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アキハバラ@DEEP

この本が出てから、一年が経ってしまった……!! 未来に変身!

文藝春秋 石田衣良・著

テレビで、スパイ・キッズ3がやっている。あれは飛び出す3D映画だったから、字幕はあり得ない(文字まで飛び出たら気持ち悪くて読めないし)から、テレビだと面白さは半減するのでは、などと思っているけれど。
これって面白かったよな。

つい先日、友人がアキバに行くと話していたので、急に読みたくなった。
もう何年アキバに行ってないのだろうか?
その友人も私が「アキバ」というと、「秋葉原と言いなよ」と冷たく言ったものだったが、今やそんなことなど忘れて「アキバ」と読んでいる。……染まったものだ。
それにしても、この本ってもう一年経ってるのね。この本の中ではまだ、秋葉原にヨドバシがなくて、駅前は開発途上なんですよね。この本も歴史を語る一冊になるんでしょうか?(大袈裟な)

吃音のリーダーに、潔癖性のデザイナー、フリーズする作曲家の三人組に、コスプレ喫茶のアイドル、アルビノのハッカー、引きこもりのリーマンが加わり、「アキハバラ@DEEP」会社を設立。
eビジネスを開始。
そこで仲間たちが開発したのは、全く新しいAIのサーチエンジン「クルーク」。その画期的な新システムを狙って大企業が乗り出してくる。
「アキハバラ@DEEP」の面々は、「クルーク」が儲けのために利用されるのを良しとせず、弱小企業は大企業に立ち向かっていく。

秋葉原が舞台で、言ったことがあるので割と地理的なものもわかる。著者も随分と取材をしているだろうし、やっぱりあそこが好きなんだろうな。最近の本って、著者の後書きが無い気がするんだけどなんでだろう? やっぱり面倒なのかしら?
この方の小説は、若いエネルギーに満ちていると思う。読んでいて不快感もなく、爽やかな感じがする。
昨今の暗い憂鬱な世界観が多い中、痛快なアップテンポは素晴らしい。
でも、何故かそれほど好きな訳じゃあないのよね。
それはたぶん、青春、だから。その青さが眩しすぎて、見てらんない(苦笑)。
しかし、やっぱりいい。
毎度のご都合主義もそうだけれど、エンターテイメント性に優れているのはもちろん、毎回同様チームワークの素晴らしい作品は読んでいて爽快。
まあ、引きこもりのサラリーマンがあんまし活躍しないんだけど。それが可哀想で、哀れ。

電脳の海に、AIが泳いでいるというストーリーは多いけれど、現実にはどうなんだろうか?
どんなデータもどこかに保存されていないといけないわけで、仮想現実の世界というのは確かに存在しないけれど、物理的な箱の中に存在していると思うのですが?
作中の様な、AIをカスタマイズしてサーチエンジンを育てるというのは、テレビアニメのロックマンなんかに繋がる様に思えます。あれって、主人公の少年がネットナビと呼ばれるAIとタッグを組んで、ネット犯罪を解決していくって言う話でしょ?
現実に、AIのサーチエンジンが実現したとしたら、きっといつかロックマンみたいな、ネットナビも産まれるんだろうな~。
未来の展望は広いけれど、近頃は科学の限界も見えてきている。
そんななかでいったいどれだけの夢を人類は現実に出来るんでしょうかねえ。
でも、小説だけは、その中だけはどんな人類もすべての夢を現実に出来るんですよね。

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ララピポ

最新爆笑小説、ということでしたが、私には笑えませんでしたー。

幻冬舎 奥田英朗・著

いや~ん、お下劣。
ってことでした。
もうちょっと、違うものを想像していたんですけどねえ。
「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」ときて、「サウスバウンド」ですっかりファンになっていたので、そりゃあもう期待していたのですが。たぶん、みんな笑ったんだろうなあ~。

でも、作中にあるように日本の将来がはなはだ心配になる内容です……。
私には鬱小説だ~(嘆)。
こんなにも淫乱な世界が、ドミノのように倒れていく連作。
物語は六篇、それぞれに主人公がいて、その登場人物の脇役が、次の短編の主人公という物語で、最終的には一周してしまいます。
世間って、狭いなあ、な世界観。
いろいろな人間の人生を垣間見ることが出来るんですが、総じて出てくるのは最低な人間ばかり……。
なんで、こんなに鬱な人間ばかり出すんだろう~。
伊良部医師のやつとはノリが似ているんだろうけど……。
別の本に期待してみようっと。

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百器徒然袋 雨

「そうだ! 僕だ。お待ちかねの榎木津礼二郎だ!」待ってました!!

