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ウィザーズ・ブレイン V

ウィザーズ・ブレイン V
賢人の庭 上・下
三枝零一・著 電撃文庫

錬悪魔使いとフィア天使、ディー双剣とセラ光使い、の似たものカップルが登場してちょっとうっぷって感じですね。
なんでやねん。
当初主人公らしかった錬も影が薄いことこの上ない。しかも世界樹の街ではやばいことしちゃったもんねえ。

シティを守るため、人々の生活を支えるために犠牲になる魔法士の子供たち。
脳に埋め込まれたI・ブレインが、世界を支配する物理法則を操る力を与えられる。
犠牲になるのは道具のように扱われる魔法士たち。その彼らを助けるために一人世界と戦う少女、サクラ。
その魔法士の犠牲の上でしか生きていけない人間たち。そんな人間たちを守るために戦う少年、イル。
今回はこの二人の戦い。

とはいえ、感情移入できるのは、イルの方。自分の境遇をそれでも受け入れて、同胞にののしられながらも、人間たちのために戦う彼。
一方サクラは、ほんの一握りの子供たちのために、大勢の人間たちを倒していく。しかして、その子供たちが生きるには結局、誰かの力を借りるしかなく、それは生み出される魔法士ではありえない。そして、子供たちは自分たちの持っている力を理解していないのに、使っている。おそらく今後はそれが悲劇につながるのでしょうね……。
そういう彼女の比べると、やっぱり自分を強くもっているイルのほうに味方しちゃうなあ。第一、サクラは、相手の能力をコピーする卑怯な能力を持っているし~。そういうのは、敵が持っているもんでしょー。錬はさらにいらない子になっちゃうじゃーん。

それぞれ、錬の姉兄、月夜と真昼とフラグがたっている模様。

それなのに、サクラはそれでも魔法士たちを助ける道を選ぶ。しかし、それはどうしたって矛盾しているんだよね。どこまで正当化していけるんだろう。
第一この話、こんなに難しいテーマを扱い、互いに衝突させて、最終的に収拾つけられるのだろうか。
最悪、ガンOムシードOスティニーのようになってしまうのでは……?
お涙頂戴ストーリー展開には、やられちゃいます。

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アーサー・ラッカム

え? 誰? と思ったら、画集だった。
というわけで、画集特集?

アーサー・ラッカム
河出書房新社 アーサー・ラッカム・画
画集のタイトルも、ずばりそのまんま。
20世紀初頭英国の挿絵本の黄金時代を飾る、人気画家アーサー・ラッカムの挿絵作品集。
不思議の国のアリス、ニーベルンゲンの指輪、など。
私が知っているのは、「ニーベルンゲンの指輪」だけなんですけどね、そのためだけに購入しました。
何故か、丁寧にビニール包装して届きました。
私はそもそも、この方の名前も知りませんでした。けれど、高校の図書館に「ニーベルンゲンの指輪」があったのですよ! 私はそもそも北欧神話が大好きなんですけど、「ニーベルンゲンの指輪」はワーグナーのクラシックCDを買っちゃうほどでしたよ。
中身も大して読まなかったんですが、本の最初にある何枚ものカラーイラストが美麗で、それだけで本当に物語のすべてが語られているような感じです。
もちろん、そのイラストが目当てで買ったのですが、残念ながらやっぱり全部はのってなかったですね。
まあ、それはしょうがないか……。
ニーベルンゲンのオペラ、一度は見てみたいですね。今年、なんだか上陸してたとかしてなかったとか?
この本、エーテー・クラシックス第一弾ってことは、他にも出るんですね。何が出るんだろう?

