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その日のまえに

文藝春秋 重松清・著

様々なものを読むようになり、様々なものを知り始めると、世界が広がっていくのを感じる。
様々な本を読み、その中に記された本を読みたくなり、著者の別の本を読みたくなる。
そうして僕は大地に根をはるように、次々と新たな本を手にする。
それが養分になって、いつか緑の葉を茂らせ、花となり、実となればいいと思う。

この方の著作はこれがはじめて。こうした著作を書かれことに関しては定評があるよう。
テレビでも話題になっていて、しかし話題になりすぎていて「世界中」のようではないかとほんの少しだけ嫌煙していた。
先月はAmazonで本を二万円も買っていて、他にも現金で買い込んでいたので、戦々恐々として購入を控えようと思っていたのに、こういう本に出会ってしまうから、買いあさりは止められない。
いずれは気が済むんだろうけれど、今はまだ駄目だ。いったいこれだけの本を買わなかったら、今頃いくら貯まっていたんだろうと思うけれど、本を読むのだけは止められそうにない。

本書は連作短編集であり、どれもが死に直面する人々の物語。
病で愛する人を亡くす、あるいは自らがそれに直面することになります。
誰かを亡くすことでしか感動できない小説っていうのも、随分と哀しいものですし、作品としてはあざといものがあるのではないでしょうか。たとえそれが物語の中の出来事であっても、心揺さぶられてしまわずにはいられない題材ですよね。
けれど、こうしたものはいつどこで直面するのかわからず、いろいろと考えさせられます。
やはり「もし自分がそうなったら」、あるいは「肉親がそうなったら」と。
そういう意味では、年を重ねるにつれて身近になる死というものが迫ってくるのを感じる今日このごろ。
先日も、ある方の奥さんの妹さんがガンで亡くなられたというのを聞いて、随分と遠く感じていたのですが、この本を読んだ後だと、どうしてもそれが重なってしまいました。
その方の家族がこの物語のように感じたのか、わかりませんし、そうだとしたら美化しすぎだけれど、こんな風に苦しんだのだろうし、こんな風に折り合いをつけていけるのだろうかとも思いました。

自分はどうなんだろうとも思います。

短編はそれぞれ、小学生の頃の同級生、妻子のあるサラリーマン、母子家庭の母親。そして、夫と子供がある女性が亡くなります。
それぞれの短編が、最後の物語に集約していくのですが、そこまで積み重ねられてきた悲しみに、涙せずにはいられません。

ある日突然誰かがいなくなるかもしれないし、それは自分かも知れない。
子供の頃はなにも感じていなかったものが、社会人になった今では怖い。
親元を離れた今は、ふとそんなこともあるのだと考える様になりました。
なにかを失うのが怖いから一人でいるけれど、一人でいることに不安になることもあります。
それなのに、自分じゃ失うのが怖いから、結局一人でいる。
この本は感動して泣いたけれど、当事者になってもこうして泣けるんだろうか?
とうてい無理だと思った。

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