講談社 京極夏彦・著

京極夏彦の小説は、京極シリーズの他には、「ルー・ガルー」くらいしか読んでないんですよね。
他にもたくさん作品があるんだけど、まだ読んでいません。
京極シリーズは、どれも面白いのですが、私が特に好きなのは「魍魎の匣」と「塗り仏の宴」です。
キャラクターで好きなのは、榎木津と木場なんですが、「魍魎」では木場が活躍するんですよね。でも、案外榎木津はその場その場しか出てこなくって、ちょっと残念だったのですが、今回は榎木津探偵が主人公の短編集?
ぶっちゃけ、普通に小説三本入ってるくらいのボリュームだと思うんですが。あ、そうかスピンオフ作品ってやつか。
物語の視点は、関口先生の一人称ではなく、全く別人の完全な一人称。新キャラにもかかわらずまったく名前が出てこない。榎木津は毎回別の名前を言うし、三編毎回別の偽名がつくしで、本当はどの登場人物も彼の名前を忘れているんじゃないでしょーか?
そういう私も、最初のページに戻って彼の名前を探したのですが……。してやられた(笑)。

榎木津礼二郎は、来歴探査(サイコメトラー?)の能力があるらしい。来歴探査とは、ものや何かの過去の記憶が見える能力ですが、榎木津のは人間の心を覗く能力に他なりませんよね。囲って言うか、やぱり相手の精神が読めるんじゃないかと思うんですが……。
まあ、どっちでもいいんですけど、彼だけやはり浮いていますよね。そういう能力があると、平静ではいられないんだろうか。
物語は三編。
薔薇十字探偵の憂鬱
薔薇十字探偵の鬱憤
薔薇十字探偵の憤慨
とくには殺人事件というわけではなく、結果を見ればなかなかどうして探偵には似合いの事件の様に思えましたが、本書の誰もがそんなことは思っていない様子。もっとも、誰もが避けて通る榎木津のところに集まっていくのだから。
最後の最後まで出てこない京極堂が、今回は腰が軽く、口調もどこか軽妙に思える。調子も良い感じだしね。
シリーズの重々しい殺人事件ではないからなのか。
まあ、ただ事件の内容にはやはり痛いものも含まれてはいるのですが。
榎木津は性格が破綻していて、周囲の人間に辟易されていますが、カリスマがあるのでしょうか。次々と人が集まってきて、そして心酔する者もいる。
確かに見ている分には面白いし興味もあるけれど、やはり直接関わり合うには、かなり厳しい者がありますよね~。
しかし、ああチームワークはチームじゃないけれど、格好いいよな。
来年は、多々良先生の登場ですね。楽しみです。

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シン・シティ

これって、……いわゆるオムニバスなのですか? シェアード?
いわゆる男の美学ってやつなんでしょーか?
やっぱし、タランティーノが一枚噛んでるのね、みたいな。血がどばどばだし。
モノクロだったので、観ていてちょっと疲れたかな。

舞台は、シン・シティ。
ストーリーは三本立て。それぞれがもっと絡み合ってくれれば面白かったと思うんですけど、それぞれのキャラがちらりと出てくるだけなんですよね~。
ブルース・ウィリスは最初だけかと危ぶんでいたけれど、占めてくれましたね。
あとは、ミッキー・ロークとクライヴ・オーウェン。
ミッキー・ロークは、顔を特殊メイクしてるみたいにぼこぼこになってましたが、かなりごっつい男になってました。
乱暴で不器用ぶっきらぼう、あれだけ撃たれても死なないタフな男。
目が覚めたら、隣で寝ていた女が死んでいた。束の間の安らぎを与えてくれた女の仇を討つために、復讐に向かった先には、猟奇殺人鬼が! その猟奇殺人鬼は、LOTRのイライジャ・ウッドでしたが、無表情の有様がすっごく不気味でした。

そして、クライヴ・オーウェン。誰かと思ったら、そうか「キング・アーサー」の人だったのか。
ちょっとキレてる感じの渋い男。なにやら整形しているとか。過去の話は推測しかできませんが、赤いスニーカーだけがやたらと目立ってたな。
警察と女たちの抗争を描く、みたいな。警察と娼婦たちの間には不可侵の協定があったわけだけれど、一人の警官が死んだせいで、一触即発。勝のはどっちだ。
殺人兵器ミホ(デヴォン・青木)が格好良かったな。

冒頭でいきなり死んだかと思われたブルース・ウィリスが復活。
少女暴行事件で犯人の道楽息子をいためつけ、少女を助けたものの、相棒に裏切られて留置所送りに。
八年後に助けた少女が気になって出所するも、それは罠だった。
助けた少女はすっかり大人になり、場末のバーで腰を振って踊ってた~。
ジェシカ・アルバは近頃売れっ子ですね。
ダーク・エンジェルでは確か黒髪だったと思ったけれど。
ファンタスティック・フォーでは、大人な女性でしたが、今回は19歳の大人とも少女ともつかぬ年頃って感じでした。

追求された男の美学も、ちょっとくどいかも。まあ、どれも三人の渋い男なんで、そりゃくどくもなるか(苦笑)。
原作があるそうなので、なんですが、タイプの違う男が一人いればまた違った面白さがあったのではと思います。

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クドリャフカの順番「十文字」事件

ついに学園祭。そういえば、今は学園祭の季節ですよね。なんか、高校の学園祭に行きたくなった。
あ、もう過ぎてるのか……。

角川書店 米澤穂信・著

面白かった。凄く面白かった。しかし、その面白さは前の二冊があるからでしょうね~。

青春はやさしいだけじゃない。そして痛いだけでもない。
が、キャッチフレーズ。

前回の二冊までで、どうにかこうにか学園祭にこぎつけた古典部の面々。
本当、普段はいったい何の活動をするのでしょうか? 学園祭が終わってしまったら、彼らは何をするんでしょうか? 部員の半数(四人)が掛け持ちってな時点で、かなり暇なんだけどー(笑)。
どうにかこうにか、文集「氷菓」を完成させたものの、あがってきた文集はなんと二百冊。三十冊の予定だったのに、これはいったいどうしたことか!?
もちろん、売らなければならないわけで……。
波瀾万丈の学園祭を予感させつつ、物語は古典部の面々の一人称によってテンポ良く進んでいきます。