トリニティ・ブラッド ファブリカ・テオロギア
角川書店 THORES柴本・画
この方は、TheSneaker出身なんですよね。あれ以来、ザ・スニ出身のイラストレーターっているのかしら?
他にもお人かたいて、そちらもビッグになられましたね。
もう、この方のイラストだったから原作買ってたみたいなものですから、こちらも予約してしかも二冊買っちゃいましたよ! 高値がついたら、ネットオークションで売れると思って。
中身はもちろん秀逸ですが、案外表紙とか、ジャケットとかを飾るイラストが多いので、そういうのは背景が寂しいですね。ちょっと地味に見えるな。
それに、ご存知!?
アニメのDVDの初回特典にも、先生の書き下ろしイラストがどどんとついてくるんざますよ!?
いったい、何事!? もう二度と出ない画集なのにー!!
しかし、そのイラストのためだけに初回限定DVDを買う気はさらさらないわけで、腹立たしいことこの上ない。
せっせとDVDに焼いたのにー。
イラストはかなり描き込まれていますね、webでチェックする限り。各キャラクターの日常というか、本編では描かれないその姿、いったいどうしてこんなにまで書き込まれているのですか!?
それに初期の初回限定版がまだ残っているとは思えないー! 探せばあるのだろうか……。
私は、揃えるならば、揃っていないと嫌なんです。だから、その間だけ買いそろえるなんて、嫌だ!!
もちろん本もそうです。一巻がハードカバーで、二巻が文庫だなんて考えられない!!

それはともかく、そのDVDについてくるイラストが画集についてこないのは、残念無念、もう泣くしかない始末。
だって、DVD12巻も出るんですよ? あーた、新作イラストが十二枚かよ!!
せめて、アニメのトリブラHPでチェックできたら嬉しい。
カタリーナ様のお着替えとか、ユーグの料理とか、レオンの白のスーツ姿とか……、今後はなにが出てくるんだ!? それとも出てこないのか? アニメも終わったし、今後の詳しい紹介はなさそうだな……。

ちなみに、今回の画集の複製原画が出回るらしいです。もちろん予約限定。
複製原画は高いのよねえ。額もついてくるとか。
んー、もし買うとしたら、ハヴェルかなー。
アニメでは立木文彦でした。アニメも一年あったなら、彼のエピソードもあったのかなと思うと、そっちも残念。渋い役所でしたがほとんど出番無かったし。
あのまさしく、キリスト様のようなお姿が素晴らしい。ああ、なんと高尚なお姿。
複製原画を買うなら、祈りの横向きが欲しいなー。飾らないだろうけど。だから、買わないな。
スキャナーで取り込んで壁紙にでもするか。
とりあえずCG画集でないかしら、などと思っているんですが……。

これだけ語っていますが、それほど原作が好きだったわけじゃないのよね。
なんとかとなんとかを足して2で割った感満載だったので。でも、著者の作品は好きでした。
デビュー作は北欧神話が下敷きになっていて。二作目は売れなかったらしいですね。そうして、満を持してのトリニティ・ブラッドだとか。
過去と現在の二つのシリーズがリンクしていく様は面白かったし、そのお陰で世界観の広がりは凄かったなあ。
キャラクターもみんな魅力的だったし。

著者は病気持ちだったとか。
一度だけ、お姿を拝見したことがありました……。もう、七年近く前の話か。
なんだかんだとやはり、未完の作品というのは惜しまれますねえ。

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バーティミアスIII

ついに登場、悪魔のバーティミアスが大暴れ!? 待望の最終巻。前月には、ドラゴンライダーが出ましたし、夏にはライオンボーイが完結しましたしね。
他に何か話題の物語があったかな? マーリンも読みたいんだよね……。でも、その前にダレン・シャンも読みたいんだけど……。

バーティミアスIII プトレマイオスの門
理論社 ジョナサン・ストラウド・著

悪魔の存在する世界。
けれど、キリスト教のいう悪魔とはちょっと違いますね。
悪魔というのは、意志を持ったエネルギーの塊という感じでしょうか。彼らはそんなエネルギーの塊である異世界から、魔術師たちはその意志を召喚します。
そのエネルギーの塊は、妖霊となって魔法を使うのです。
魔術師たち自身はたいした魔術は使えず、悪魔を使役して魔法を使う感じですね。

それがまた、かなり一方的なもの。
魔術師は魔法陣を描いて、悪魔を召喚し、従わせます。悪魔の方は、その召喚の魔法陣に欠陥がない限り、逃げ出すことは出来ないのでした。
悪魔は、仕えた代償になにも貰えずに元の世界に帰るしかない。
なんて、酷い世界。
バーティミアスがいいやつなだけに、バーティミアスを操るナサニエルは我が儘でかなり嫌な奴。
第一巻から、気分が悪くて感情移入出来ない。
ナサニエルはそれこそ不幸な生い立ちなわけで、確かに同情できるんですが、それにしたってバーティミアスにすることが酷いし、そればっかりが目立ってしまって、時折やるせない。

