、どう思うのだろうか。
彼らは、自立した自分の分身を許すことが出来るのだろうか?
DNAは同じなのだから、やっぱり同じ病気になったりしないのだろうか? 血液の病気ならば、同じDNAの持ち主もその病気にかかる危険性があるのではないのだろうか。
もちろん、素人考えなんですけど。
施設ではそうならないように、健康管理、ようするに食事を制限させている様だけれど、違う環境で赤ん坊から育てても、やっぱり同じ人間になるんだろうか? そんなことも思ったりする。
このテーマは人類の今後の命題になるんでしょうか。ロボットがクローンになりかわっただけのような気がする。
それ以前に日本の未来ってあるのかしら?

それにしても、……オールバックのショーン・ビーンが渋い、渋すぎる!! スーツをスマートに着こなしている。
年を取り、皺が深くなったけれど、腹が出ている様には見えない。
LOTRのボロミア。その前から割と悪役で多かったけれど、やっぱし悪役が格好いいと映えるねえ~。
そういえば、アラゴルンはどこへいったのかしらん?

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夏期休暇にて・本

短い夏休みでしたが、何冊か本を読みました。
漫画も含めて、ちゃちゃっとおさらいしてみましょう~。

「ラインの虜囚」 講談社 田中芳樹・著
1830年、冬 パリからライン河へ 謎と冒険の旅がはじまる
旅の仲間は4人 カナダから来た少女コリンヌ 酔いどれ剣士モントラシェ カリブの海賊王ラフィット 若き自称天才作家アレク
奇怪な塔に幽閉された仮面の男は 死んだはずのナポレオンなのか?
謎と冒険の旅がいまはじまった!

田中先生の久しぶりの新作は、児童文学? って感じですかね。
別に久しぶりじゃないのかな? アルスラーン戦記しか興味ないので、他の作品は見てないのですけどね。
あ、でも岳飛伝は面白かった。
これも歴史上の人物が出てきているわけですが、アレクことアレクサンドル・デュマとか。
しかも、この奇っ怪な塔に幽閉された仮面の男、を後日三銃士の題材にしちゃったなんて設定になって折るわけですよ。
実在の人物を使うなら、このくらいやっちゃったほうがいいと思う>君の名残を。
ヒロインのコリンヌは、かなりヒーローっぽい。男勝りのマドモアゼル。将来、彼女と結婚するのはどんな豪傑なんだろうか?

「ビートのディシプリン」 電撃文庫 上遠野 浩平・著
四巻目、完結!
なわけですが、ビートと朝子の再会が……まぶしすぎる(爆)。なんだ、そのいちゃつきはーーーーー!!
もうそんな初々しい気持ちなどない私には、毒でしたね。
それはともかく、ちょっと登場人物が多くなってきたし、長シリーズなのでやばいです。
いろいろと忘れてしまっていて……。
なんなんだ、チョコボールって感じですよ。
正直、全部通して読まないとわかんないですね。
とはいえ、シリーズものとしてはラストに向かってはいるようですね。
凪がなんかなってるし。
中枢の後継者として末真さんが、その天敵として浅倉さんがそれぞれ選ばれたようですが……。
柊さんがいうには、世界はもう少し存続しそう、ってことは……。
なんなの?
対極ってことなのかな? 謎が謎を呼びます。

「スラムオンライン」 ハヤカワ文庫 桜坂 洋・著
オンライン格闘ゲームにのめりこんでしまった大学生。
現実世界にのめりこむものがなくて、ゲームの世界にのめりこんでしまう。
大学の友人はゲームにのめりこみ、そのまま引きこもってしまい、実家に帰ってしまうし、彼自身も現実とゲームの区別が曖昧になっていく。かくいう私もそれに引き込まれて、一瞬どっちがゲームの世界なのかわからなくなってしまうときもあった。
そんな彼も、友達以上恋人未満のガールフレンドが出来るわけだけど、彼はゲームの世界で目的を見つけ、世界最強の座を賭けた戦いを目前に、彼女とは諍いを起こしてしまう。
そんな彼も、その最後の戦いを目指す最中、自分に必要なものを見つけていく。