スペードは我らが主人公、省エネの窓際探偵(?)奉太郎。暇をもてあましつつも、ただ一人で店番を務めて文集を売っていきます。今回の役目はさながらマープルおばさまって感じですか? 売り場を動けない(動かない?)ため、部員たちが集めてくる情報を元に推理します。さらに、文集を売りながらもわらしべプロトコルを起動させて、学園祭の最中仲間たちの窮地を救うのです。
ハートはもちろんはてなのブーメラン、最強プリンセス千反田える嬢。文集の販売拡販のために学園中を放浪します。その最中、先輩から交渉術を学び、挫折しつつも文集販売の拡販を行っていきますが、それは彼女にとっては正当な手段ではなく……。なにはともあれ、彼女の見せ場は料理大会。その手際の良さに誰もが仰天しますが、もちろん普段通りに落としてくれます。
クラブは、答えの出せないデータベース、巾着の里志。古典部の広報係。学園の各イベントに出場し、古典部を宣伝し、なおかつ自らも楽しもうというそつのない男。クイズ大会や料理大会に出場し、学園祭の最中に起こった事件に首を突っ込み、データベースで答えを出そうとするのですが……。複雑な男心を唄います。
ダイヤは、里志の押しかけ女房? 漫画研究会のジャンヌ・ダルク、摩耶花。文集を誤って二百部刷ってしまい、さらに研究会の先輩と対決することになり折り合いも悪く、貧乏くじの文化祭になってしまった彼女。けれど、彼女の思い出の同人誌(?)「夕べには骸に」が今回の事件の鍵を握る!

それぞれ四人が四人とも学園祭をそれぞれ楽しむ最中、「十文字」事件が起こる。各部活で他愛もないものが盗まれていくのだが、そこには「十文字」からのグリーティングカードが残されていた。
古典部の面々は、それぞれの問題を抱えつつも文集完売のため、知名度をあげるために十文字に挑む!

な、内容。
今考えると、やはり前の「氷菓」「愚者のエンドロール」を読んでおくのが大変よろしいようです。
「氷菓」は導入部としては申し分ないですし、「愚者~」では奉太郎の覚醒や挫折があります。
その前置きをふまえていると、四人の一人称で展開される本書もすんなり入れますよね。なにせ、それぞれ四人の背景とか語り口調がわかっているわけですから。
一応、トランプのスートがどのキャラの語りかわかる目印になっていますが、語り口調からそうと判断することも容易いです。そこには自身の名前は出てこないのですし。
前作を鑑みれば、はずれるはずもなし。ゆっくり読むつもりだったのですが、料理大会の下りでツボにはまって笑わされたら、もう止まらない。
里志、千反田、摩耶花の三人で出場するのですが、その展開に引き込まれます。ただの店番で省エネの奉太郎がここにきて、この三人のピンチを救うことになろうとは……!!

前作では、やはり奉太郎に焦点があたっていたわけですが、今回は里志や摩耶花の内面も見ることが出来るのが嬉しい。
もっとも四人とも忙しくて(一人例外有りですが)、四人揃って学園祭を楽しめないって言うのは、ちょっと寂しい。四人ともそれぞれ楽しんでいたんだけどね。
しかし料理大会もそうだけど、四人のチームワークが光っていて、これぞ学園祭! って感動もありました。
最後はやはり、ホータローが持っていきましたしね。
また、将来を決める時期でもある高校生。そこには才能、夢、挫折がいりまじっており、その葛藤がキャッチフレーズにあるように、ほろ苦い。

今後も注目の作家さんであること間違いなしです。

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ゼンダ城の虜

こういうロマン小説って格好良いけど、ちょっと硬いよね。

創元推理文庫 アンソニー・ホープ・著

エマ・5にその話が載っていたので、さっそく読書。
二部構成になっていて、ちょっとづつ読んでいたので結構時間がかかってしまった。
中の字も小さくて読みづらいし。
大デュマの再来、ってことはこっちのほうがあとなのね。なるほど。
時は十九世紀、ところはヨーロッパの一王国、空想世界のルリタニア。王位をめぐる陰謀の真っ只中に飛び込んだ英国の快男児ルドルフ・ラッセンディル。
たまたま国王と瓜二つだったために彼を待ち受けている波乱万丈の大冒険。
エマにも書かれていたけれど、良く出来たお話で、人気があったのにも頷ける。

第一部の「ゼンダ城の虜」で、ルドルフの一人称で物語りは展開していきます。
割と語り口調で、回想的なものなので、本人がいないところでも物語は展開していきますね。
ルドルフは誘拐された王様の替え玉になり、王様と結婚して女王様にはるはずのフラビア姫と恋に落ちてしまう。
けれども、その恋を諦めて王様を救って去っていく。
第一部は、正直さほどルドルフも自分を格好よく語らないんですが(苦笑)、敵キャラも魅力的で面白いです。特にルパート・ヘンツオ伯爵は、ルドルフの好敵手って感じで、二人して大立ち回りを見せてくれます。