ちなみに、主人公が酷い人間で有名なのは、「童話物語」あれのヒロインもかなり偏屈でした。不幸な身の上でああなるのも仕方がないのですが、最後は感動の大号泣でした。
ナサニエルも負けず劣らず不幸ですし、毎回最後は良心に目覚めて正義を行うのですが、なんだかなあ。
やはりいまいち応援できない。
バーティミアスはひねくれていても、良心があるのでどうしてもこっちの味方をしてしまう。

第一巻では、どんな魔法も跳ね返すサマルカンドの秘宝の話し。
第二巻では、強大な魔力を秘めたグラッドストーンの杖。
第三巻では、その二つの物語の決着がつくのです。
倫敦を暗躍する顎髭の男。
そして、魔法に免疫を持つ子供たち、レジスタンス。
ナサニエルはバーティミアスの力を使役して、弱冠十七歳で政界の仲間入り、出世街道まっしぐら。
けれどそのために、バーティミアスは身体もぼろぼろ。
それでも、ナサニエルは自分の寂しさのためにバーティミアスを使役するのです。
バーティミアスはそのために、ますますぼろぼろに……。
ナサニエルもその姿を見て慌ててバーティミアスを異世界に帰すのですが……。

物語はバーティミアスの最大の宿敵との対決、バーティミアスの苦い思い出などに彩られながら、ナサニエルとバーティミアスの最強タッグというかたちで、最後の決戦へと流れ込んでいきます。
そして……

「驚くなよ、泣くなよっ! この結末、オレ様の想像を遙かに超えてるぜっ!!」
みたいな、バーティミアスのコメントが帯びにありますが。
確かに最後は驚きました。
こんなのあり!? って。でも、それは物語の展開に対してではなく、物語の終わり方に、です。
それにあまりに突飛すぎて泣けなかった。
過程はもちろん面白かったんですけどねえ、バーティミアスが弱っていたから、それほどはっちゃけなかったんだよなあ。

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世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド

村上春樹、八十年代の記念碑的長編。

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
新潮社 村上春樹・著

八十年代のお話だそうですが、この度文庫本上下巻が、ハードカバーで再版です。
初期の村上春樹作品に苦手意識があったものの、秋に神保町に行ってから絶対に買おうと決めた本。
読もうじゃなくて、買おう。
文庫だと間違いなく安くすむし重くないのに、この分厚いハードカバーが欲しくなる。
カバーはあっさりと薄い緑色。なにかイラストがうっすらと描かれているようですが、一度は広げてみるといいでしょう。
私はずっと、ブックカバーを外して読んでいました。綺麗な表紙ですよね。作中の「世界の終り」なんでしょうかね、色鮮やかで、男女が沼地から羊毛でも集めているようです。でも、それは絵の一部でしかない。
ブックカバーを広げてよく見てみると、さらに大きな絵が浮かび上がってきます。
読み終わる頃には、そのイラストの意味もわかってくるのです。

もしかして今読めば、「ねじまき鳥クロニクル」も面白いのかな?
と思うくらいに面白かったです。
最初に読んだのが「ねじまき鳥クロニクル」というのがまずかったのか。なにせ、分厚いハードカバーで全三巻。
主人公の男と若い娘がヅラ疑惑をカウントするシーンを今でも覚えています。

この物語は、「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の二つが繰り返し織りなしていく物語です。
僕と俺。
固有名詞は何一つ出てきませんね。誰が誰だかわかりませんが、登場人物が少ないので混乱することもありません。安心して読むことが出来ます。
それにしても、固有名詞の無い物語か。
九十年代に読んでいても間違いなく、面白いとは思わなかっただろうなあ~。