現実を拒否して、ゲームのなかにのめりこむ。
そう言う気持ちってすごく良くわかる。毎回毎回同じことを書いているけれど、ゲームやそうした世界ではよりリアルに近くて、現実のしがらみに捕らわれずにすむんですよね。
でも、本当はそんなのは嘘で、本当に別の世界があるとして、その世界にいったとすれば、その世界にはその世界のしがらみがあって、違和感のあるその世界にのめりこむことなんて出来ないと思う。
それが本当のことで、僕たちは仮想世界だからこそそれを見ずにすむだけ。
それに比べて、ゲームの世界ならば本当に好きなことだけ出来るんだから、そこにのめり込むなんて簡単だと思う。
私が何故、オンラインゲームをしないかというと、結局そこにはやはり人がいて、そのことでいろいろと考えなければならないからだと思う。だからって、引きこもっていないのは、やっぱり寂しい、自分の世界をそこに存続させたいから。

主人公は、テツオとなって、オンラインゲームの世界の中で戦いますが、あくまでマイペースな感じ。けれど、情報を仕入れて世界の事を知っていき、様々な攻略法を見つけていきます。
何故戦うのか、何故強くなりたいのか、そんなことを模索していく彼は、現実の世界でもいろいろと立ち直っていくのでした。
学生時代の1ページ。羨ましい。

「ウンココロ ~しあわせウンコ生活のススメ」  実業之日本社 藤田 紘一郎・著
ちょっと驚く、黄色い本。
笑える、らしいけれど、その内容はどう考えても笑えないだろう、みたいな!?
お腹に自信がない方は一読あれ。とはいえ、すぐに治る訳じゃありませんけど。
長期的なものだし、それがいずれ地球に優しいとなるならば、O泉首相はクールビズとかほざいていないで、この本を読むべきだと思います。この内容が、地球のためになるならば、もちろんそうだ!!
みなさまも、世の中に広めましょう。
とはいえ、一人暮らしだと、食生活などどうにもならないのですけどね(死)。

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夏期休暇にて・コミック

「DOGS」 集英社 三輪 士郎・著
漫画。
闇に欲望が蠢くとある街。銃やナイフで傷つけられながら、銃やナイフにすがって生きるしかない4人の「狗」たち。ハイネ、直刀、バドー、ミハイ…それぞれの生き様を描く鮮烈な連作集!
この方の絵は、好きです。っていうか、同人誌買ってた。FF7、8の本だったけど。
ミハイさま、渋くて素敵。直刀のお師匠様も、渋くて素敵。
若者のハイネとバドーがちょっとキレすぎてるのがちょっとねー。もうちょっと、まともなお兄さんもいてほしいな。
直刀は、女の子です。彼女はくーるびゅーちぃー。触ったら、切られそうだけど~。
でもって、このままじゃいけないね。連載するっちゅー、話なのに止まってる? でも、動くちゅーはなしも。

「月館の殺人」 小学館 綾辻行人・作 佐々木倫子・画
漫画。
私は、「おたんこナース」からのファンです。「Heaven?」も持ってます。でも、「動物のお医者さん」は買ってません。なぜなら、チョビがメスだったか。まあ、その頃の絵がちょっと苦手なんですけどね。
「おたんこナース」のあれには笑わしてもらいました。本当に大爆笑ですよ。
というわけで、今作も実に楽しみに待っていたのでした。
でも、綾辻行人は積ん読だったりして……。
鉄道ミステリだそうですが、やっぱり今までのノリは生きている。
今回のヒロインも、今までの様に気の強いのかと思っていたのですが、正反対の女子高生。ちょっと驚き。
おまけにとろいし、お嬢様属性が賦与されてパワーアップ。
特別列車「幻夜」に乗って、降って湧いて出たお爺様に会いに行く、ヒロインの空海。
同じ列車には、六人の鉄道マニアが乗っていて、どうやら空海はその六人の中から婚約者を選ばなければならないようで……!?
と、そこに起こる密室殺人。そして、実はその列車は……!?
でもって、下巻に続く。少なくとも半年以上あと。ってことは来年か!?
待ち遠しい!!

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水晶とカフェ

今回はほのぼのやすらぎ特集(?)。

「水晶山脈」
KTC中央出版 たむらしげる・著
この方は絵本作家なんですね。
ロボットのランスロットのことは聞いていたのですが、見たことはありませんでした。
きっかけは、情報バラエティ番組の「王様のブランチ」。こっちでは午後の放送がないので、観てないんですが(どういう理屈か……)、その時は偶然見たんですよね。
あの番組も、本のコーナーがあるんですけど、割と一つもノンフィクション作品が多いので、ちょっと敬遠気味なんですけどね。私の趣向に合わないので。
こういうのも本との出逢い。
スタジオで、撮影した写真から絵本を造り上げていくなんて格好いい。
そして、今度の新作が、水晶の原石をパソコンに取り込んで加工した「水晶山脈」と聞いて、さっそく買うことにしました。
ただし、本屋では入手ならず。結局、Amazonに頼ることになったのでした。
まるで詩集のような作品ですね。
最初に主人公(たむらしげる本人?)が自分の部屋で、水晶の原石を見つけたところから始まるのですが、やがて主人公は近所に鉱物屋のホラルと出会って、パラレルワールドのクリスタルバレーで採掘をはじめることになるんですね。
パラレルワールドで生まれる美しい石は、現実世界の人々の夢であるとか……。