第二部は「ヘンツオ伯爵」で、今度は王様の家来であるフリッツの一人称で物語は展開してきます。もっともフリッツはあんまり活躍しないんだけど(笑)。
他人から見たルドルフは、かなり格好よく描かれています。
周囲がみんな彼こそが王に相応しいと信じて疑わないくらいに。
前回の陰謀が失敗して国外に逃げたはずのルパートでしたが、ルドルフと女王となったフラビアの密かな手紙のやり取りに、一発逆転を狙って暗躍を始めます。
ルドルフは女王の危機に立ち上がり、今度こそルパートと決着をつけるために立ち上がるのでした。
ルドルフとフラビアの愛は燃え上がりっぱなしで、フラビアはどうにもこうにも止まらずに、事態を悪化させてしまいます。
そしてさらに、大事件が……!!
物語は散り散りになり、あちらこちらで大立ち回りが起こり、情報伝達が遅いがために取り返しがつかなくなったり、逆転したりと展開していきます。興奮させられます。

ルパートと決着をつけたルドルフは、周囲から、そして女王から王様になってくれと懇願されるのですが、ルドルフは首を立てに振りません。
そして、さらに悲しい事態が起こり、物語は幕を閉じます。
大団円にはならないな。
それが、男の運命なのか。

シンプルな、もう古典ですよね、世界大ロマン全集の一つだったそうですから。
女王の秘密の手紙を取り返すなんて、まったく三銃士ですが。

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隠居の日向ぼっこ

神保町に行きました。来週は青空古本市週間だとか。ああ、行きたかったかも。来年は覚えておかなきゃ。

新潮社 杉浦日向子・著

今朝の「王様のブランチ」でやっていて、早速欲しくなった。
江戸時代の百科事典とでもいうのでしょうか? 西洋では排泄物の処理に困っていたのに、日本では水洗便所があり風呂の習慣があり、はるかに清潔だったわけですね。
「だいこん」を読んでから、いろいろと江戸時代に興味を抱いたわけでして。
朝日新聞で連載していたようですね。短いけれど著者の粋な解説や意見がかっこいい。知っていることもあるけれど、知らないことも多い。
なんで、ちょんまげなのか知らなかった。ようするに、頭をそって月代にするのって、かぶとを被ったとき蒸れるからだそうで。知らなかった……。

七回忌なので、実家に帰りました。
祖父母が一月違いで亡くなって、もう七年が経った。
……髪が薄くなるわけだ。

先日、テレビのニュースで神保町の本屋が放映していて、早速行きたくなった。
というわけで、久方ぶりに行って見たのですが……。
深呼吸して本の匂いをかごうとする愚か者。本屋に入ってもう一度。古本屋ならともかく、もちろん、紙の匂いなどしなかった。

本のセールというか、割引して売ってる店ってことでしたが、……綺麗な書店でしたが、品揃えのほうは全然足りないでしょうね。古本屋だってもう少しましでしょうに。
しかし、それにしてもやっぱり、神保町はいい!!
一時期、稀購本やらビブリオマニアに興味があったのですが、最近はそうでもなく古本をあさったりはしないのですが、やっぱり本屋が並んでいるのは壮観ですよね~。
今日は「隠居の日向ぼっこ」を探しにきたのですが、萩尾望都「バルバラ異界4」もゲットで到着早々上々。
さらに、ネット小説からデビューしたという「レイン 雨の日に生まれた戦士」とやらも入手。
しかし、それだけでは終わらない……。
恩田陸の「ネクロポリス上・下」、奥田英朗に歌野晶午の新刊、どこぞの「シャングリ・ラ」森博嗣「ツールボックス」。「停電の夜」にってA4版ってこんな綺麗な表紙なんだ~、クラフトの「金色の髪の少女」も欲しい! 桜庭一樹ってどんな作品書くんだろう? こうなってくるといままで見送ってきたナラタージュも欲しいし、あさのあつこも読んだことないから「福音の少年」欲しいし、レイ・ブラッドベリの三部作ってなんなの!? 村上春樹のハードボイルドも欲しい! 欲しいホシイほしい!!
でも、こんなに大量の本を抱えて、山梨には帰れない!! 明日は七回忌なのに、その足で帰るのに、墓に大量の本を抱えてなんていけない! マジで泣きそう!
でも、さすが大手の書店! 一万五千円以上は配送までしてくれるなんて!!
ただし、場所によりけり、要相談。
冷静になれ、自分。Amazonがあるじゃないか……! でも、なんか金曜日に米澤穂信が四冊届いたような……。
それに今この場で買わなければ、きっと忘れてしまう……。今振り返っても、忘れている本が絶対あるよー。

はやく、諦観の域に辿り着きたい。
結局他に買ったのは、「ブルースカイ」「作家読書道」「ソウルドロップ奇音録・メモリアノイズの流転現象」の計五冊。
あ、ソウルドロップの本の帯に「魔大陸の鷹 完全版」剣の快男児、人外魔境をいくとあるではないか。快男児、なんてそそる響き……。

「バルバラ異界・4」 萩尾望都
タイムパラドックスを扱った、SFロマンもついに完結してしまった。でも、壮大なテーマなのに綺麗にまとまっていて、さすが~。
大事なものが失われてしまったけれど、物語は修正されて、どうにか未来へとつながれる。
最後はもの悲しさが残っているし、ちょっと先が怖い伏線まで張られてしまい、未来に
希望は残されているのでしょうか……?

