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クドリャフカの順番「十文字」事件

ついに学園祭。そういえば、今は学園祭の季節ですよね。なんか、高校の学園祭に行きたくなった。
あ、もう過ぎてるのか……。

角川書店 米澤穂信・著

面白かった。凄く面白かった。しかし、その面白さは前の二冊があるからでしょうね~。

青春はやさしいだけじゃない。そして痛いだけでもない。
が、キャッチフレーズ。

前回の二冊までで、どうにかこうにか学園祭にこぎつけた古典部の面々。
本当、普段はいったい何の活動をするのでしょうか? 学園祭が終わってしまったら、彼らは何をするんでしょうか? 部員の半数(四人)が掛け持ちってな時点で、かなり暇なんだけどー(笑)。
どうにかこうにか、文集「氷菓」を完成させたものの、あがってきた文集はなんと二百冊。三十冊の予定だったのに、これはいったいどうしたことか!?
もちろん、売らなければならないわけで……。
波瀾万丈の学園祭を予感させつつ、物語は古典部の面々の一人称によってテンポ良く進んでいきます。

スペードは我らが主人公、省エネの窓際探偵(?)奉太郎。暇をもてあましつつも、ただ一人で店番を務めて文集を売っていきます。今回の役目はさながらマープルおばさまって感じですか? 売り場を動けない(動かない?)ため、部員たちが集めてくる情報を元に推理します。さらに、文集を売りながらもわらしべプロトコルを起動させて、学園祭の最中仲間たちの窮地を救うのです。
ハートはもちろんはてなのブーメラン、最強プリンセス千反田える嬢。文集の販売拡販のために学園中を放浪します。その最中、先輩から交渉術を学び、挫折しつつも文集販売の拡販を行っていきますが、それは彼女にとっては正当な手段ではなく……。なにはともあれ、彼女の見せ場は料理大会。その手際の良さに誰もが仰天しますが、もちろん普段通りに落としてくれます。
クラブは、答えの出せないデータベース、巾着の里志。古典部の広報係。学園の各イベントに出場し、古典部を宣伝し、なおかつ自らも楽しもうというそつのない男。クイズ大会や料理大会に出場し、学園祭の最中に起こった事件に首を突っ込み、データベースで答えを出そうとするのですが……。複雑な男心を唄います。
ダイヤは、里志の押しかけ女房? 漫画研究会のジャンヌ・ダルク、摩耶花。文集を誤って二百部刷ってしまい、さらに研究会の先輩と対決することになり折り合いも悪く、貧乏くじの文化祭になってしまった彼女。けれど、彼女の思い出の同人誌(?)「夕べには骸に」が今回の事件の鍵を握る!

それぞれ四人が四人とも学園祭をそれぞれ楽しむ最中、「十文字」事件が起こる。各部活で他愛もないものが盗まれていくのだが、そこには「十文字」からのグリーティングカードが残されていた。
古典部の面々は、それぞれの問題を抱えつつも文集完売のため、知名度をあげるために十文字に挑む!

な、内容。
今考えると、やはり前の「氷菓」「愚者のエンドロール」を読んでおくのが大変よろしいようです。
「氷菓」は導入部としては申し分ないですし、「愚者~」では奉太郎の覚醒や挫折があります。
その前置きをふまえていると、四人の一人称で展開される本書もすんなり入れますよね。なにせ、それぞれ四人の背景とか語り口調がわかっているわけですから。
一応、トランプのスートがどのキャラの語りかわかる目印になっていますが、語り口調からそうと判断することも容易いです。そこには自身の名前は出てこないのですし。
前作を鑑みれば、はずれるはずもなし。ゆっくり読むつもりだったのですが、料理大会の下りでツボにはまって笑わされたら、もう止まらない。
里志、千反田、摩耶花の三人で出場するのですが、その展開に引き込まれます。ただの店番で省エネの奉太郎がここにきて、この三人のピンチを救うことになろうとは……!!

前作では、やはり奉太郎に焦点があたっていたわけですが、今回は里志や摩耶花の内面も見ることが出来るのが嬉しい。
もっとも四人とも忙しくて(一人例外有りですが)、四人揃って学園祭を楽しめないって言うのは、ちょっと寂しい。四人ともそれぞれ楽しんでいたんだけどね。
しかし料理大会もそうだけど、四人のチームワークが光っていて、これぞ学園祭! って感動もありました。
最後はやはり、ホータローが持っていきましたしね。
また、将来を決める時期でもある高校生。そこには才能、夢、挫折がいりまじっており、その葛藤がキャッチフレーズにあるように、ほろ苦い。

今後も注目の作家さんであること間違いなしです。

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