エピソードのそれぞれに、鉱物を使った物語があるのですが、それが詩のように短くてわかりやすくて、すっと入ってきます。鉱物に関する講釈も邪魔にならずに面白い。
そもそも、本が綺麗。
綺麗な本は好きです。この本は以前書いた「フェアリーテイル」のようにきらびやかで華麗だったり、派手なわけではありません。神秘的すぎることもなく、とても身近に感じることが出来ます。
後半には、パラレルワールドのガイドというのか、鉱物の名所が紹介されていて、そちらも面白く感じました。「緑柱石島」とか「アメシスト・スネイル」なんてちょっと素敵な発想ですよね。


カフェかもめ停「ささやかな魔法の物語」
ポプラ社 村山早紀・著 朝倉めぐみ・絵
ポプラ社と言えば、いまでも「オズの魔法使い」シリーズはあるのだろうか?
たしか文庫で買っていたのがポプラ社の本だったと思うのだけれど。本当は最初に大きなハードカバーの絵本を買ったのが、「オズの魔法使い」だった。
すっかり夢中になって、そうした本をずっと探すきっかけになったのだと思う。
ポプラ社の文庫だと、「オズの魔法使い」意外にも「アルセーヌ・ルパン」のシリーズも夢中になったと覚えている。
今はもう全部処分してしまったのだけれど……。
オズの魔法使いというのはすごくシリーズが続いていて、ヒロインのドロシーだけではなく、オズマ姫もいるんですよね。実は男の子だと思っていた少年が、実は女の子でしかもお姫様だったなんて、衝撃的な展開だったし。
五、六巻は出てて買っていた気がするけれど、その後でなくなったような、あるいはもっと乱暴で血肉湧き踊る活劇に興味が引かれていったのがあったのかも。

とにかく、それを考えるとポプラ社とは、十五年以上御無沙汰だったのか。

カフェというのはすっごく興味のある、不思議な空間だと思っています。
古い図書館みたいな雰囲気?
喫茶店というと、近頃はスターバックスとかドトールとか、たくさんありますが、ハリー・ポッターの著者がいついていたのは、そういうところじゃないと思う。いわゆる近代的?
私もどこか近所に常連になりたい喫茶店が欲しいのですが、なかなかそんなのはないですねえ(苦笑)。
そもそも、コーヒーも紅茶の味がわかるわけでもないし、知識もないので、そんなことおこがましい。
しかも、そうした嗜好品を飲むだけで時間は潰せない性分です。やっぱり、本を読みながらとかになっちゃいますよねえ。
でも、そうしたお店の雰囲気って憧れます。年を取ったらとか思います。もっと本が増えたら、貸本屋でもやりたいですね~。ただし、そうするには本が少なすぎるんですが……。

そんな風に憧れてしまう、カフェ・かもめ亭。
若い女主人のもとには、たくさんの常連さんたちが、かずかずの物語を携えて物語をマスターにだけ打ち明けていく、短編集のような本。ちょっぴりファンタジー。
2001年に出ているのですが、ちょっと古い感じがしますかね。
わりと現代社会が抱えている児童の問題なんかが描かれています。いじめとか、不登校とか?
そうしたエピソードの中には、ハッピーエンドではないこともあるので痛いときもある。世の中甘いだけの児童文学でもありません。
結構現実を直視するのが痛いけれど、それを救済するためのエピソードもついています。
裏話?的な、あるいはネタばれ的なエピソードもあって、単調になり気味な短編集にあって、展開もひねりが感じられますね。
もちろん、狙っているのはそこじゃないんでしょうけれど。

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君の名残を

これはファンタジーなの? そーだよね?