「キノの旅 IX」
もう、九巻目なのか……。八巻のラストでハンサムなシズ様(男前なのはキノ)がyばいことになってたけど、無事だったらしい。
しかし、九巻目にもなると物事のパターンがいい加減読めてきますね(苦笑)。
さすがにね~。

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遠い音

新潮クレスト・ブックスをめぐっての座談会を読んで。

遠い音
新潮社 フランシス・イタニ・著

新潮クレスト・ブックスの小冊子を見て、そこに作家さんたちの座談会が乗っていまして、それを見て購入した本です。何を買ってついてきた冊子だったけ?
角田光代、いしいしんじ、島本理生の三名でしたかね。
しかし、いしいしんじの「ポーの話」しか読んでないんですけど。
(それにしても、角田光代がテレビに出て、感想文を客観的に書くと小説になりますって、本当なのかしら??)
「対岸の彼女」はあまり興味がなかったり、でも「ナラタージュ」は興味有り。
今回の「遠い音」は、いしいしんじが推薦していましたので、なんとなく買いました。
それから角田光代推薦の「停電の夜に」を合わせて購入。

第一次世界大戦が迫り来るなか、少女は五歳で聴覚を失った。
静寂の大地カナダで戦争の生気を生き抜いた女性の半生。音のない世界の豊かさを、実話を元に描いた感動の大河長編。

ってことだったので、聴覚を失った女性の生涯を描いたのかと思ったのですが、かなり分厚い本で、ちょっと怯みました。
けれど、重点は彼女の夫の戦争中の体験にかかっているかな。紹介文とかに戦争の話があることは書かれているのに、私は全然そういう風に思わずに読んでしまった……。
いしいしんじも、
「主人公の静寂の世界と不気味な音に溢れた戦場と、その二層が身体の置くのほうに積み重なっていく。圧倒的な読書体験でした」
と言っているのだから。
でも、私は夫の戦場の悲惨な体験よりも、その静寂の世界で生きる主人公の姿をもっと追っていきたかったな。
なんとなく映画の「ロング・エンゲージメント」を思い出しました。
同じ時代だったと思うんですけど、映像の雰囲気が似ていると思いました。エンゲージメントの方も、戦争で行方不明になった恋人を探すのに、戦場の回想がたびたび挿話されてきて、それが今回のこの本の内容とも交差して面白かったかも。

でも、私はやっぱりヒロインのグローニアにもっと焦点を合わせて欲しかった。
いや、もうこれ以上ないってくらいに彼女の話なんだけど、戦争に行った彼の話は正直どうでも良かった。
耳の聞こえない彼女は、それが当たり前なわけで、その世界で、耳の聞こえる人々の唇を読むことで生活している。
もごもご口を動かしたり、口元が見えなかったり、複数の人たちが同時に話をしたりすると、彼女たちは話を理解することが出来なくなってしまう。
彼女は喋っている人に意識を集中させる。その度合いは、普通の人とは違う。彼女のそうした話を聞くという姿勢は、耳が聞こえる人と違って、遙かに重要なものであり、普通の人たちが見ても、自分の話を聞いてくれていると感じ、そのことで安堵することになるのだろう。
電話などは使えないのだろうけれど、今はメールがあるとはいえ、話は必要だと思う。
私などが甘えているのは、友人からの電話でも愚痴が続くと上の空になってしまうこと。
それでも彼女たちは、話を拾い、かすかな空気の振動や相手の示す形から、言葉を完成させようとにしようと、彼の話に意識を集中させるのだろう。脇目もふらずに。

この物語は、いしいしんじが言うとおり、戦争の悲惨な音が溢れている。
いのちからがら戦争から戻ってこられたとしても、心が病んでいたりする。
そうした戦争から傷ついて返ってきた知人を前にしながらも、主人公は戦争に行った夫の帰りを切実に待っている。

そんな彼女が言葉を勉強したりする姿や、会話する描写は素晴らしい。
雰囲気があるよね。

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R.O.D

読むか死ぬか? 意味わかんなーい。だって、どっちを選ぶってどう考えても、読むでしょ?

集英社 倉田英之・著

漫画、小説、アニメと展開しましたね~。
アニメがあると聞いて、確か小説を買って読んではまったんですよね。
主人公の、読子・リードマン。文庫本片手に本の詰まったトランクを引きずっている、活字中毒のずぼらな女。歩き読みしてても障害物に当たらない特技、一日にいったい何冊の本を読めるのか、恐るべき速読術の持ち主。
給料はすべて本につぎ込み、おまけに神保町に本を保管するビルを一戸持っている!!
しかしてその能力は、紙使い。
紙に力を込めて、鉄壁の堅さにしたり、刃物の様に鋭くできる。
でもエージェントとしての身体能力は大したこと無いんですよね~。
そのあらゆるすべて、本を優先させるその心意気と、本に対する愛情云々、それまで大したこと無かった、私の本好きも影響を受けて、こんなになってしまいました……。
今も相変わらず新書は読まないし、最近はライトノベルを読まなくなったけど。
小説の方では、英国大英図書館と中国読仙社が戦っているんですが、その続編も随分と語られなくなりましたね……。十巻は外伝だったし、決着はいつつくんだろう?