「世界の終わり」の僕は、とある異世界?の閉鎖された街を訪れ、そこに住むのと引き替えに影を引き渡すことになります。
その影は自我を持ち、主人から離れてしまうとやがて死んでしまう運命にあります。
僕は、街の図書館で獣の頭骨から、「古い夢」を読み取る仕事をするのでした。
村上春樹作品には、図書館がいろいろな作品で様々な場所で描かれていますよね。羊男の出てくる作品とか、海辺のカフカでも描かれていました。ここでも図書館は重要な場所となりますが、本を読むところとしては描かれていないのですよね。

「ハードボイルド・ワンダーランド」の俺は、計算士なる役職のエキスパート。計算士とはまあ、今で言うプログラマーみたいなものでしょうか。情報を暗号化する、それに対して記号士なるいわゆるハッカー? みたいな連中がその情報を解析して奪い取ろうとする。
そんな俺は、さらに特殊なシャフリングなる技術を有したエリートらしい。
物語は俺が、ある天才博士から仕事の依頼を受けたところから始まります。

物語は二つの物語が織りなす一反、けれどそれはやがて絡み合って互いに紐に編まれて、収束していく印象があります。
僕はそれなりに。
けれど、俺はハードボイルドで格好いい。孤独を愛しているわけでもない。彼は現実の八十年代に生きているから、僕のいる世界よりもそれほど美しいわけではないのに、その生き方は美しい。
村上春樹の描くこういう男性像って、憧れるものがあります。

二つの世界の繋がりというのは、海辺のカフカとかにも見られますが、今回はとても精神的なものとして描かれている気がした。
シャフリングの秘密から、二つの物語の繋がりが見いだされて行きます。
世界の秘密があばかれるのかと思いきや、ごくごく個人的な秘密に物語は変化していくのですが、個人は世界、という理屈が今では良くわかります。
世界は自分を中心に広がっています。自分がなければ、世界もそこには存在しないのです。
俺は世界の終わりを目前にして、最後の時間をどう過ごすかを思案します。そして、身だしなみを整えてデートに赴くのでした。
私でしたら、きっとじたばたと大騒ぎするんだろうなー。
そこがまた格好いい。哀愁漂う男の背中が、切なくしびれました。

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遺失物管理所

ジャケ買いしてしまいました。表紙は好きです。

「遺失物管理所」
新潮クレスト・ブックス ジークフリート・レンツ・著

著者は、現在80歳だそうです。小説家は自営業だから、定年はないんでしょうねえ。執筆したのは、77歳のときだそうです。いまだ健在って事ですか……。
その77歳の御大が、24歳の青い青い青年の物語を描いています。

遺失物管理所。
駅の忘れ物が辿り着く場所。鉄道会社にしてみれば、そこは左遷場所みたいなものですが、主人公の青年ヘンリーは自分から好んでそこへ行く様なぼんぼん。
こういうのを純文学というのでしょうか? 私には退屈な話でした。
それなりに事件のようなものが起こり、家族や職場での人間関係が描かれているので、人間ドラマとして読めるのですが、ヘンリーを好きにはなれなかったなあ。
当初から、将来の目標もなくただその時その時を生きていくことが出来ればいいと、自由気ままな人物です。
または、私の見方が悪いのか、彼が一本筋の通った人物と言うよりも、優柔不断で臆病にしか見えなかったんですよね。
暴走族をそのままにしておいたり、職場の結婚している女性にちょっかいだしたりとね。
自由気ままにやっているヘンリーには、格好いいところとか、特技みたいなのが見あたらない。でも、本人はいたってマイペースだからそんなことはどうでもいい。ポリシーというか、そういうのが感じられないんですよね。
いわゆるだらしない女好きだけど、決めるときは決める、というような往年のヒーロー像が感じられず、なんとも煮え切らない、大人になりきれない青年像しか見えてこない。
終盤は、暴走族と対決したり、友人たちのために奔走したりと活躍するんですけど、なんとなくどれも手遅れの感じがするんですよね……。

余所様の感想を拝見するに、ドイツの背景とか、奥深いものがあるらしいのですが、エンターテイメント性は乏しい。
まあ、クレストブックスはそこには焦点置いてないんでしょうから、そこに期待するのはお門違いなんでしょうけれども~。

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