平家物語といえば、現在NHKの大河ドラマで「義経」がやっているわけですがね。
やっぱし、そんな義経さまは、神童って感じだし、おそろしく出来たお方なわけですね。
田中芳樹著の「岳飛伝」の岳飛を思いだしました。
岳飛もいい男ですよね。忠義を尽くし、朝廷の危機には真っ先に駆けつけ、戦争が終わると朝廷から遠ざけられるという、不遇な状況にも異を唱えず、ただただ朝廷に忠義を尽くして、朝廷を信じてお亡くなりになった英雄。
割と、ドラマの義経も兄の頼朝に疎んじられてるのも知らずに、ただただ忠義を尽くし、ポジティブシンキングですよね。痛々しくなっちゃうんですけど……。

こっちの本の義経は、もっと人間くさいんですが、それほどキャラクターは掘り下げられていないからな……。

宝島社 浅倉 卓弥・著

この手の本でサー、ファンタジーやんなよ。
というような反感を持つ私。
しかし、「四日間の奇蹟」の著者なんだから、その手のファンタジーだと勘付くべきだった~。
この人苦手だ。
確か、「四日間の奇蹟」でも思ったはずだけど、何故かアンチファンなのか?買ってしまったんだなー(鬱)。

義経ブームで出たのだろうか?
いわゆる歴史物なのですが……。
そこにタイムスリップとか、世界の大いなる意志みたいなのが絡んできて、なんじゃこりゃなことになっております。
私はもう頭が硬くて、そんな自分にちょっと愕然としたりして。こういう設定がすんなり受け入れられない歳になってきているんだな……。
仮想世界やファンタジーではよくある設定を、史実に絡めただけじゃないか、と思うんですが。
「慟哭のロマンス」を謡っているんですが、ちょっと余計なところが多かったかな。

現代から平家物語の時代にタイムスリップした、三人の高校生の物語。
友恵は後に木曾義仲と出会い、武蔵は源義経、四郎は北条義時になって、それぞれの運命を生きていくわけですが、四郎はほとんど出てきません。一応、あとから何で彼がタイムスリップしたのか理由が出てきますが、理由が弱いですよね。
実際、運命に翻弄されて再び出会うことになる、友恵と武蔵の物語なんだからその辺を中心にすればいいと思うんですが、割と余計に清盛など平家陣がこれでもかというくらいに出てきます。
途中から私も、その辺はすっとばして読んでましたし。
(そのせいかもしれないけれど)時間の経過も感じられなかった。
友恵は、木曾義仲と出会い、巴御前となるわけですが、その後子供を産んで義仲の死にも立ち会います。その間、二十年近くが経過しているのに、私の中の友恵はいっかな年を取らず、いつまでも高校生のまま。
年輪を重ねて、歳をとったようには全然思えない。
限られた枚数の中で、登場人物の成長というのを現すのはすごく大変なことなのだけど、そういう意味では清盛のことを書くくらいなら、そっちに重きを置いた方が良かったのではないかと思います。
もっとあっちこっちいじくって、史実に基づかない結末でも良かったんじゃないかなー。

ぶっちゃけ、文覚だっていらないと思う。
文覚は、謎の僧侶として登場し、どこかから世界の意志を受け取って、歴史をそのように流れていく様に操作するわけですが……。
この現実世界に、歴史を操作する必然性があるのか、読んでいても意味が見いだせない。
そういう世界の意志みたいなものは、ない方がいいんじゃないかって思う。

いっそのこと、もっとファンタジーにしちゃって、ティーンズ向けで連載したほうが面白かったんじゃないかと思うんだけどな~。
かつては幼なじみだった友恵と武蔵の対決とか、互いに夫と主君がいて、それが敵同士でドラマティックだし、その辺の再会シーンは心にくるものがあっただけにどことなく残念。

現実の史実と、タイムスリップねたでは、温度差がありすぎて、融合は難しかったと思われます。

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ライオン・ボーイ Ⅲ

今回はカラーイラストが少ない気がしてちょっと残念。

PHP ジズー・コーダー・著

黄色、緑となって、最後は鮮やかなピンクですね。
今回は、カリブの決闘
母と娘の合作。娘が原作で、著者が母って感じでしょうかね。

ライオン・ボーイのウリは、やっぱり天野先生のカラーイラストでしょう~。
表紙はもちろん、今回も見開きにカラーイラストつき。
1巻はサーカスメンバーが、これでもかというくらいにカラーページで挿絵がついていたけれど、今回は少ないのでちょっと残念。

1巻、2巻でライオンたちと大冒険の旅に出ていた主人公のチャーリー。
ネコ語を話す少年は、さらわれた両親を助けるために、ネコをはじめとする動物たちの力を借りて、二人を助けるための旅に出ます。
1巻では、不良少年ラフィをかわし、サーカス団に入団して、ライオンたちとサーカスを脱走します。
2巻では、巨大企業コーポラシーに捕らわれていた両親が、脱走し、ついに家族が合流するのですが……。