漫画版は、またシビアでその能力は、フェティッシュなものが関係してましたね。
本好きの愛書家だからこそ、紙を操る能力がある。他の能力者も然り、という設定でした。
そして、読子は本のために恋人を死なせてしまった過去があるというのは、小説でも漫画でもアニメでも同じ設定なんですよね……。

アニメはまた設定が違っていて、読子のCVは三浦理恵子で、へえ~、って思ったんですよね。舌足らずだけど、結構上手かったと思う。
アニメがTVで放送になるときには、レンタルビデオでもずっと借りられなかったなんですが。
テレビシリーズでも、役をこなしてましたしね。

ここにくると、小説、アニメ、漫画と全然展開が変わってくるんで、ちょっと卑怯かなと思ったり。

テレビシリーズでは、OVAではでてこない菫川ねねねが、大人になって登場。
小説では出ずっぱりな彼女も、OVAでは出てこないのに、テレビではかなり重要なキャラで、過去に読子との関係をにおわせているけど、その辺は小説読んでないとぱっとしないと思うな~。
テレビシリーズでは、香港の紙使いの三姉妹が出てくるんですけど、大英図書館は悪者だし、でも面白かった。
特に三姉妹の紙を使ったアクションは格好良かったな~。
テレビシリーズは、最後の六話分を放映しなかったのがすっごく卑怯だと起こった覚えが(笑)。
BSiでは全部放送したみたいですけど、なんだかな~。
というわけで、DVDのレンタルで観たのですが、なんだかなー、な内容のエンドでしたが、大団円だったし、やっぱり内容的には面白かったし。

小説版の違う展開に期待しているんですけど、どうなっちゃったんだろうか?
ビブリオマニアのくせに、小説は完結させないつもりか!?

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<古典部>シリーズ

すなわち、「氷菓」「愚者のエンドロール」。

角川書店 米澤穂信・著

この三連休、いろいろ予定はあったけど、たびたび変転して転がりまくって大変だった。
レイトショーをみにいこうとしたけれど、雨が降ってきた。
がーん。
やっぱり、昼間に出掛けておけば良かったかな~。
と思う始末。
それに、Amazonのページで、IEの戻るをすると、期限切れとかいって、真っ白になるのも超ウザい。
なんか意味あんのか、あれ!?

「氷菓」は当初、角川スニーカー文庫で出ていた本ですが、近頃ではライトノベルのジャンルではなく出版されているようですね。
毎度毎度言っていますが。
昨今のライトノベルというのは、昔はヤングアダルトと呼ばれており、あまり一般的じゃなかったのですが、内容は全然変わってきていると思うんですよね。
ぶっちゃけて言えば、「今会いにいきます」とか「黄泉返り」とか、そのへんってファンタジーじゃないですか。この間の「女王様と私」も夢オチですが、ファンタジーっぽいですよね。
そうした内容の文芸書のなかには、いまいちなものもあり、なんでライトノベルのジャンルじゃないのか疑問なものも多々ある。そういう垣根が曖昧になってきて、本を読んでその内容に困惑してしまうことも多々あります。
そういう心の準備が出来ていればいいんですけど、がっかりすることもあるんですよね。

さらに続編に「クドリャフカの順番」というのがあるらしい。迂闊だった!! っていうか、文庫じゃないんだ……。
「氷菓」「愚者のエンドロール」は、高校生の<古典部>の面々が、学園七不思議(ウソ)を解決していく物語。
学校の事件といってもたいしたものはなく、その辺は「いちごタルト事件」と似てたかな。背景が似通っているのがちょっと気になったと言えば、気になりますが。

例のハードカバーの三作目も、どうやら文化祭の時期のお話みたいですね。
三作品通して高校生活最初の文化祭のお話です。
文化祭の、企画(出し物決定)、準備(文集作成)、当日(予測だけど)、って感じなんですかね。

「氷菓」は時代背景をふまえて、切ない結末が待っています。
「愚者のエンドロール」は、突拍子もない事件(?)なのですが、それ相応の結末に仰天します。
男女四人のグループなのですが、振り返ると不思議。
小中学くらいだったら、私も男女のグループでいろいろやった思い出があるんですが、高校生からは男女でつるむことってあんまなかったな。
個人の経験が違うんだろうけど(苦笑)。
そういう意味じゃあ、やっぱり青春なんだろうな。
主人公のホータローは、灰色な「省エネ」主義者で「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」がモットー。
それが若さなんだよね……。余った時間をお気に入りの喫茶店でコーヒー呑んで過ごすなんて、若さとしか思えませんねえ。羨ましい。いや、その時間を有効に使わないことは、省エネなんだろうか? こいつは、絶対年を取ってから後悔するに違いない! なんて。

先ほども書きましたが、昨今の文芸書にもファンタジーな要素が含まれる様になってきていますが、この方の様にくどく濃くない、あっさりしたミステリというのは、とても心地よいものがあります。もちろん、きちんとひねってありますし、密室殺人のトリックなどもわかりやすくて良かったです。
その内容も面白くて、こっちまで思わず納得させられます。
くどくてややこしく、叙述トリックが多い昨今、こういうのこそ新しいと感じさせられます。
続いて、クドリャフカに「犬はどこか」「さよなら妖精」もAmazonにてお買い上げ~。

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聖者の異端書

ジャケ買い。というほど、派手な表紙じゃないのにな~。誰かと思ったら、岩崎美奈子だった~!
でも、中身はキャラクターの立ち絵しかない。残念。キャラデザの人だからなのか?

中央公論新社 内田響子・著

C☆NOVELSですね。デルフィニアで有名な。
あと、「PARTONER4」が出てました。そういえば、この本のイラストも人物画だけだったな……。なんで?
こちらは今回、大停電に見舞われた都市で起きた殺人事件。
ドロシーとセシルの二人の悶々とした関係に比重がかかってきているので、その内容は事件よりも前に重心がかかってきている感じですね。
二人にはくっついて欲しくないのですが、このままだと過ちを犯してしまい、このまま一緒にいられない。さようなら、いいお友達でいましょうね、で終わりそうな予感が……。
いけないと思うと逆に燃えるのが、ロマンスな内容の醍醐味なんですよね~。

けれど。
「懸賞で一攫千金」を目指して書かれた本書。
せっかくあたりくじに当たったので、もう書かないのかと思ったら、まだまだ続けていくらしい~。
一攫千金って、一回で終わるものかと思ってた。
名も無きお姫様が、結婚式の最中に消えた婚約者の王子さまを捜す旅に出るお話。
もっとコメディっちくで、どたばたする話かと思ったら、結構堅実な内容でした。
ちょっと残念。逆に読みやすくて、すらすらいけたけど。
おてんばなお姫様と、役に立たない見習い坊主、という構図は、近頃の黄金パターンカップル(超苦手)かと思われ冷や汗ものでしたが、姫は気が強くて感情欠如でいい性格しています。
消えてしまった婚約者に納得できなくて、周囲の反対を押し切って王子さまを捜しに行くのでした。

なにやら、その辺の王子さまを捜す動機というのが、恋愛に絡んでいないようなので、いまいちな感でしたね。
自分の身に降りかかった「婚約者が消えた」という不幸を、どうにかしようと旅に出ちゃうんですよ、結局。
時に王子さまのことを思い出すことはあっても、対して心配はしていない様な感じなんですよねえ。
まあ、もとは政略結婚だから、自分のプライドのために探しに行く、みたいな感じなのかも知れないなあ。
それとも、恋愛と結婚は結びつかないというやつなのか?
お姫様は他の男たちとも出会って、求婚めいたものもうけるのですが、結局王子さまを捜し続けるのですが、それも結局は、恋愛対象という意味ではなく、この先王子さまと一緒なら、自分はもっと変わっていける、という結論に至っちゃう。
結局、相手の存在よりも、自分が優先しちゃってるんですよね。
その辺が、この淡々としたお姫様のいいところなんですが……。

自らを感情欠如していると分析するお姫様は、幼なじみに見習い坊主と、無愛想な皮肉やの隣国の王子と旅をして、様々な不思議に巡り会い、たびたび捕らわれたりしながら、お姫様の一人称で物語は進みます。
結局は、行方不明の王子さま捜しの旅のはずなのに、お姫様の自分探しの旅で終わっちゃう。最後は禅問答みたいなことがはじまってしまって~ん。
お姫様がかなり良いキャラしているし、脇を固めるキャラたちもいい感じ。世界観も、宗教観なんかが濃くて、魔法使いはいるのに神様はいない世界ってのが興味深いのですが、ちょっと内容が薄くなっちゃってる。
一人称だから、その辺の説明ははぶいてあるので、この量でまとめられたんだろうけれど。
結局、お姫様は王子さまを愛していたのか、疑問。
矛盾しているかも知れないけど、くどくなくて好きなのも本当ですが~。

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螺旋階段のアリス

「虹の家のアリス」は重版しないみたいですね……残念です。

文春文庫 加納朋子・著

この方の話はこれがはじめてなのです。
連作の短編集だし、一作だけでは評価云々はどうしようもないのですが、私はそれほど「不思議の国のアリス」に詳しいわけではなかったり。
けれど、「不思議の国のアリス」も「鏡の国のアリス」もピンクの表紙の可愛い文庫を持っているのですが、読んでません。
なんか、最近読まないのに持っている本が多いかも。
勾玉三部作も、ハードカバーで買いそろえたのに、新書判が出たし……。思わず舌打ちしたりして……。

殺人もない、暇な探偵事務所の脱サラ新米探偵と、猫同伴の美少女(?)探偵助手の小さな物語。
ちょちょっと読むのに最適。
ただちょっと、甘すぎる(苦笑)。
脱サラ探偵は、ハードボイルドな雰囲気を求めているのだけれど、アリス少女がお嬢様なので事務所の雰囲気はほんわかふんわりです。お嬢様な雰囲気ばりばりなのですが、何故か家事全般が得意というスーパーお嬢様です。現実味がないような雰囲気なのに、事件は身近な現実味溢れるものばかりなので、ちょっと戸惑うこともありますね。
なにせ、脱サラ探偵のご家族は理解があるご様子なので、逆に脱サラ探偵が可哀想になっちゃうときもありまして……。
なにやら「虹の家」の方も面白いらしいのですが、HONKAKUmisteryはなにか、古本屋にも置いてないんですよねえ……。

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ファンタージェン 秘密の図書館

「はてしない物語」。私にとっては、もう聖書みたいなものですね。

ソフトバンククリエイティブ ラルフ・イーザウ・著

はてしない物語を最初に知ったのは、映画のネバーエンディングストーリーでした。
中学生だったのかな? 原作が存在すると知って、どうしても欲しくなったので、三千円する本を図書館で借りるのではなく、購入したのでした。
もう、貪る様にして読んだ本でした。
バスチアンに自分を重ねて、自分のために書かれた本だと錯覚したものです。

映画も三本ありますよね。2本目まではかなりいい感じでしたが、三本目はあまりに雰囲気が変わりすぎでしたね。それから、ドラマにもなったみたいで。そっちはかなり異色な感じでした。もう、別物?