3巻では、コーポラシーのさらなる追撃に、家族は頭を悩ませるところからはじまります。
なにせまだコーポラシーとは決着が付いていないのですから、安心は出来ません。
けれど、いくたの苦難を乗り越えてきたチャーリーは、引き離されたことで臆病になってしまった両親の過保護さに辟易して、判断を間違ってしまうのでした。

登場人物勢揃いとなるわけですが、活躍するかと思いきや、ちょっと出だけなのが残念。
サーカス団員たちなどは、その技を使って戦う、のかと思ったんだけどなー。登場だけでした。
他にも、2巻で登場したサーベルタイガーのプリモも出てくるけど、活躍しないし。
その辺が欲求不満で残っちゃった感じですかね。

アレルゲニーのネコ、セルゲイは今回もチャーリーの相棒を務めて怠惰ながらも活躍。
けど、今回もっと活躍するのは、カメレオンのニヌー。あらゆる言語をマスターしているニヌーは、ある意味ネコ語しか話せないチャーリーよりもすごい。ぶっちゃけ、チャーリーじゃなくても、ニヌーと話が出来る……(それをいっちゃだめー)。

ようするにいろいろてんこ盛りなのですが、その分いつもより内容が薄い感じが……。
チャーリー大活躍やその成長は見ていて嬉しくなりますけどね。

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エレンディラ

今年は金のBookCharm。

新潮文庫の100冊。
毎年同じ本のリストの様な気がするのは何故でしょう?
そのうち買う本が無くなるー。
燃えよ剣は持っているし、アリスも買っちゃったし、でも罪と罰は挫折しちゃったし。
今年の応募券では、金のブックチャーム。しおりにも使えるって、前回のは重たすぎて使いづらかったのに、性懲りもなく今年も応募することに。
だって、今年は金だもの! 鍵と鍵穴だよ!!

だからなんなの?

でもって、買った本は「天国の本屋」と「六番目の小夜子」。
何故に、今頃六番目の小夜子? でも、これって恩田陸だったのね。

あら、そう言えばエレンディラとは全然関係ないじゃん。

ちくま文庫 G.ガルシア=マルケス・著

ちくま文庫の本って、他にも積んであるけど、まともに読んだのはこれだけかも?

なかなかに評判のいい短編集だったので。薄かったし。
どのタイトルも長くて、雰囲気がある。
一番好きなエピソードは「世界で一番美しい水死人」ですかね。
なんとなしに幻想的で不思議な雰囲気のエピソード。
村人たちが、海岸に打ち上げられていた偉丈夫の水死体を埋葬するお話。
なにやらいつの間にか、水死体を敬いはじめた女たちに男たちまでもが感化されて、一大イベントになってしまうという。
「大きな翼のある、ひどく年取った男」も印象的。
デイヴィット・アーモンド著作の「肩胛骨は翼のなごり」を思いだしました。
あれもすごく綺麗な作品だった。児童書なのですが、感受性の強い少年が家庭の不幸を感じる様は読んでいてもの哀しくていたたまれなかった。身体の弱い生まれたばかりの妹に、少年は心を悩ませ、両親の不幸に心を痛める。
そんな彼の家の納屋には、ぼろぼろの天使が住み着いていて、その天使との交流と家族の再生を描いていた、と思う。
ちょっと曖昧。
ますます弱り切っていく天使が、少年のために妹の命を助けてあげるエピソードだったと思います。でも、天使は自分の力じゃない、とかいうんじゃなかったかな?
ガルシアの作品の天使は見せ物になっちゃうんですけどね。

表題ともなっている最後のエピソード「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」は、今までのエピソードからは考えられない驚きの内容。
祖母に召使いの様にこき使われている美しい少女のエレンディラは、祖母に売春させられるわけですが、なんともグロテスクな老婆が恐ろしい。
グリム童話のラプンツェルに通じるものがあるのではないでしょうか。
老婆によって、塔のてっぺんに閉じこめられている美女。

エレンディラは日に、何十人もの客を取らされて、それでも無垢な姿を失わずにいると思わせていたが、気付けば恋人も出来て、どうにか老婆から逃げ出すことを考え、最後は老婆を殺すことを考えるまでに追いつめられてしまう。
なにやら、映画だか舞台だかにもなっているエピソードだとか。
ちょっと衝撃的。

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