ラルフ・イーザウは、「ネシャン・サーガ」「盗まれた記憶の博物館」「パーラ」で好きな作家さんでしたので、心配はしていなかったのですが、今回のはちょおっと~。
ファンタージェンのオマージュってことで、多くの作家も参加している企画という情報があったので、てっきり短編集かと思っていたのですが、コレアンダー氏の若い頃のお話なんですねえ。
私的には、バスチアンが生み出した物語たちの、「それはまた別の物語」が語られるのではないかと期待していたのです。ラバとペガサスの子とか、バスチアンに手柄をとられてしまった騎士の物語、生まれ変わった種族の物語を。

実際、内容はファンタージェンのドラマと通じるところがあり、ドラマのほうをレンタルビデオで見た私はちょっとがっかりしていたので、どうなのかと……。
やっぱし、ミヒャエル・エンデは別格なんだろうな~、と遠い目をしてしまいます。
孤独な少年を描き、その少年が旅立ちそして戻ってくる物語。アトレーユとの冒険ではのめり込みましたし、バスチアンがファンタージェンでの旅を始めたときは心躍らせました。
ですが、バスチアンは楽しいはずのその世界で、小太りの少年から美しく強い少年に生まれ変わり、苦難に立ち向かっていきます。
けれど、そうして与えられた力に溺れたとき、再び孤独に戻ってしまいます。
しかし、彼がその国で得た物はそれ以上に大きかった。
バスチアンは、結局小太りの少年の姿で現実の世界に戻ってきて、中身だってそう大きく変わったわけではないけれど、少しだけ成長して戻ってきた。

ファンタージェンは、現実との接点を持たない、不可侵の領域なんですよね。
バスチアンは、現実の自分としては、あの世界には入れませんでした。ファンタージェンの人間に一度生まれ変わらなければならなかった。
けれど、イーザウのファンタージェンでは、現実とファンタージェンの間にかなり頻繁な交流がある。もちろん、ファンタージェンと現実の世界は互いに行き来があるからこそ、互いの世界が豊かになるわけですが。
私にとっては、侵してはならない最後の楽園なんです。

テレビ版ファンタージェンに、フライガールなる飛行機乗りの少女が出てきて、こっちにはフッフールが出てこないんですよね。もうあれは完全に別物でした……。もちろんがっかりしたけど。
ゲド戦記がどんな風になってんのか、期待しているのですが、どうなんでしょうかねえ。
本書「秘密の図書館」にも、機械の幸いの龍に乗ってくる女性が出てくるんですが……。
なんとなく、雰囲気が違うんですよねえ。
きっと、誰の胸の中でもファンタージェンは違う世界なんだろうなあ。
まったく別物として、楽しませて頂きました。
他にもオマージュしている作家さんがいるようなので、それも楽しみです。
あと、洋書で「エラゴン」の続編っぽいのが出ていましたね~。来年あたり、邦訳が出るのなか。
それに、毎年秋頃に出ていた「パーティミアス」シリーズの最終巻は今年は出ないのかな?

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チャーリーとチョコレート工場

今度は、映画。

な、わけですが。

……やっぱり、チャーリーが拾ったお金でチョコレートを買ったことは不問なのね。
そこが一番気になった。
チャーリーは貧乏でチョコレートは年に一回、お誕生日にしか買えないのに、家族はどうやってチョコレートを買ったのかは誰も訊ねなかった。それは貧しさ故なのか?(涙)
なんでやねーん。
拾ったお金で買ったチョコにゴールドチケットが入っていて、それを売って家族のためにお金を稼ぐと言い出す、自己犠牲なチャーリー。
でも、それはやっぱり拾ったお金で買ったチョコレートだし。
そればっかりが、なにか気になる~。
だって、お金以外はそういう綺麗なこと言ってるし。まあ、別に盗んだ訳じゃないし。
なんというか、拾ったものを警察に届けるという道徳的なことがないのかしら?

あとはおおむね原作通りに、子供たちが一人、また一人と淘汰されていきますね。
追加されているのは、ウォンカさんの子供時代の事情って言うか、お父さんと上手くいっていなかったって感じ。
もとはお爺ちゃんって感じですっとぼけた感じだったけど、真面目な印象があったけど、映画ではまさしく変人。
寒いギャグに、誰も笑わない。
劇中、みなさん表情だけの演技が大変お上手でした。
でも、やっぱりチャーリーは目立たない。要所要所で人の良さをアピールしてるけど、それもちょっと押しが弱いよ~。
原作では、ウォンカさんが家族全員一緒にっていうけれど、映画ではウォンカさんがそれを拒否して、だったら行かないと駄々をこねるチャーリー。
そんなチャーリーの姿を見て、父と仲直りするウォンカさん。
そして、チャーリーは原作通りチョコレート工場を引き継ぐことに……。
みたいな。
ちょおっと、退屈だったかな。笑いの要素もあったんでしょうけど、コメディな内容じゃないんだし~。
かといって、アクションでもないんだし~。血肉も湧き踊らなかった。

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